秋の夜長に!おすすめフリーホラーゲーム特集

フリーゲームの中でも人気の高いジャンルのひとつである、ホラーゲーム。もぐらゲームスでは、これまでにも数々の力作を紹介してきた。

苦手な人にはおすすめしない、本当に怖いフリーホラーゲーム特集

怖そうで怖くない、少し怖いフリーホラーゲーム特集

今回は、そろそろ冬の足音も聞こえてくる中、晩秋の夜長に楽しむのにぴったりなフリーホラーゲームを紹介しよう。話題となった最新のホラーゲームタイトルのほか、これまでもぐらゲームスで取り上げきれなかった作品も複数紹介させていただいた。気になる作品を見つけた人はぜひプレイしてほしい。

『虚白ノ夢』

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最初に紹介する『虚白ノ夢』は、墓荒らしダンジョン探索RPG『積層グレイブローバー』や、選択系恋愛ADV『Leanan-Sidhe』などのゲームを送り出してきたカナヲ氏の作品だ。プレイヤーの心の隙を突くホラー演出と、自ら命を絶った少女の物語を描き話題となった。
主人公である少女「ミシロ(碓氷深白)」は、自殺を図った後に謎の世界に迷い込んでしまう。そこで目の前に現れた「鏡」から聞こえる謎の声によれば、この世界に存在する「鏡」を割ることで、ミシロは記憶を取り戻し、そして彼女の「願い」が叶うという。謎の声に導かれるままに、謎の世界の探索をすることになる……。
本作の特徴としては、『青鬼』『魔女の家』など名作ホラゲに見られるような「おどろかし」のホラー描写が巧みであることが挙げられる。加えて、運命に囚われた人間たちが織り成す物語自体にも恐ろしさがあり、演出面だけではなく物語としても読みごたえのある作品となっている。
本作の舞台となる謎の世界にはミシロ以外にも、女子学生の「ユズ」、会社員風の男「リョウタロウ」など様々な人々が迷い込んでおり、ゲームを進めるごとに明らかになる彼らの事情、そして世界の秘密も見どころのひとつだ。3時間ほどで終わる短編ながらも、恐怖と物語がギュッと詰め込まれた濃密な作品なので、ぜひプレイしてみてほしい。
(poroLogue)

ダウンロード:ふりーむ!から

『フラスコのゆめ』

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『フラスコのゆめ』は、2013年に発表されたKUROZ氏製作のオカルトホラーテイスト探索ADV。
ある秋の仕事帰り、“あなた”は娘からの着信に足を止める。『おねがい、パパ、むかえに、きて――』娘は“あなた”の呼びかけには答えず、電話は一方的に切れてしまう。不安に駆られた“あなた”は娘を探し、山奥に佇む謎の一軒家を探索することになるが……。
本作に「恐怖の化身」となるような明確な存在はいないが、アート紙のようなテクスチャで描かれたシルエット調のグラフィックはKUROZ氏によるオリジナルで、他ゲームにはない独特の雰囲気を楽しむことができる。常に「何か」の視線を感じながらも、その正体が掴めない……そんな恐怖は、時に恐ろしい容姿の化物をも凌駕するのだ。
入手したアイテムを乱暴に扱うか慎重に扱うかで、物語の結末が変化するのも面白い。“あなた”に用意されたエンディングは5つ。哀しみと狂気の末に、父と娘が辿り着く場所とは……。
プレイ時間は1時間程度。丁寧なチュートリアルもあり、隅々まで探索を行えばヒントなしでも十分クリアできる難易度になっている。秋風のように冷たくもどこか優しい恐怖の世界を、ぜひ体感してみて欲しい。
(ジグル)

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製作者:KUROZ(クロズ)

『bury』

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『bury』は、マザーグースをモチーフとした探索ホラーADV。本作は製作者・ハチスカ氏の「やわらかなホラーを目指した」という言葉通り、恐怖よりも不気味な雰囲気を味わいながら探索を楽しむ作品だ。
物語は、少女・ココが失くしてしまった大切なノートを探すため、美しい庭園のある屋敷を訪れるところから始まる。ココが屋敷の中で出会うのは、マザーグースになぞらえた不思議な人(?)たち。「忘れんぼうのバイオリン弾きの猫」のようにコミカルで笑えるキャラクターから「やたら高い靴を履いていて、斧で襲ってくる女の子」など、二度と会いたくない奴まで色々だ。可愛くてよく動くドット絵も本作の見所の一つだろう。
ところで、マザーグースに馴染みのない人もいるのでは? マザーグースはいわゆる英語の伝承童謡で、その内容は様々。単なる言葉遊びのものから非常に残酷な内容のものまである。
しかし安心して欲しい。本作は謎解きにも物語にもマザーグースが深く関わってはいるが作中に謎を紐解くヒントが十分にあり、マザーグースを知らなくてもその特有の不気味で可笑しな世界をたっぷり楽しめる。
やわらかな恐怖に包まれた切ない物語の世界に、是非触れてみてはどうだろうか。
(ジグル)

ダウンロード:Vectorから

『盲愛玩具』

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『盲愛玩具』は『アイシャの子守唄』や『AMANI』の製作者でもある、あうぐ氏の探索ホラーADVだ。
主人公の少女・メイベルが、バートランド邸に引き取られて明日で丸1年。1周年パーティー前日の夜、メイベルは謎の声に導かれるように目覚め、屋敷内の探索を始めるが……。
基本的に、シンプルなグラフィックと音楽のない環境音のみで構成される本作だが、探索によって徐々に明かされていく真実が、じわじわとプレイヤーを追い詰めていく演出とストーリー展開は秀逸だ。
あうぐ氏の作品の特徴として、直接的な表現は避けつつも、少女たちが生きる世界の残酷さを手加減なしに描いていることが挙げられる。本作でもメイベルが作中で言葉を発することはないものの、プレイを通し彼女を操作することで、プレイヤーは彼女の遭遇する過酷な運命を疑似体験できるようになっている。繰り返し起こるフラッシュバックのような演出に、筆者は毎回どきりとさせられた……。
プレイ時間は30分ほどの短編だが、必ず心に残るものがあるはず。興味をもった方は、ぜひプレイしてみてほしい――彼女の苦悩を知る覚悟があれば、の話だが。
(ジグル)

ダウンロード:Vectorから

本作の制作者あうぐ氏の作品『アイシャの子守歌』レビュー記事:
振り返るのが恐い短編フリーホラゲ『アイシャの子守歌』。劇中で間接的に”語られる”悲劇とは?

『バグのセカイ』

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本作は、「第10回 ふりーむ!ゲームコンテスト」にて、ホラー部門銀賞を受賞した作品。バグったゲームのような不気味な世界を探索するという独特の感覚、そしてゲームのバグが、現実の世界にも侵食していく恐ろしい設定が話題となっていた。
主人公の少女は、あるゲームを手に取る、そのゲームは、まるでファミコンのゲームがバグったかのような世界の作品であった。ゲームの探索を行なっていた少女だが、次第にゲーム内のバグが現実世界にまで迫ってくる……。その演出は恐ろしく、また謎解きにも歯ごたえがあり、ホラーアドベンチャーとしても質の高いものとなっている。
本作はクリア時間2~4時間程度の短編ではあるものの、謎解き要素や攻略要素もあり、一筋縄ではいかない作品となっている。夜の長いこの時期に、腰を据えてじっくりプレイしてみてはいかがだろうか?
(poroLogue)

ダウンロード:ふりーむ!から


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    poroLogue(@poroLogue

    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。

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    ジグル(@ber0601

    物心つく前からコントローラを握っていたといわれる生粋のゲーム好き。ファミコン&スーファミ世代でPS2を最後に家庭用ゲーム機から離れていたが2013年にフリーゲームと出会い、再びゲームに染まる日々を送る。自身もホラーゲームを作るホラゲ好きでもあるがお化け屋敷は大の苦手。人生で一番ハマッたゲームは『ライブ・ア・ライブ』。