クロックタワーのディレクターと呪怨の監督が挑む『NightCry』クラウドファンディングに見るインディへの流れ

インディーゲーム

昨年9月にインディゲームとしての制作が発表され、注目を浴びた3Dホラーアドベンチャー『Project Scissors』。3Dのホラーゲームというだけでホラーゲームが苦手な筆者は身構えてしまうが、その正式タイトルやPVが公開されるとともに、Kickstarter(海外向け)、Campfire(日本向け)で制作資金のクラウドファンディングを開始し、2015年2月10日現在も募集中だ。

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Campfire 日本代表・最恐クリエイター集結。インディーズホラーゲームNightCry始動!
http://camp-fire.jp/projects/view/1443

Kickstarter Project Scissors: NightCry
https://www.kickstarter.com/projects/playism/project-scissors-nightcry

今回は、本作を紹介するとともに、有名クリエイターのインディへの参入について考えてみたい。

「最高の恐怖体験」のために集まったクリエイター陣

このゲームを制作しているのはかの名作ホラーゲーム『クロックタワー』のディレクターを務めた河野一二三氏。本作は『クロックタワー』の精神的続編とされている。


PS時代のホラーゲームの名作クロックタワーの実況。ハサミを持った倒すことができない怪物「シザーマン」から逃げるサバイバル・ホラー。

今回の舞台は豪華客船。主人公には武器が与えられず、邪悪な存在からひたすら逃げて隠れるという「逃げ・隠れるしかできない」というリアルなゲーム性が特徴だ。公開されたPVではこれまたシリーズでおなじみの「ハサミを持った怪物」シザーマンの姿がこれでもかといわんばかりに描かれている。



PVを見ると、3Dになってより研ぎ澄まされた恐怖演出にビビってしまうが、それもそのはず、映画『呪怨』などの監督である清水崇氏と共同で開発を進めているという。どれだけ怖いゲームになるのだろうかと背筋が凍る気持ちになる。

また、今回の制作のために集まっているメンバーは、他にもサイレント・ヒルシリーズのクリーチャー・デザイナーを務めた伊藤暢達氏や、悪魔城ドラキュラシリーズの作曲家・山根ミチル氏など、これまで大作ゲームの制作に深く関わってきたクリエイターが揃っている。そんな彼らが、総力を結集してプレイヤーを怖がらせるゲームを作ろうとしているのだからゾッとする話だ。

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金髪の主人公・モニカは、非常に美しい。ホラーにおける、恐怖を際立たせるための美しさだと考えると、彼女にはこの先どれだけおぞましい運命が待っているのだろうか…。

このゲームで目指しているのは、日本的なホラーゲームだという。日本発のホラーゲームというと、「バイオハザード」や「SIREN」「サイレントヒル」「零」などが思い浮かぶ。いずれもその世界観と恐怖演出は世界でも高い評価を得てシリーズ化している。

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モニカが必死に息を潜めているのはなぜ…?

クリエイターのインディへの挑戦とクラウドファンディング

ビッグタイトルに関わっていたクリエイターのインディゲームでの挑戦というと、2013年にKickstarterでクラウドファンディングをしたロックマンの生みの親、稲船敬三氏の『Mighty No.9』が記憶に新しい。


Kickstarterで4億円近い資金調達に成功し、ついに2015年春に公開となる『Mighty No.9』。続編とは謳われていないが『Mighty No.9』のグラフィックなどを見ると、やはり稲船氏のゲームということもあり、ロックマンを想起させる。

他にも、日本のクリエイターによるインディゲームへの挑戦はある。音楽家で『ソウルキャリバーⅤ』やアニメ映画『涼宮ハルヒの消失』の芸術監督を務めた由良浩明氏を中心とする『ProjectPhoenix』は新作のRPGの開発資金をKickstarterで募集、110万ドルを調達している。

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(画像は戦闘のコンセプトイメージ)

『NightCry』の開発とクラウドファンディングは、そうしたゲーム業界でキャリアを積んできたクリエイターのインディゲームへの新たな挑戦だ。『LA-MULANA2』の開発資金を集めたNIGOROの楢村氏が昨年9月のインタビューで話していたように、彼らがインディゲームを作るようになることで、国内のインディゲームへの関心をより高める可能性を秘めている。

『NightCry』のクラウドファンディングは日本国内に向けたCampfireでは順調なものの、海外向けのKickstarterではやや出足が鈍いようだ。クラウドファンディングは開発のいち要素に過ぎない。成否に関わらず、最終的にどのようなゲームに仕上がるのか、そしてどんな展開をしていくのか注目したい。

なお、今回のクラウドファンディングでは、いわゆる見返りは数多く用意されているが、発売後にゲームをプレイするためのコードがもらえるのは2,500円から。筆者は、クラウドファンディングは「開発中の段階から買う予約販売」と考えている。1本、ゲームソフトを買うと考えればそれなりに妥当な値段ではないだろうか。

気になった人はぜひクラウドファンディングのページの説明も読んでいただきたい。

  • すんくぼ(@tyranusii

    学生時代、MMORPG「リネージュ」で朝から晩まで飽くことなきレベル上げと戦争に没頭する毎日を送る。本業では廃人卒業後、国家公務員を経て、再びゲームの世界へ。「もぐらゲームス」を立ち上げました。ハマったゲームはライブアライブ、ファイアーエムブレム 聖戦の系譜、デモンズソウルなど。
    個人ブログもやってます:もぐらかペンギンか