フリーゲームRPG『ひびかけ色のキセキ』。魔法使いの女の子が陰謀に立ち向かう物語と、リアルタイムバトルが魅力

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今回も、昨年から公開数が増えてきているフリーゲームRPGを紹介したい。フリーゲームのRPGでは、RPGツクールなどのゲームエンジンを使用しつつも、自作システムを作りこんでいる作品も多く存在する。それらRPGについては、以前にもぐらゲームスでも特集形式で取り上げた。

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そこで今回は、自作のシステムが光るノンフィールドのRPG『ひびかけ色のキセキ』を紹介したい。本作の特徴としては、シンプルで見やすいゲーム画面や、「魔法」のカスタマイズが鍵となる戦術、アクティブタイムバトルを採用した戦闘システム、そして難易度選択機能が搭載されており、RPG初心者から、手ごわい戦闘を求めるプレイヤーまで幅広くオススメできる作品となっているところだ。さっそく紹介したい。

魔法使いの女の子たちが、陰謀に立ち向かう物語

物語は、魔法を学ぶ学生たちの集う施設である「学校」から始まる。田舎で教師をしている魔法使い「リジェ」は、とある事情で学校を訪れていた。そこで、現役の学生である「シイナ」と出会う。ひどく慌てている彼女のことを聞いているうちに、突如異形の生物である「魔者」が襲来。リジェとシイナは戦うことを余儀なくされる。そして学校の現役生や、リジェのかつての同級生たちと再会する中で、世界に関する大きな陰謀に巻き込まれていくことになる……。

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魔法を学ぶ学校にて、リジェ(画面左)とシイナ(画面右)が出会う

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そこに、突然異形の生物が……

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現役の学生や、リジェのかつての同級生と再会し、世界に関わる陰謀が徐々に分かってくる

敵の動きを読み、的確に「ガード」を行なう戦闘システム

本作の特徴となる戦闘システムは、ターン制戦闘ではなく、リアルタイムで進行するアクティブタイムバトルの方式となっている。戦闘画面下部のキャラクターのパラメータに表示されている「AP」のゲージが貯まった順に行動できるシステムとなっており、キャラクターの敏捷性(AGI)のパラメータに応じて、ゲージの貯まる速度は変わる。

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リジェのパラメータの下の部分にある紫色のゲージがAPゲージだ。これが満タンになったキャラクターから行動することが出来る

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キャラクターの行動選択時には、画面上部に今後の予想行動順序が表示される。こちらも参考にして立ち回りを決めていこう

特徴的なシステムが、リアルタイムで進む戦闘中に、キー1つで「ガード」を行なうことが出来る点だ。ガード行動に対応するキー(キーボードの場合、初期設定ではXキー)を押している間、APのゲージの貯まりはストップするが、その代わりに敵から受けるダメージを軽減することが出来る。

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ガードをしている間は、各キャラのパラメータに盾のマークが表示される。この間、APゲージは貯まらないが、防御態勢で敵の攻撃を受け止めることが出来る

物語が進むごとに敵の攻撃は激しくなっていくので、ガードのタイミングを誤ると大きな痛手になることもある。敵の攻撃を恐れるあまり、あまりにも長い間ガードをしていると、APゲージが貯まらず攻撃に移ることが出来ない。RPGでありながら、まるでリアルタイムのアクションのような要素が存在するのだ。
なお、敵のAPゲージは、戦闘コマンドである「アナライズ」を使用しないと見ることが出来ない。アナライズは同じ敵に3回まで実施することができ、回数に応じた敵の情報を見ることが出来る。一度アナライズした敵は、以降出現してもアナライズ済みの状態となる。

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ガード時にはダメージが軽減される。後半になるほど敵の攻撃は強力になっていくので、守りのタイミングが重要になってくる

進行はステージクリア形式のノンフィールドRPGとなっている。基本的には、戦闘準備を行い、現れる敵を倒すということを繰り返していく。戦闘準備画面の「Progress rate」で、ステージの進行度が分かるので、参考にしよう。

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Progress rateが100%になるとボスが登場する。ボスを倒せばステージクリアとなり、次の章へ進むことが出来る

「魔法」のカスタマイズが鍵となる、戦術性の高いシステム

本作の戦闘は、基本的に「魔法」を使用して戦う。通常攻撃やアイテムは存在せず、攻撃・回復・補助など全てを魔法を使うことによって行なう。戦闘中に使用できる魔法は、キャラごとのステータス画面で装備品のように付け替えることが出来る。キャラクターのレベルが上がるごとに使用できる魔法が増えていき、装備できる魔法の属性は・数はキャラクターごとに異なる。

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ステータス画面で魔法の装備を行なうことが出来る。属性ごとに特徴の異なる数々の魔法が存在する

魔法にはそれぞれレベルが存在しており、装備した魔法に対して、キャラクターたちがレベルに応じて持っている「SP」、または魔者を倒した時に入手できる「エナジー」を割り振ることで強化を行なうことが出来る。レベルを上げた際の効果は魔法ごとに様々で、攻撃魔法であれば、ダメージ量の増加、攻撃回数の増加。回復魔法であれば、治せるステータス異常の種類の増加など、様々に変動するのだ。
魔法に割り振ったSPやエナジーは、スキル画面でいつでも振り直すことが出来るため、戦闘に詰まったら魔法レベルの割り振りを見直してみるのも良いだろう。

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キャラクターの持つSPやエナジー(画面右下の「E」)を消費することで、魔法のレベルを上げることが出来る。キーボードの場合、初期設定ではAキーを押せば、スキルのレベルを上下することが出来る

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戦闘中に使えるのは装備した魔法のみ。状況に応じたチョイスが必要となってくる

このゲームでは、このように魔法を主軸とした戦闘が行なわれるため、戦闘中は魔法を使うために必要な「MP」に常に気をつけなければならない。戦闘中にキャラクターのターンが回ってきた時に選択できる「チャージ」のコマンドで、自分のMPを回復したり、また「リンケージ」で他のキャラのMPを回復することも出来る。これらの行動はキャラクターの持つスキルによって、MP回復以外の様々な恩恵が付与されることもあるので、上手く活用しよう。

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戦闘中のコマンドでMPを回復することが出来る。いざ魔法を撃とうとした際にMPが足りないという事態に陥らないよう注意しよう

本作は、これまで紹介したアクティブタイムバトルや魔法のカスタマイズといった特徴的なシステムに加え、画面の設計やチュートリアルなども上手く作りこまれたものとなっている。ゲーム開始時に難易度を選択することが出来るため、戦闘は苦手だが物語を楽しみたいという人も遊ぶことが出来る。プレイ時間は5時間ほどとなっているので、休日にぜひ遊んでみてはいかがだろうか?

[基本情報]
タイトル 『ひびかけ色のキセキ』
制作者 ecoddr(制作者様サイトはこちら
クリア時間 5~10時間程度
対応OS Windows 7/8/10
価格 無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/10983

  • poroLogue(@poroLogue

    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。