ノンフィールド系フリゲRPG『冒険者は森に強い』。3つしか選べない行動の「読み合い」が熱い

今回は、ゲーム部分が戦闘だけで構成されたフィールドのないRPG『冒険者は森に強い』を紹介する。このゲームを製作したサークルであるNumber-Animalは、本作のほかにも、通常のショットが存在せずボムだけを使って敵の攻撃を切り抜ける独特なシューティングゲーム『Bomb!Bomb!UFO!』など、システム部分にこだわりの見える作品を公開している。

本作は、公式ページにて「アーケード型のRPG」と紹介されており、ゲームセンターで遊べる筐体のゲームのように「1回のプレイで、どこまで負けずに勝ち抜けるか?」ということにチャレンジする独特なRPGとなっている。またゲームシステムとしては、使うコマンドは3つだけというシンプルさではあるが、それでいて相手の行動を読みつつ行動していくという奥深さが特徴となっている。早速紹介していきたい。

次々と現れる敵の行動を読み切り、「運命の森」の奥へ進め!

本作は、「運命の森」というダンジョンに向かった冒険者が、森の奥を目指して敵を次々と倒していくという、ゲーム部分が戦闘のみで構成されたノンフィールド型のRPGだ。主人公である冒険者の成長要素はなく、ランダムに現れる敵をひたすら倒していくという構成になっている。

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プレイヤーの操作する冒険者は能力が固定されている。最大HPは80となっており、限られたHPでどこまで勝ち抜けるかチャレンジするゲームだ。

冒険者が戦闘で使えるコマンドは「攻撃」、「カウンター」、「吸収」という3つだけ。敵も同じく、この3つのコマンドしか使用してこないルールとなっている。これらコマンドのうち、「攻撃」は、相手に6ダメージを与える通常攻撃だ。「攻撃」を選んだ場合、もし相手が「吸収」を使用してきた場合は、隙を付いて12ダメージを与えることが出来る。カウンターは、相手が「攻撃」をしてきた場合にダメージを3に半減し、その上で9ダメージを反撃として返すという反撃の技。「吸収」は、与えるダメージは4と少ないものの、自分のHPを5ポイント回復することが出来るという効果を持つ。

このように、3つそれぞれのコマンドはじゃんけんのような「3すくみ」の構造になっており、敵がどういった行動を選んでくるか?を想定しつつ、こちらの行動を選択していくか?という意思決定がポイントとなっている。

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プレイヤーに出来ることは、3つのコマンドの中からどの行動を取るかを考え、実行することだけだ。

「運命の森」の奥へ進んでいくなかで現れる敵は、それぞれ行動パターンに特徴をもっており、どういった行動を取るかの傾向が決まっている。その傾向を考えつつ、有利な手を選択していくというのが基本的な流れだ。

たとえば、ゲームを開始したばかりの序盤では、「攻撃」だけしか行わないゴブリンのような敵「切り裂くもの」など、単純な相手が多い。この相手に対しては、「攻撃」に対して有利な手である「カウンター」をひたすら選ぶことで簡単に倒すことが出来る。しかし戦いを重ねていくほど、行動が特徴的なものになっていく相手が増えてくる。前のターンに自分の選んだ行動をそのままマネしてくるネズミの敵「モノマネズミ」、特定のターンでの行動が確定しているスライムのような見た目の敵「リキッド」など、個性のある敵に対して、いかにダメージを受けずに攻略するか考えることがこのゲームの醍醐味だ

なお、行動が完全にパターン化されている、といった敵は少なく、敵ごとの傾向を読んだ上で、さらに一部で「運」の要素が絡んでくる。その部分はまさにじゃんけんのようで、確実に有利な行動が確定できない状況は、プレイヤーが自分の直感を信じて行動を選択する必要がある。HPがギリギリの状態で、自分の「運」を信じなければならない…という状況に直面したときに、見事有利な行動を選択して敵を倒せた場合は、ゲームとしての熱さを感じることが出来る。

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戦闘のなかで、冒険者が一度も不利な手を使わず勝てた敵に対しては、画面左に「実績解除!」という表示がされ、その敵がどういった行動のパターンを持っているのかの情報を見れるようになる。こういった情報も活用し、森の奥を目指そう。

また、本作はゲーム中の中断セーブはいつでも可能だが、あくまで中断のための一次的な記録となっており、冒険者のHPが0になってゲームオーバーとなった場合に途中の戦闘からやり直すことは出来ず、最初の戦闘からやり直しとなる。奥に進むほど強い敵が出てくる中で、一度も負けずにどこまで進めるか?という緊張感のある戦いが楽しめるのだ。

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敵を倒すごとに画面左上のラウンドが増加し、より強い敵が現れるようになる。なかには強大なボスのような敵も…。

限られたHPの回復要素。「泉の精」と「吸収」を有効活用しよう

戦闘をひたすら繰り返していく中での重要な要素としては、7戦勝ち抜くごとに現れる「泉の精」だ。泉の精は、戦闘で失ったHPの回復を行ってくれる。このゲームでは回復手段が、この「泉の精」と、行動で「吸収」を選択するだけしかなく、そのうちの「吸収」に関しては、戦闘中に十分な量のHPを回復できる機会にはなかなか恵まれない。そのため「泉の精」は、ゲームの攻略において非常に重要なポイントとなってくる。ゲーム序盤では回復量はわずかだが、後半のラウンドになるほど回復量が上がるので、重宝するだろう。

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戦いの合間に現れ、冒険者のHPを回復してくれる「泉の精」。敵の攻撃が激しくなる後半では特にありがたい存在だ。

また、「吸収」については、使いどころを見極めることが重要になっている。たとえば、冒険者の行動が「吸収」、相手の行動が「攻撃」だった場合、行動の相性のために吸収した分を上回る大ダメージを受けてしまう。そのため、たとえば「特定のターンにカウンターを行ってくる敵」に出会った場合、そのターンを狙ってすかさず「吸収」を行う…という戦い方を取るなどして、安全にHPを回復する工夫も必要だ。

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相手へのダメージと自分の回復を兼ねた「吸収」は便利だが、使いどころを考えるのが鍵となる。

キャラクターのレベルでなく、プレイヤーの判断力を鍛えていく面白さ

本作は主人公のレベルなどの成長要素が無いため、レベル上げなどに時間をかけることはない。ゲームの攻略に必要な要素は「敵がどういった行動パターンで、こちらはどういう行動をすべきか?」という、プレイヤーの判断能力だ。敵の行動の傾向を考えながら、それに対して的確と思われる行動を選択する…そういった、トライ&エラーの過程が楽しい作品となっている。初めのうちは敵の行動パターンがうまく掴めずに負けてしまうかもしれないが、森の奥まで進めるようになった時には達成感を感じることが出来る。シンプルながらも読み合いが奥深い本作を、ぜひともプレイしてほしい。

[基本情報]
タイトル
冒険者は森に強い
制作者 Number-Animal(制作者様サイトはこちら)
クリア時間 1プレイ10分~30分ほど
対応機種 Windows VISTA/7/8
価格 無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/8688


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    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。