アップルの選んだ2016年ベストスマホゲーム10選をレビュー

スマホゲーム

12月7日、iOS向けのコンテンツプラットフォーム「AppStore」にて、2016年のベストアプリを選出する「Best of 2016」が発表された。さまざまなアプリのベスト10の中で、iPhone向けとなる「今年のベストゲーム10選」も選ばれた。

先日には、Android向けのコンテンツ配信プラットフォーム「Google Play」にて「2016年 ベストゲーム」も発表されていた。Appleからの発表となる今回も、選ばれた10作品のうち、大作・コンシューマタイトルを除いた8作を、実際にプレイしてのレビュー・感想とともに紹介したい。

どの作品もアイデアに溢れ、カジュアルに楽しめつつも奥が深いゲームばかりなので、気になった作品があったらぜひ遊んでみてほしい。

「2016年ベストゲーム」に選ばれたおすすめスマホインディゲーム8選

INKS.

unnamed
 
『INKS.』は、ステージ内に設置されたカラフルなパーツを全て壊していくピンボールゲーム。通常のピンボールとの違いは、なによりそのカラフルさだろう。設置された色付きのパーツを壊すと、玉にも移っていく。その状態でステージ内にボールを飛ばしていくと、ボールの通った跡に同じ色が付いていくのだ。ピンボールでありながら、落書きをしているかのような感覚も味わえる。

無駄なショットを少なくしてパーツを壊すと、ステージ上もカラフルできれいなものになっていく。そのため、純粋にクリア条件を満たすだけでなく、いかにステージを美しい状態でクリアできるか?という気持ちも生まれてくるのだ。ミスを重ねるだけステージ上に色の跡がついていき、失敗を重ねるとドス黒いボールしかでてこなくない、ステージも真っ黒になってしまう。友達同士で、どれだけきれいなステージを作れたか見せ合うのも楽しいだろう。

ステージの数は豊富にあり、難易度的には、1ステージでいくらミスをしてもゲームオーバーがないなど配慮されているので、ピンボール初心者にも遊んでみてほしい作品だ。

・iOS

Steppy Pants

img_5703
 
子どものころ「信号の白線の部分だけを歩く」というルールの遊びをしたことがある人は多いのではないだろうか?

本作『Steppy Pants』は、そんな子供のころの遊びを思い出すかのようなシステムを持つゲームだ。画面をタップしている時間だけ足を前に伸ばすので、歩道の割れ目の部分に足を着地させないことがルールという、非常にシンプルなゲームだ。

しかし、操作がシンプルだからと言って簡単であるとは限らないのがこのゲームの面白いところ。タップでの調整はなかなか難しく、進んでいくごとになぜか歩道に爆弾も設置されるようになっていく、それら全てを避けつつ進み、ハイスコアを目指すのだ。

一見バカゲーに見えるかもしれないが、プレイするごとにさらに先に進めるよう挑戦したくなる作品。子供の頃を思い出したい人は遊んでみてはどうだろうか。

・iOS

・Android

Android app on Google Play

Rodeo Stampede – Sky Zoo Safari

img_5693
 
『Rodeo Stampede – Sky Zoo Safari』は、飛行船の上にある空中動物園の運営者兼カウボーイとなり、野生の住む地で動物を捕まえるアクションパートと動物園を運営するパートを楽しむゲーム。

まずアクションパートの手触りが気持ちいい。スマホをタップし続けている間、プレイヤーは動物の背にまたがり荒野を駆け抜ける。しかし、動物は乗り続けていると暴走してしまう。そこでスマホから指を離すとジャンプすることができる。ジャンプ中に他の動物にまたがり、再び走り抜けて、そしてまた別の動物へ……という感じに、動物を次々と乗り換えて荒野を進んでいくシステムが特徴的。まさにカウボーイのような気分が味わえるゲームとなっている。

荒野では障害物や他の動物にぶつかるとゲーム失敗となるが、特定の動物に乗っている場合などはある程度の障害なら蹴散らして進むなどもできる。捕まえた動物の写真を取ることなどもできるので、さまざまな動物を飼いならしていくこともこのゲームの醍醐味だ。

動物園の運営パートでは、開園して入場料を取ることなどができたり、荒野で捕まえた動物の飼育地を広げたりできる。動物の飼育地のレベルをあげていくと、アクションパートに様々な恩恵が発生する。また飛行船自体の改築も行うことができ、実施すると新種や新ステージなどを追加することができる。

とにかくアクションパートの操作感が気持ち良いものとなっているので、まずは触ってみて欲しいゲームだ。

・iOS

・Android

Android app on Google Play

Reigns

img_5687
 
『Reigns』は、Nerialが開発し、アメリカのゲームパブリッシャー「Devolver Digital」から販売されている作品。Devolver Digitalは日本発のインデイーゲーム『Downwell』のパブリッシャでもある。

プレイヤーは一国の王となり、ランダムに配られるカードから発生する課題に対して意思決定を行い、国が破綻しないように収めていくというシステム。この説明だと一見ふつうのシミュレーションゲームに思えてくるが、このゲームは王が死んでも、プレイヤーはまた新たな王となり国を治めていく。数10年、数100年と、さまざまなミッションを達成しながら長い歴史を作り上げていくのだ。

パラメータは全部で4つあり、カードの課題に対してどういった選択をするかで変動していく。この選択がなかなか難しく、こちらの選択をすればあちらがたたず、あちらの選択をすればこちらが立たず、と、四苦八苦しているうちにパラメータのどれかひとつがゼロになってしまい、何らかの理由で王は玉座から追われてしまうだろう。ランダム要素を前に、いかにパラメータをコントロールしていくかが重要になる。

ゲームを進めていくたびに、王の前に現れる「悪魔」という存在や、謎のダンジョンなど新要素も登場。ワンプレイは数分から数十分で終わるので、まずはカジュアルに楽しみたいゲームだ。

・iOS

・Android

Android app on Google Play

・Steam

twofold inc.

img_5692
 
『twofold inc.』は、バトル風のシステムが特徴的なパズルゲームとなっている。

画面の下部に様々な色のブロックが配置されており、プレイヤーは一筆書きで全てをなぞることができる状態で隣り合っているブロックを消すことができる。消したブロックに応じた色の敵のゲージを削ることができ、一筆書きでなぞった数が多い分、多くの敵のゲージを削ることができる。ブロックの移動なども行うことができ、ひとつの行動を行うごとに敵のカウントが1つずつ減っていき、0になると攻撃を受けてしまう。こちらのゲージが0になるまでにどれほどの敵を倒せるかがポイントになる。

最初は敵の数もゲームの量も少なく、2、3ブロックだけをなぞって消せば済むので簡単に思えるかもしれない。しかし、このゲームの奥深さは敵の撃破数が増えてくるところで感じることができる。長期戦になるにつれて、ゲージ量の多い敵も増えてきて、一撃で倒せない敵も増えてくる。一筆書きの量を多くするために、ブロックを移動してまとめたいと思うかもしれない。しかし、そうすると敵の攻撃カウントも近づいていく……という悩ましい状況にどう対処するかという面白さが生まれる。

敵を全滅させるごとにライフが1増えるので、極限の状態でギリギリ持ちこたえる手に汗握るプレイングも楽しめるかもしれない。バトル風のパズルゲームを楽しみたい人にオススメだ。

・iOS

・Android

Android app on Google Play

“klocki"

img_5696
 
『"klocki"』は、パネルの移動やステージの回転を駆使して、特定の模様を完成させるパズルゲーム。

本作の最大の特徴は、ステージを進めるごとに様々な追加ルールが加わることで、プレイヤーを飽きさせない点だ。たとえば、最初のうちは、自由に動かせる1種類のパネルを移動させて模様を合わせていくものとなっているが、ステージが進むに連れて、既に見たパネルとは異なる模様のパネル、動かせないパネル、またスライドパズルのように、空いているスペースにしか移動できないパネル、そしてステージそのものを回転させるギミックなどなど、プレイヤーが特定のルールに慣れた後に狙い撃つかのように、追加ルールが差し込まれる。

後半になるごとに、はじめはどういった模様を作ればクリアになるのかわからないステージも出て来るが、試行錯誤しながらパネルを動かしていけば次第に思いつくバランスも絶妙だ。筆者としてはかなりハマれるゲームになっていたので、パズルゲーム好きの方はプレイしてみてはいかがだろうか。

・iOS

・Android

Android app on Google Play

・Steam

TIME LOCKER – Shooter

https://www.youtube.com/watch?v=K_1h1gzQrN8
 
『TIME LOCKER(タイムロッカー)』は、自分が動いた分だけ敵も動くという異色のゲームシステムが特徴のシューティングゲーム。先日Android版もリリースされ、もぐらゲームスでも記事にて紹介をさせて頂いた。

このゲームのシステムは、さきほど書いた「自分が動いた分だけ敵も動く」というシステム。ステージを前進して進んでいくなかで、前後左右から大量の敵が現れる。だが、自分が動かない限り、敵は一歩も動かない。そのため、どうやって敵を倒し、回避し、突破するか、などを考えつつ進んでいく。

その一方で、自分が動かなくとも時間の経過によって世界が後ろから消えていくので、永遠と同じ場所にとどまるわけにはいかない。考えながらも、瞬間の判断も求められるバランスなのだ。

また、一定の距離を前進すると、でかいボスとの戦いも。耐久力の高い敵となるのため、どういった対処をするかを考えながら対峙しよう。ゲーム中に存在する青色の敵やオブジェクトを倒すと、自分の武器を強化することもできるため、ボスを倒すためにも積極的に取得しながら進みたい。

・iOS

・Android

Android app on Google Play

(関連記事)
時間をあやつるパズル型スマホシューティングゲーム『TIME LOCKER』 iOSに続きAndroid版が配信

Mr.クラブ 2

img_5698
 
『Mr.クラブ2』は、かわいいカニのキャラクターを操作してステージをクリアしていく2Dのアクションゲーム。

カニの移動は自動で行われ、障害物に突き当たると逆の方向に移動するようになっている。そのためプレイヤーの操作としては、特定のポイントやタイミングでのジャンプを行うのみ。ステージの途中に檻に入れられている子カニなどを救出しつつ、様々なステージのゴールを目指していく。

ゲームを進めていくごとに、カニが身につけるアクセサリもアンロックされていく。ステージのモデルの作り込みがなされており見ているだけで楽しく、また操作も簡単であるため、カジュアルなアクションゲームを楽しみたい方におすすめだ。

・iOS

選出された10作のうち、残り2作はストラテジーゲーム『クラッシュ・ロワイヤル』、アクションRPG『聖剣伝説-ファイナルファンタジー外伝-』となっている。これら2作は大作・コンシューマタイトルとなっているため、今後もし機会があれば紹介することにしたい。今回紹介した作品はいずれもゲームシステムがユニーク・かつカジュアルに遊べる作品であったので、この中からまずいくつかのゲームを遊んでみてはいかがだろうか。

なお、「Google Play」にて発表された「2016年 ベストゲーム」も下記にて紹介している。

「2016年ベストゲーム」に選ばれたおすすめスマホインディゲーム8選

  • poroLogue(@poroLogue

    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。