直球でお手軽、誰でも遊べるほんわか系ステルスアクション『まるとさんかく』

アクション,スマホゲーム

敵の視界に入らないよう、隙をついて動き、目標を達成する。「かくれんぼ」という、伝統的な遊びから発展したステルスアクションゲームは、KONAMIより発売されたメタルギアシリーズを機にメジャーな存在となり、今日ではゲーム全体にアクセントを加える要素の一つにまで発展した。

しかし、「見つかったら最後」というシビアなルールとそれによる緊張感などから、ハードルの高い遊びという印象も根強く、人によって好みが大きく分かれる側面がある。
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そんなステルスアクションを誰もが手軽に遊べるよう、人を選ばないように作った作品が今回紹介する『まるとさんかく』だ。個人開発者のなかなか氏が制作。2017年4月にiOS、Android向け無料アプリとしてリリースされた。
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なんとビックリ、主人公の恋人が敵に連れ去られちゃった!
助けに行きましょう!

以上、ストーリー紹介終わり。

内容も敵に見つからないように主人公を動かし、ゴールにたどり着けばステージクリアとなる、直球の横スクロール型ステルスアクションゲームである。そして、直球ならではの「ハードルの低さ」を最大の売りとしている。

「気づかれなければ正義!」のご意見無用・突っ込み上等のお手軽設計

「ハードルの低さ」を象徴するのが、敵をやり過ごす方法。
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視界に入らない。
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帽子の中に隠れる。

それだけ。
このたった二つの動作で、ステルスの醍醐味を楽しめてしまうのだ。
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特に二番目の「帽子の中に隠れる」は非常に強力で、この状態になれば絶対に気づかれない。敵が近くを横切ろうが、その場に留まろうが絶対に気づかれない。さすがに隠れる直前、敵に気づかれてしまった時は別で、その場合は例え隠れようが見つかってミスになってしまうが、気づかれてない状態で隠れれば無敵。段ボールの要領で、敵が帽子を「スポッ」と取り上げ、「あっ」となることもない、安心・安全の状態になれてしまう。
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また、気づかれていなければ、敵を後ろから押すこともできる。そのまま段差に落としてしまえば、その場所は誰にも襲われる心配のない安全地帯になる。押している最中に敵がプレイヤーの存在に気づくこともないし、段差から落とした後、その場に戻ろうとする行動に出ることも絶対にない。段差から落ちたところにある、場所を巡回するようになるだけ。
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まさに「気づかれなければ正義」。強力な隠れ技と押し出し技、(いい意味で)警戒心の低い敵によって、ご意見無用・突っ込み上等の立ち回りで、手軽にステルスアクションを楽しめるのである。

「見つかったら最後」というシビアなルール、緊張感あってこそのステルスアクションだが、逆にそれがゲームとしての難しさ、息苦しさを醸し出し、プレイヤーを選んでしまう。今作はその緊張感を薄くして、シビアさを除外。敵をやり過ごし、あざむくという最も面白い部分を集中的に楽しめる作りを実現させている。
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シンプルな操作性とその使い勝手の良さもその魅力を引き立てる。スマホのゲームらしく、バーチャルパッドを使ってプレイヤーキャラクターを動かすのだが、パッドとして用意されたボタンは左右の移動、隠れるの三つだけ。それら以外の操作は一切求められず、段差を飛び越えるジャンプも自動で行ってくれるので、驚くほど自然にキャラクターを動かせる。

各ボタンの配置も的確で、動かすのに煩わしさは感じさせないし、キャラクターがボタンと重なってしまわないよう、レイアウトにも気を配っている。バーチャルパッドを使う横スクロールアクションと聞くと、抵抗を覚えるプレイヤーも少なくないと思われるが、実際に触ってみれば、その使い勝手の良さが分かるはず。ボタンを絞り込んだなりの強み、そして僅かな操作であってもステルスアクションの面白さは失われないことを実感させられるだろう。

「右肩上がり」を綺麗に表現した難易度と起伏に富んだステージ

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舞台となるステージもシンプルながら、地形から敵の配置まで、工夫を凝らした作りになっていて、やり応えは十分。基本、敵に気づかれず、ゴールにたどり着くことの繰り返しだが、凸凹の激しい道を進んだり、エレベーターとその先にいる敵の動きを見極めながら行動していくなど、起伏に富んでいるのもあって、単調な展開になりにくい。
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敵も決まった地点を左右に移動し、巡回するタイプだけじゃない。ある程度ゲームが進むと、高速で移動するタイプ、どこかのチョロチョロするモグラみたいに地中から現れる不意討ちタイプも登場。中でもモグラタイプは、出現によって巡回している敵の数が増えることにも繋がり、簡単に突破できそうと思った道が急に難しくなったりする。更にゲームが終盤に入ると、各種の敵が連携する形で現れ、それぞれの動き方を読んで慎重に動いていく、ステルスアクションらしいスリリングな展開が繰り広げられたりも。
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たった二つのアクションで敵をやり過ごす基本的な内容からは想像もつかない作り込まれた構成には、アクションゲームが好きなプレイヤーほど唸ること請け合い。「右肩上がり」を文字通り表現した、序盤から終わりにかけての難易度の上昇も素晴らしく、「隠れてやり過ごす楽しさ」をストレスなく楽しんでもらいたいという制作者の配慮が見え隠れする。
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救済措置として10秒間、相手に気づかれないようにするお助け機能も実装し、豪快に進めて行きたいというプレイヤーの欲求に応えてくれる余地が作られているのも特筆に値する。それらの難易度から細かい配慮からも、「ハードルの低さ」への強いこだわりを感じさせられるはずだ。

ほんわかとした世界で、ステルスアクションの緊張感を

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ただ、一つ難点を言ってしまうと、ボリュームが少ない。ステージの数こそ30あるのだが、クリアするのに1分もかからないので、順調に行けばエンディングまでは30分ぐらいで行けてしまう。高難易度のステージも用意されてなく、ステルスアクションに手慣れたプレイヤーほど物足りないと感じやすい密度になってしまっているのも惜しい。
一応、今後のアップデートでステージの追加が検討されているようなので、願わくばそう言ったプレイヤーの欲求を満たす余地が確保されることに期待したい。
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そう言ったボリューム面の粗があるが、「気づかれなければ正義」を貫き通したゲームルールは痛快で、ステージごとの作り込み、難易度調整も丁寧。キャラクター、世界観もほんわかとしていて可愛らしく、デザインのシンプルさもあって、子供のプレイヤーが落書きで描きたくなる魅力に満ちている。

ステルスアクションにおいて、どうしても寄り添ってきてしまう暴力・出血表現も一切ないし、心臓が「ドキッ!」とするような演出もない。ついでに言うと、ストーリー上で説教されることもない。こんなゲームで説教されたら子供どころか、おじさん、おばちゃんも泣いちゃいます。

ステルスアクションに硬派な印象を持ってしまっている人にこそ遊んでみて欲しい、万人向けステルスアクションゲームの決定版。気軽に敵をあざむく快感を味わいたいなら、ぜひ、今作をお試しいただきたい。そして、素晴らしきステルスアクションの世界に足を踏み入れてみよう。

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[基本情報]
タイトル: 『まるとさんかく』
制作者: なかなか
クリア時間:30分~1時間
対応OS: iOS、Android
価格: 無料

ダウンロードはこちらから
https://itunes.apple.com/jp/app/%E3%81%BE%E3%82%8B%E3%81%A8%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%8B%E3%81%8F/id1225089688?mt=8

https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.pronama.Marusannkaku
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