フリーゲーム・サイコADV『SPIEGEL EI』 虚ろな少女が“鏡の世界”に惑う。

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鏡に向かって「お前は誰だ?」と言い続けると気が狂う。そんな都市伝説を聞いたことはないだろうか。
実際にやってみたところを想像してみて欲しい。きっと言い知れぬ不安感が湧き上がるはずだ。何も起こるはずはない……しかし万が一でも、何らかの反応が返ってきてしまったら。鏡に映った自分の顔がぐにゃりと歪んで返事をしたら、という思いが浮かんでしまう。

今回紹介するゲーム『SPIEGEL EI』は、そういった鏡が抱かせる不安感を題材にした作品だ。
 
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虚ろな目をした一人の少女が、孤児院に入所した。少女の名はアイ。
同じ棟で暮らす二人の少女・フロイとテューマに暖かく迎え入れられるが、アイの心は頑ななままだ。
そんな少女が心を奪われたのは玄関の大鏡。あるときアイは、鮮血のように真っ赤なチョークの粉が、鏡の中へ誘うように続いているのを目にするが……。

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現実と鏡、少女は二つの世界を行き来する

プレイヤーは主人公であるアイを操作し、現実世界と鏡世界の双方を行き来しながら謎を解いていく。
たとえば、現実世界で暗証番号のロックがかかった扉があるとき、鏡の世界で暗証番号を知ることができる。逆に、鏡の世界で必要となるキーアイテムを現実世界で拾えたりする。

ただし、注意点がある。そもそも「鏡の世界へ行く」ことは、少女にとって危険な行為だということだ。
鏡の世界には奇妙な住人たちがいる。可愛い外見のものもいるが、中には少女を餌食にするものもいる。また、鏡の世界は少女の持つトラウマをも映し出す。すなわち、トラウマが実体を持って襲い掛かってくる。
謎解きを誤ったり、トラウマに捕まったりすると即ゲームオーバーになってしまう場面もあるため、こまめにセーブすることが重要だ。

さらに、冒頭の都市伝説の話を思い出して欲しい。鏡の世界という曖昧な世界に浸りすぎると、少女の精神は戻ってこられなくなるかもしれない。よりゲーム的に言うなら、BAD ENDに近づいてしまうのだ。
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ゲームという特性を活かした演出は不安を煽るのに効果的

ゲームという媒体ならではの演出も、工夫があって面白い。
ゲーム開始直後、プレイヤーネームを入力すると、アイに似た少女が見透かしたように「それ、本当にあなたの名前なの?」と問うてくる。「いいえ」を選ぶと「駄目だよ、嘘ついちゃ」と叱られてしまう。
もちろんゲーム側がプレイヤーの本名を知る由もないのだが、ドキッとさせる演出だ。

他にも、ドアから漏れ聞こえる会話をアイが盗み聞きするかどうかなど、「いけないこと」の是非をプレイヤーに委ねられる場面がある。
もちろんゲームの中の出来事だから、どれを選んでもプレイヤーの自由だ。好奇心に負けて聞き耳を立ててもいい。しかし、その行いは「見られている」。名前の入力時と同様に、ゲームプレイ中に突然糾弾されることも覚悟しなければならない。

このように、小説やアニメと違い、ゲーム特有の「プレイヤーのアクションに対するフィードバック」として不安をかきたてられる演出が本作の優れているところだ。

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人を選ぶが、ハマる人にはとことん魅力的な世界観

「儚げなキャラクターとサイケデリックな鏡世界」という独特の組み合わせが気に入った方や、少女が精神的に追い詰められていくサイコな世界観をのぞきこんでみたい人は、本作をプレイして損はないだろう。
また、本作はホラー系ADVにありがちな、音で驚かせたり、画面いっぱいの顔でおののかせたりする演出はない。ただ静かに、プレイヤーの精神を揺さぶって不安を煽ってくる。直接的なホラー表現に食傷気味という方にも、ぜひおすすめしたい。

[基本情報]
タイトル SPIEGEL EI
制作者 タオ (制作者様サイトはこちら)
クリア時間 1~2時間
対応OS win
価格 無料

ダウンロードはこちらから
http://www.vector.co.jp/soft/winnt/game/se511477.html

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    ロキオ(@6th_key

    ソーシャルゲームの企画をしたり、文章を書いたりしています。
    PCやスマホのインディゲームを遊ぶのが趣味。
    最近はアナログゲームにも興味津々。