建設現場×ホラーの異色フリゲアドベンチャー『建設途中十四階』。美しいドット絵のビルから脱出せよ

アドベンチャー,フリーゲーム,ホラーゲーム

コンシューマゲームが高精細な3Dゲームに移行していく一方で、フリーゲームでは、作りこまれたレトロ風ドット絵の2D作品が目立つようになってきた。

これまでにも『ib』や『ゆめにっき』といった名作アドベンチャーが作られてきたのはもちろんのこと、最近ではもぐらゲームスでも紹介したフリゲアドベンチャー『a film』も、自作のドット絵の醸し出す世界観が非常に魅力的な作品で、フリーゲーム配信サイト「ふりーむ!」のランク上位に登り多くのユーザーにダウンロードされていた。

レトロ風フリーゲーム『a film』。美しいドット絵の世界で語られる10分間の物語

そこで今回紹介するのは、巧みに作りこまれたレトロ風ドット絵の世界観と、そして主人公は建設現場で働く屈強な青年という、建設×ホラーという珍しいタイプのアドベンチャーだ。
ホラー要素のあるフリーゲームといえば、主人公が「か弱い女の子」というイメージも強いが、本作はその真逆というのも特徴的。また、このゲームは制作者の方が初めて作り上げたゲームということだが、短編ゲームとしてコンパクトにまとまった完成度の高い出来となっていた。

精緻に作り込まれたドット絵の建設現場から抜け出せ!

このゲームの主人公は、建設現場で働く青年「相川拓馬」。ある日、彼はいつものように工事現場で仕事をしていた。そこで作業を終えたので十四階から下に降りようとするが、いくら降りても何故か階段がループしてしまい、十四階に閉じ込められてしまう……。

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舞台は建設中のビルの十四階。ここで奇妙な現象が発生する……

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このゲームの主人公、相川拓馬

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突然、建設現場の十四階に閉じ込められてしまった拓馬

なんとか十四階から脱出するために、 拓馬は建設現場の中を探索することになる。脱出の役に立ちそうな道具などを拾いつつ、脱出の糸口を見つけることが当面の目的だ。

このゲームの特徴として目を惹くのは、その精緻に作り込まれた世界観だろう。ドット絵の外見的な美しさもさることながら、建設現場で様々なモノを調べた時のテキストも、ひとつひとつが丁寧に作られている。ふと脱出という目的を忘れ、細部まで作り込まれた世界を堪能しつくしたい気分にさせてくれる。

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モノを調べた時の拓馬の反応は多様で、仕事っぽさが感じられる

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メニュー画面も非常に凝ったデザインになっているので、ぜひ見てほしい

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現場を探索しつつ、脱出に必要なアイテムを手に入れよう

そして作中のホラー部分も、派手さは抑えつつも、その奇妙な不気味さが静かに伝わってくるものとなっている。建設現場の探索を行なっていた拓馬は、とある部屋の中に入る。そこで謎の男の姿を見かけるが、それはどうやら人間ではない存在のようで……。この謎の存在から逃げ切れるかはプレイヤーの判断次第だ。

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探索を進めていく中で現れる謎の存在の正体とは……

本作は探索中の行動によって複数のエンディングが用意されているマルチエンドの作品だが、全体的なプレイ時間の長さとしても短編となっており、1プレイ10分から30分ほどでクリアすることが出来るだろう。その作り込まれた世界観と、そして奇妙な体験をぜひ堪能してほしい。

[基本情報]
タイトル 『建設途中十四階』
制作者 有馬
クリア時間 10~30分
対応OS Win VISTA /7/8
価格 無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/10207

  • poroLogue(@poroLogue

    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。