2015年 もぐらゲームスのゲームレビュー人気ランキングを発表!今年注目を集めた記事は?

インディーゲーム,フリーゲーム

今年も残りわずか。読者のみなさんは、今年はどんなゲームを遊んで過ごしただろうか?
もぐらゲームスでは去年に引き続き、180以上の記事を掲載してきた。
年末最後の記事となる今回は、2015年にリリースされたゲームレビュー記事で、最もアクセスされた10記事を上位から紹介しよう。記事の中で気になるゲームが見つかった人は、ぜひダウンロードして遊んでみてほしい。

なお、昨年のランキングはこちらとなっている。
2014年 もぐらゲームスのゲームレビュー記事人気ランキングを発表!


フリーゲーム『獄都事変』。個性的な獄卒たちと亡霊のホラーアドベンチャーゲーム

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2015年でもっとも多くのアクセスを集めた記事は、フリーホラーゲーム『獄都事変』。先日コミックも発売し、ゲーム実況者キヨ氏による実況も80万再生を記録するなど話題のアドベンチャーとなった。
女性ユーザーからの人気も集めているこのゲームでは、主人公の斬島を始めとする「獄卒」たちの物語が描かれる。和風な雰囲気を予感させつつ、軍服に身を包んだキャラクターたちの織り成す物語や世界観がプレイヤーの心にヒットしたと思われる。本編は2時間程度の短時間で完結するが、独特な世界観と獄卒一人ひとりの個性がいきいきと魅力的に描かれている作品に仕上がっている。
本作の制作者であるリンネ堂氏による新作『FILAMENT』は、先日発売されたゲーム制作ツール「RPGツクールMV」のサンプルゲームとして公開されているので、気になった方はこちらも遊んでみてはいかがだろうか?(レビュー記事は2月13日公開)


大作フリーゲームRPG『Tactical Chronicle』。100年間かけて自分だけの戦術を完成させろ!

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次にアクセスが多かったのは、大作フリーゲームRPG『Tactical Chronicle』。記事に付けられたはてなブックマーク数は700越えとなり、これまでのもぐらゲームスの記事の中で最も多いものとなった。
ゲーム内容としては、先ほどの『獄都事変』とは対照的に、戦術性という面で作りこまれたゲームシステムが魅力となっている。特徴的なシステムは、ファイナルファンタジー12の「ガンビット」を受け継いだかのようなものだ。キャラクターたちが戦闘中に行なう行動をあらかじめプログラムのように指定しておき、実際の戦闘はセミオートで行うという戦術性の高いオートバトルだ。他にも、世代交代を繰り返しながら紡がれてゆく壮大な冒険譚や、一度始めるとなかなかやめられない中毒性と、非常に濃厚なゲーム性が詰まっている。
クリア時間は30~100時間ほどという超大作となっているので、まずは冬の間の休みの時期に、じっくり遊んでみてはいかがだろうか?(レビュー記事は7月11日公開)


フリーホラーゲーム『虚白ノ夢』。運命に囚われた少女の物語と、巧みな恐怖演出が味わえる

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『虚白ノ夢』は、ニコニコ自作ゲームフェス5にて「窓の杜賞」「コミックジーン賞」「フリーゲーム夢現賞」「坂口博信賞」の4冠受賞という実力派のホラーアドベンチャーゲームだ。
本作の魅力としては、まず『青鬼』『魔女の家』といった名作フリーホラーゲームに見られるような「おどろかし」のホラー描写が巧みであることが挙げられる。さらに、演出面だけでなく、運命に囚われた人間たちが織り成す物語自体にも恐ろしさがある。3時間ほどで終わる短編ながらも、恐怖と物語がギュッと詰め込まれた濃密な作品なのだ。
制作サークルである「てりやきトマト」は、他にも墓荒らしダンジョン探索RPG『積層グレイブローバー』や、選択系恋愛ADV『Leanan-Sidhe』。そしてもぐらゲームスでも下記の特集で記事にした宿屋経営シミュレーション『はじめての宿屋さん』など、実に幅広いジャンルのゲームを制作しているので、こちらも遊んでみてほしい。(レビュー記事は5月31日公開)
 
ビジネスパーソンに遊んでほしいフリーゲーム・インディゲーム9選


フリーホラーゲーム『バグのセカイ』。バグったゲームが、現実を侵食する

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『バグのセカイ』は、フリーゲームのコンテストである「第10回 ふりーむ!ゲームコンテスト」にて、ホラー部門の銀賞を獲得した作品だ(金賞受賞作は、映画化もされたフリーホラーゲーム『DeathForest ~森からの脱出~』)。本記事ははてなブックマーク数・ツイート数ともに伸び、公開後1週間以上話題となっていた。
ファミコンのゲームがバグったかのような不気味な世界の雰囲気にまず驚かされる。そしてゲームのバグが、主人公の少女が生きている現実世界にも侵食していく展開が実に怖い。突然ゲームがフリーズする演出などは、まさにバグったゲームをプレイしているかのような感触で、細かい演出の作りこみも印象深い。
本作は、先日「ファミ通」のインディゲームコーナーにも掲載された。作者であるれんたか氏とイラスト担当の遥壱朗による新作『RxHpsychosis』も「ホラー」と「ローグライク」という2ジャンルを組み合わせた意欲作なので、こちらもプレイしてみてほしい。(レビュー記事は5月3日公開)

フリーホラーゲーム『RxHpsychosis』。ホラー×ローグライクという恐怖の新機軸


クトゥルフ神話のフリゲRPG『SAVE』。奪われた家族を取り戻す物語

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本作「クトゥルフ神話」をテーマにしたフリーゲームRPG。ゲーム自体の完成度に加えて、クトゥルフというジャンルの人気の高さも伺え、長期間に渡って読まれた記事となった。
本作は、クトゥルフ神話をモチーフとした内容に加え、ゲームバランス・グラフィック・演出…などのトータルなデザインが丁寧に作り込まれている。また、奪われた家族を取り戻すという目的のため、人間のモノではない異形の力を自らの身体に取り込んでいくという内容が、物語面に留まらず、ゲームバランスとしても調和している部分も見事だ。
なお、本作の制作者であるあたりめ氏は、ほかにもクトゥルフの神話生物の育成ゲーム『if.c』や、刀剣乱舞の二次創作RPGである『counseling』も公開している。(レビュー記事は4月19日公開)

クトゥルフ神話キャラの育成フリーゲーム『if.C』がオゾマシカワイイ


「ガンブーツ」という発明がマリオを超えた。『Downwell』のゲームデザイン

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当時大学生であり、いまではインディーゲーム系のパブリッシャー「Devolver Digital」から声が掛かったことなどを経て、現在ではゲーム制作の活動に専念しているもっぴん氏による話題作だ。
ジャンルとしては、横視点のジャンプアクションゲーム。敵は踏んで倒すことができる。決定的に違うのは「下方向に進むゲームである」という点と「真下にショットを撃つ“ガンブーツ”がある」の2点だ。特に、このガンブーツというシステムがキーとなり、爽快なプレイ体験を与えてくれる作品に仕上がっている。
本作はスマートフォンでも遊べるほか、PC版がSteamで配信されているので、ぜひ遊んでみてほしい。(レビュー記事は10月15日公開)


スマホ向けアドベンチャー『彼女は最後にそう言った』。同じ時間をループして、悲劇の真相を突き止めろ

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本作は、AppStoreのRPGカテゴリ・アドベンチャーカテゴリで1位となり、小説化もされたスマホゲーム『あなたってよく見るとドブネズミみたいな顔してるわね』などを送り出した制作団体「SYUPRO-DX」による新作だ。発表後に話題となった作品で、記事へのアクセス数もそれに比例して伸びていった。
本作の魅力は、丁寧な作りこみの伺えるドット絵と音楽。そして、短編小説のような感動を味わえる物語と、かつての友人の死の真相を突き止めるという探索アドベンチャー要素が絡みあうという点だ。
スマホで遊べるアドベンチャーゲームとしては、操作性も快適で遊びやすい。2時間ほどの短編ゲームを楽しみたい人も是非プレイしてほしい。(レビュー記事は5月17日公開)


フリーゲームRPG『ダージュの調律』 小説のような物語手法と優れたゲームデザインを兼ねた珠玉の短編

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次は「VIPRPG紅白2014」というゲーム投稿イベントに提出された短編フリーゲームRPG『ダージュの調律』だ。小説のような物語とシステムが特徴的な作品で、はてなブックマークが大きく伸びた記事となった。本作は先日開催されたフリーゲーム投票イベント「フリゲ2015」でも10位を獲得している。
主人公は「英雄」ではなく、平凡「未満」な少年。そんな彼と周囲の人物が織り成す物語が描かれる。ゲームシステムと物語の調和という面でも、主人公の心境・内面にフォーカスした小説のような物語手法、それにゲームとしての遊びのデザインが絶妙に組み合わさっており、作り込まれた珠玉のゲームだった。
作中ではいわゆる「クトゥルフ」を彷彿とさせるホラーなグラフィックや、癖の強い台詞回しがあることを注記しておくが、3~5時間程度でエンディングを迎える短編なので、心に残るゲームを遊びたい人はぜひともプレイしてみてほしい。(レビュー記事は1月3日公開)


フリーホラーゲーム『無感無痛 [無痛少女]』。「物語の考察」と「視覚的な怖さ」を楽しむアドベンチャー

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次はNoriziro氏によるフリーホラーゲーム『無感無痛 [無痛少女]』。ホラーだけではなく、謎めいた物語の考察要素が人気となったためか、長くアクセスの伸びた記事となった。
影絵のように真っ黒な主人公が、謎めいた雰囲気の世界を探索するというシチュエーションは、海外産のインディーゲーム『LIMBO』を彷彿とさせる。しかし、このゲームが『Limbo』と少し異なる部分は、少女を追いかけてくる不気味な顔などや、不安感を煽る音楽など、視覚、聴覚に訴える直接的なホラー描写の強さだろう。さらに、断片的な情報から物語を考察する楽しみもある。
アクション要素を多少求められるものの、作品全体としては4時間ほどの短編となっているためプレイしやすいので、遊んでみてほしい一作だ。(レビュー記事は4月5日公開)


フリーゲーム『カリスは影差す迷宮で』 。下された任務は「仲間殺し」。限られた期限を上手く使う遺跡探索RPG

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最後は、小説化もされたフリーゲームである『黒先輩と黒屋敷の闇に迷わない』の作者である饗庭淵氏の新作。その特徴的なイラストや物語設定、優れたゲームデザインが話題となったのか、多くのはてなブックマークが付けられた記事となった。
本作は、仲間である魔導師カリスを殺す「相棒殺し」が目的であるという要素も印象的だが、名作フリーゲーム『Histoire – イストワール』や『Nepheshel – ネフェシエル』、そして『魔王物語物語』のような、マップの探索を行い、自分の手でゲーム世界の物語を読み解くこともまた楽しめる作品となっている。
ゲームの本筋以外にも多くの遊び心が込められた作品となっており、クリアだけなら6時間ほどで可能だが、さらに楽しみ尽くせる作品となっている。(レビュー記事は3月8日公開)


 
いかがだっただろうか?もぐらゲームスは、多くの読者の皆様の応援でなんとか2年目を迎えることができ、数多くのゲームレビューを掲載することが出来た。来年も引き続き、面白いゲームの紹介や、制作者へのインタビューを行うことで作品の魅力を引き出すつもりだ。今後も読者の皆様に満足いただけるよう、メンバー一同頑張っていきたい。

  • poroLogue(@poroLogue

    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。