恐怖の謎解きアドベンチャー『Killer in the Forest』。文章に隠されたトリックを見破れるか?

今回は、ノベルゲーム制作ツール「Script少女のべるちゃん」で制作された探索型ホラーアドベンチャー『Killer in the Forest』を紹介する。「Script少女のべるちゃん」とは、フリーで使えるノベルゲーム制作ソフトで、現在iOSとAndroidに対応している。制作されたゲームは「のべるちゃん」内の作品検索で探して遊ぶことができ、今後はブラウザでのゲームプレイにも対応予定とのことだ。

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ノベルゲーム制作ツール「Script少女のべるちゃん」

今回紹介する『Killer in the Forest』は、のべるちゃんで制作されたゲームのコンテストである「第1回のべるちゃんコンテスト」の「スタッフ賞」を受賞している。ノベルゲーム制作エンジンで作られた作品ではあるものの、探索アドベンチャー要素の強いゲームに仕上がっているという異色の作品だ。

本作の特徴として、謎の殺人犯の潜む森を「自分で地図を書きながら探索する」というアドベンチャー要素の面白さは見逃せない。また有名ノベルゲーム『かまいたちの夜』のような怖さの中にユーモアを感じる文章も楽しめる作品となっており、作中で展開される「プレイヤーの認識を欺く文章のトリック」もぜひ体験してほしい。

殺人者の潜む恐怖の森。仲間たちと一緒に脱出しろ!

このゲームの物語は、映画研究会で活動する大学生の黒岸智也(くろきし ともや)や世良明日美(せら あすみ)たちが、ホラー映画の撮影のために深い森へと訪れたところから始まる。現地に到着し、ロケを楽しむメンバー達だが、ふと気がつくと先輩の1人がいなくなっていることに気がつく。心配になり森の中を探すメンバー達だが、そこで発見されたのは、何者かの手により無残な姿となった先輩の死体だった…。

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映画研究会のメンバーである黒岸智也と世良明日美の会話から物語は始まる。

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ロケ地へと向かう電車での映画研究会の面々。個性派が揃っている

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撮影の準備でも和気藹々とするメンバー達。しかし、この後に事件が待ち構える

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撮影中に行方不明になってしまった先輩を探す面々。捜索の末、目の前に現れたのは…

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本作の目的は、森の中に潜む謎の殺人鬼から身を隠しつつ、先輩の死体に驚いて森の深くへ走り去ってしまった明日美など、捜索の途中ではぐれてしまった映画研究部のメンバーを探し、森から脱出することだ。

自分で「地図」を作る探索要素。限られた時間で仲間達を救おう!

森の中でプレイヤーが取れる行動は、「移動」、「探索」、「休憩」、「応急処置」の4つ。これらコマンドを駆使して、殺人犯から逃げつつ仲間たちを探すことになる。

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4つのコマンドを駆使して森の探索を行おう

このゲームの一番の特徴は、探索の舞台である森の中を移動しつつ、自力で地図を作っていく探索の楽しさだ。このゲームでは地図を確認できる機能などは存在せず、自力で森の中を探索して地理を掴まなければならない。しかし、それは決して面倒な作業になっておらず、場所ごとの特徴を表したメッセージは探索の補助になり、また移動先ごとに様々イベントがあるため、楽しみながら探索をしていくことが出来る。また、森の中は広大過ぎず、狭すぎずという広さのため、探索ゲームのバランスとしては絶妙の規模感となっている。

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場所ごとの特徴を表したメッセージを参考に、地図を作りながら森の中を探索しよう

森の中では、現在の場所から「移動」することで他の場所へ行き、そして行動を選択することが出来る。選べる行動のうち「探索」は、現在の場所に何かあるか探すことができる。探索の結果によっては、ゲームのヒントが書かれている「手記」を見つけたり、主人公のスタミナや生命力を回復するアイテムを入手できる。

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森の中で見つけることが出来る「手記」は、ゲームのヒントとして重要な情報が書かれている。一体、誰の手によって書かれたのか…

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森の中に、意味ありげなペットボトルが落ちている…。中身を飲むかは、プレイヤーの選択次第だ

また、主人公には「スタミナ」と「生命力」が決まっており、スタミナが0になると昏倒状態となり、時間をロスしてしまう。そして生命力は文字通り主人公の命。これが0になるとゲームオーバーだ。森の中の探索や、不運にも殺人犯と遭遇して格闘することで消費してしまうこれらのパラメータは「休憩」「応急処置」の行動を選択することで回復できる。

しかし、これらの行動には多くの「時間」を消費してしまう。時間が経過しすぎると、森の中に隠れていた仲間たちが殺人犯に殺されてしまう事態も発生する。常に効率的な行動を心がけ、無駄の無い時間の使い方が必要になってくるのだ。

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スタミナと生命力は重要なパラメータ。常に残りを気にしながら探索を進めよう

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森の中では、運悪く殺人犯と対峙することも…。適切な行動を選んで何とか逃げ出そう

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探索に時間をかけすぎると、仲間たちが次々と殺人犯の魔の手に…

現在いるマップの「探索」を終えたら「移動」して、別の場所をまた探索しよう。これを繰り返し、森の中ではぐれた仲間たちを探すのだ。そして、殺人事件に隠された真実を求めよう。

謎の殺人犯に、謎の少女。探索の果てに待つ真実は…

このゲームには、作りこまれた探索要素の他に、謎解き要素がふんだんに盛り込まれている。ゲームのオープニングから事件は始まっており、真相へとたどり着くにはゲームの開始時点からの展開にも注意する必要がある。特に文章のトリックは特徴的で、後から振り返ると「そういうことだったのか!」と思う場面もあるだろう。

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何気ない会話から、実は既に物語は始まっている

ゲーム中の展開は、シリアスながらもたまにユーモアが挿入されるなど、『かまいたちの夜』を髣髴とさせる。また、森の中を探索する中では、一見事件とは関係ないさまざまな出来事にも遭遇する。森の中で出会う、1人佇む少女の存在などは「この少女は物語でどういった立ち位置なのか?」ということを気にさせてくれるものとなっている。

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森の中で出会う謎の少女の正体とは…?

ノベルゲーム制作エンジンで作られつつも、探索・謎解きアドベンチャーとして作りこまれた本作。ゲームとして歯ごたえがありつつも、クリアまでは3、4時間ほどで終えられるので、森の中で起こった事件の真相をぜひ確かめてほしい。

[基本情報]
タイトル 『Killer in the Forest』
制作者 D-human(制作者様サイトはこちら)
クリア時間 3時間~
対応OS iOS Android(「Script少女のべるちゃん」の動作環境に準拠)
価格 無料

ダウンロードはこちらから
(『Killer in the Forest』の起動に必要となる「Script少女のべるちゃん」のダウンロードページへのリンクです)

iOS版:

Android版:

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    poroLogue(@poroLogue

    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。