フリーゲームRPG『あかねいろのそら』。総プレイ時間10分で完結する悲劇の物語と練られた戦闘システム

RPG,フリーゲーム

フリーゲームには、コンシューマゲームでは見ることの少ない、数十分から短時間でクリアできる短編RPGが数多く存在する。それらの中には物語性の重視、はたまた、RPGの魅力の一つであるバトルシステムがこだわり抜かれたものなど、多種多様だ。

今回は、そんな短編フリーゲームRPGの中から1作品『あかねいろのそら』を紹介する。
本作は、10分程度という短い時間ながら、丁寧にまとめ上がられた物語が楽しめる短編となっており、ドット絵のキャラクターが活き活きと動くバトルも特徴的なものとなっている。

生き別れた少女を探し、少年は空を目指す

本作は、主人公の少年「シェード」が生き別れた少女を探すという目的で、訪れた塔の最上階を目指していくものとなっている。塔の入り口で謎の力を持った少女「イム」と出会うシェード。素性のつかめないイムと共に、シェードは赤い色の空の見える塔の最上階を目指していく。

image07
主人公「シェード」。どうやら複雑な過去を持っているようだが…

image06
シェードが塔で出会う謎の少女「イム」。魔法のような特殊能力を扱うことが出来る

シェードが最上階へたどり着くまでには、塔の中に現れる複数の敵と戦わなければならない。戦闘はランダムエンカウントではなく、全てイベント固定のものとなっている。塔の特定の場所まで進むと会話のイベントが発生、そして敵とエンカウントするのだ。

image09
戦闘で見ることが出来る滑らかなキャラクターの動きにも注目したい

出現する敵も固定となっており、本作の戦闘は全てがボス戦のようなものといってもいいだろう。ボス戦のようなものとはいえ、戦闘の難易度的には難しすぎるということはなく、キャラクターごとの特徴や、これから述べる「属性」について理解すれば敵を打ち倒すことが出来るだろう。

戦闘で注目すべきポイントとして、キャラクターの持つ「属性」の要素がある。属性には「刹」と「悠」の2つがあり、二つの属性は互いに弱点属性となっている。つまり「刹」属性の相手に「悠」属性の攻撃を行なったり、逆に「悠」属性の相手に「刹」属性の攻撃を行なうと大きなダメージを与えることが出来るが、相手と同じ属性の攻撃を行なうとダメージは半減してしまう。

image04
キャラクターや技にはそれぞれ属性が設定されている

操作キャラクターであるシェードは「刹」、イムは「悠」の属性をそれぞれ持っているので、たとえば「悠」属性の敵が相手となる場合は、攻撃力の高い技をシェードに使わせ、イムには補助的な要素の強い技を優先させる、といった立ち回りを行なうなど、相手の属性に応じて作戦を工夫すると効果的だろう。

image10
相手の属性に応じてキャラクターの立ち回りを決めよう

塔を登っていく途中、いくつか謎解きを行なうシーンがある。謎解きはヒントや、部屋の構造を見ることで解くことが出来るものとなっている。謎が解けないときは、周囲を見渡したり、ときには少し引き返してみるのもヒントになるだろう。

image11
周りを見渡し、部屋の様子を見て、謎を解いていこう

最上階を目指す中で語られる物語、そして待ち受ける結末

敵との戦いや謎解きを行ないながら、塔の上を目指していくシェードとイム。最上階に近づくにつれ、シェードの探している「少女」のことについて語られていく。ここからは断片的ではあるが、その短いながらもまとめ上げられた物語を紹介していきたい。

image01
シェードはなぜ少女を探しているのだろうか

image03
たびたび挿話される、塔の最上階にて待つ少女の独白。シェードとの過去が語られる

image05
イムに導かれるようにして塔の上を目指すシェード

image08
立ちはだかる敵を倒し…

image00
ついに少女と対面したシェードは…

10分程度という短い時間ながら、物語・戦闘システム共に練られた短編となっている本作『あかねいろのそら』。RPG好きのプレイヤーには、ぜひ遊んでみてほしい一作だ。

[基本情報]
タイトル 『あかねいろのそら』
制作者 青汁(制作者様サイトはこちら
クリア時間 10~15分
対応OS win 2000 / NT / ME / XP / VISTA / 7
価格 無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/5125

  • poroLogue(@poroLogue

    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。