フリーゲームアクションRPG『箱庭えくすぷろーら』 遊び心を詰め込んだドット絵の箱庭で、自由度が高くてちょっとだけエッチな大冒険をしよう!

RPG,フリーゲーム

箱庭えくすぷろーら
 
今回紹介するのは、フリーゲームのアクションRPG『箱庭えくすぷろーら』です。制作者はすき(suxamethonium)氏で、スクリプトエディタ「Hot Soup Processor」 (HSP)によって開発されました。圧倒的といえるほどドットアニメーションが作り込まれており、開発の早い段階からツイッターで大きく拡散され話題を呼びました。

本作の特徴はそのビジュアルだけにとどまらず、クォータービューで描かれたユニークな世界観、武器やアイテムを使った派手で熱いアクションバトル、プレイヤーを縛らない自由な探索の楽しさ、全編書き下ろしのBGMと、一言では表せないほど多くの魅力が詰まっています。筆者も夢中になりながらプレイしたので、ぜひご紹介したいと思います。

クォータービューの2Dアクションゲームは珍しい

さて、『箱庭えくすぷろーら』のゲーム内容の前に、まず「クォータービュー」とは一体何かを説明します。

多くのドット絵を用いた2Dゲームでは、操作するキャラクターを横から見た「サイドビュー」、または上空から俯瞰した「トップビュー」の視点で書かれるのが一般的です。

それに対し「クォータービュー」は斜め上から俯瞰した視点のことで、2Dでありながらも立体的に見える表現です。この視点がよく採用される主なゲームは『タクティクスオウガ』などのシミュレーションゲームで、2Dアクションでは十字キーの向きとの兼ね合いもあり、珍しい形式となっています。そういった意味で本作は非常に挑戦的なゲームデザインだと言えます。

文字通り「箱庭」で表現された魅惑の世界

本作の世界は、すべて四角いマップで構成されています。美しい小さな箱庭の中に建物や植物などが所狭しと並び、さらにその背景がアニメーションで動くので、歩いているだけでもプレイヤーを楽しませてくれます。エリアごとに季節の彩りが大きく異なり、太陽が照りつける砂漠や、雪が降り注ぐ氷の湖などバリエーションが豊かです。

箱庭えくすぷろーら
 
箱庭えくすぷろーら
本作のグラフィックはすべてドットで描かれている。街やダンジョンには隠された要素もあるので、探索の度に驚きを与えてくれる。
 
この世界を渡り歩く本作の主人公は、街郊外のモンスターを討伐している「冒険者にと」です。彼の冒険は最初の拠点「ハジメタウン」から始まります。旅先で出会う人達は個性的な人物ばかり。例えばプレイヤーのガイド役をしてくれる女の子は、なぜかスクール水着を着て各地にいます。他の住人もちょっとだけエッチな台詞や有名なゲームのパロディを言ったりと、愉快なテキストが冒険にユーモアを添えてくれます。

箱庭えくすぷろーら
プレイヤーにアドバイスをくれる「すく水」。何故この格好をしているかは不明だ。
 
そんな住民に気を良くしたからと言って、うかつに攻撃してはいけません。彼らは怒り心頭で突如プレイヤーに襲い掛かってきますので気をつけましょう。

箱庭えくすぷろーら
攻撃だけでなく、住民に迷惑をかけても恨まれる。しかしイベントが豊富なので、悪いことと分かっていても、ついついやってしまう。
 
住民の話を聞くと、各地のダンジョンを教えてくれます。ダンジョンには宝箱が眠っており、別のエリアに繋がっているものもあります。さらには女の子の姿をした可愛いモンスターもいますが、こちらもまた油断してはいけません。主人公を縛り上げ、刺し、引っ掻いて襲ってくる凶暴さも持っています。特に奥底に待ち構えるボスはどれも強敵で、妖艶な見た目でこちらを誘惑しながら猛攻してきます。彼女らに対抗するには、あらゆるものを活用して戦っていく必要があります。

箱庭えくすぷろーら
 
箱庭えくすぷろーら
住人に負けず劣らず、モンスターも個性派揃い。しかしその動きに見とれていると、あっという間に負けることも。
 
箱庭えくすぷろーら
エリアボスのひとり、「ぼすらみあん」。一度捕まるとレベルを吸収してくるので注意が必要だ。
 

豊富な攻撃手段を駆使せよ!!

『箱庭えくすぷろーら』のアクションバトルでは、「武器」による攻撃と「アイテム」の使用タイミングがとても重要です。本作の武器は種類が沢山用意され、オーソドックスな「剣」を始め、遠距離攻撃が可能な「弓」、連続ヒットをする「鎌」、強力な範囲攻撃が可能な「斧」などがあります。装備するとボタン一つで使えるアイテムにも、属性攻撃を使える「魔導書」、時間が立つと爆発する「大たる爆弾」、べたべたで相手の装備を溶かす「けしからん液体」など様々です。

箱庭えくすぷろーら
魔導書には3種類の属性がある。上手く使いこなせば、格上の強敵とも渡り合えるはずだ。
 
一方でこれらの装備やアイテムは使用回数があり、0になると壊れてしまいます。所持できる数も有限なため、何をダンジョンに持っていくのか選ばなくてはいけません。

また、どんな強力な武器もただ闇雲に使うのは危険です。モンスターの中にはダメージを受けた後に無敵時間に入るものもいるので、攻めているはずが手痛い反撃を受けることもあります。そのため、小さな箱庭の中を駆け巡って敵を避けつつ、確実に攻撃を当てていくことが要求されます。可愛らしい見た目とは裏腹に、スリリングな戦いがプレイヤーを待ち受けるでしょう。

箱庭えくすぷろーら
武器によって戦い方が大きく変わってくる。それぞれの特性をうまく活かそう。
 

プレイヤーが自由に冒険して道を開拓してゆく

『箱庭えくすぷろーら』では決められた進行順序はありません。街で情報を得た順でダンジョンを攻略することが出来るので、プレイヤーごとにまったく違う冒険が生まれます。ダンジョン自体も無理にモンスターと戦う必要はなく、ボスの待つ場所まで一気に駆け上ることも可能です。

自由だからと言って旅の目標が何もないわけではなく、冒険の達成度を示す「実績」が用意されています。内容はボスモンスターの討伐やエリア開通などの他に、隠し要素を探すユニークなものもあります。中には一定以上住人から嫌われないと達成できない実績も・・・。ゲームを隅々まで探索し尽くせたなら、あなたは立派な冒険者になれるでしょう。

箱庭えくすぷろーら
沢山用意された実績を埋めるために、各地を奔走するのが何より楽しい。そして達成率が100%になると・・・?
 
箱庭えくすぷろーら
嫌われ者だけが辿り着けるダンジョン「イミフメイフ」。その最深部で待つ者とは・・・?
 

箱庭を彩るメロディーとともに旅立とう!

最後に本作に絶対欠かせない要素として、全編書き下ろしのBGMがあります。作曲者は吉松たつゆき氏で、大河ドラマのように重厚な物語を描いたフリゲSRPG『グレイメルカ』へ楽曲提供もしています。

旅路をワクワクさせてくれるようなポップな曲が多いですが、エリアごとの四季感にマッチしたダンジョンBGMや、展開が目まぐるしく変わる熱い戦闘BGMも魅力的です。とある街にはデバッグルームがあり、ゲーム内で使用された楽曲を聞くことが出来ます。名曲揃いなので、ぜひ探してみてください。

箱庭えくすぷろーら
冒険後にデバッグルームでBGMを聴き、旅の思い出を振り返ることも出来る。
 
壮大な冒険を箱庭の中に凝縮させた本作は、手軽に濃厚な体験ができるゲームです。常に新しい発見があり、最初から最後まで遊び心に詰まっています。ときに強敵や罠にハマることもありますが、それを攻略したときの喜びは他では替えられないものです。興味を持ちましたら、ぜひ気軽に冒険の地へと足を踏み入れましょう!

[作品情報]
タイトル 『箱庭えくすぷろーら』
制作者 すき(suxamethonium)(制作者様サイトはこちら)
対応OS Windows 8/10 確認済み
プレイ時間 3~5時間程度
価格 無料

ダウンロードはこちらから
http://ux.getuploader.com/twsuxa/

  • ノンジャンル人生(@nongenre_zinsei

    普段からRPGの考察と『メイジの転生録』の話ばかりしている人です。2016年にはもぐらゲームスにて連載「フリーゲームをはじめよう。」を寄稿し、近年はVR・VTuberの記事なども執筆しました。noteでは「一期崎火雀」名義でゲーム関連のコラムを書いています。

    自身もRPGを制作中。

    note:一期崎火雀(ノンジャンル人生)