いまさら人に聞けない Oculus Rift 入門

Oculus Rift DK2,VR(バーチャル・リアリティ)

※2014年9月27日追記

東京ゲームショウなどの各種イベントでの体験など注目を集め続けているOculus Rift。この記事では、「いまさら人に聞けないOculus Rift 入門」と題してOculusRiftの基本的な情報をお伝えしよう。

注目を集めるOculus Rift

Oculus Rift は、広視野角、ヘッドトラッキング(頭の動きに表示が追従する)といった特徴を持つ没入感の深いバーチャルリアリティ (VR) に特化したヘッドマウントディスプレイ (HMD) だ。

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2012年8月にKickStarterで資金募集を開始。目標金額の25万ドルを大幅に上回る240万ドル(約2億4000万円)の資金調達に成功した。更に広く注目され始めたきっかけは、2014年4月にFacebookが20億ドル(約2000億円)での買収を発表したことだ。

FacebookがOculus VRを20億ドルで買収、OculusとMinecraftの交渉は決裂―週刊もぐらニュース号外― – もぐらゲームス

現在、全世界のソフト開発者向けに出荷されたDevelopment Kit(通称DK1)は75,000個。この夏にからさらにバージョンアップしたDK2が出荷されている。

広い視野角とヘッドトラッキング機能で実現した没入感が最大の特徴

ソニーのHMZシリーズなどの既存のHMDと、Oculus Rift との最大の違いは、内蔵されている加速度センサーによるヘッドトラッキングと視野角の広さだ。装着すると目の前に仮想空間が広がり、自分の頭を動かすと、その動きに合わせて仮想現実の中の視界が動く。この点が、従来のHMDやゲームでは味わえなかった「自分がゲームの中にいて動いている」という感覚=没入感を生み出している。

また、現在販売されている開発者キットの300ドル(DK2は350ドル)という値段もこの手の新型デバイスの試作機としては異例の安さだ。

参考:VRディスプレイOculus Riftの没入感―ちょっと仮想現実 (”あっち”) いってくる – もぐらゲームス

ゲームのみならず他分野でも応用される可能性

このように全世界に普及し始めたOculus Rift だが、すでにOculus Rift を利用したゲームの開発が進んでいる。

例えば、『EVE valkilie』のように、Oculus Riftでも動かせるゲームもその一種だ。海外のPCゲームを中心に、こうしたOculus Rift 対応のゲームが増加しつつある。

また、OculusのCEOパルマー・ラッキーが述べるように、VRの特徴を最大限活かしたゲーム(デモ映像)も徐々に増えてきている。

既存のゲームのVRへの焼き直しではなく、VRを前提にしたゲームを作ることが不可欠だ

―パルマー・ラッキーOculus VR CEO

キーボードやコントローラー以外にも、様々な外部装置をつないだり、扇風機を使ったりして、没入感を高めるための様々な工夫をしてソフトを開発している。

また、ゲーム以外の用途にも注目が集まっている。
仮想現実を、自分のやりたいことを実現するツールとして考えた開発者達からは、一気に様々なコンテンツが生まれた。

特に日本国内では、初音ミクなどのキャラクターを利用した様々なアプローチが非常に盛んだ。
例えば、『MikuMikuAkushu』では、Oculus Riftと他の機器を組み合わせることで、あたかも初音ミクと実際に握手しているかのような感覚が楽しめる。

Oculusとミクさんとの、あと30センチをどうにかして…… | 新清士の「デジタルと人が夢見る力」 – コミニー[Cominy] / ブログ

また、仮想空間にモデルルームを設計する取組なども行われている。こうしたシミュレーションの分野では活用の余地が非常に大きい。

ASCII.jp:新築マンションをOculus Riftで内覧! 未来の物件検索「ROOM VR」を体験してきた (1/2)

海外では軍事シミュレーションへの活用も始まっているとの報道もあった。

軍事活用されつつある「Oculus Rift」(オキュラス・リフト):ノルウェー軍の戦車システム « WIRED.jp

個人による開発者が先行

ここまでVR技術の活用のされ方の一部を紹介してきた。他のHMDと比べて、Oculus Riftは手頃な価格なので個人の開発者が手が伸ばしやすい。昨年6月にDK1が出荷されはじめてから、国内で登場したコンテンツのほとんどは個人の開発者が作ったものだ。

日本で最も早く制作され注目を集めた『Mikulus』も開発者の@GOROman氏の個人制作。

2014年5月に開催されたニコニコ超会議3でも20を超えるソフトが展示され、行列ができていた。また、1ヶ月に1回のペースで開発者主催の体験会Ocufesも全国各地で開催されている。
9月に開催された東京ゲームショウではOculus VR社本体がブースを出展、体験するための整理券が開場直後に配布終了となるなど大きく注目を集めている。

ソフトの一例を紹介している記事やレポートはこちら

Oculus Rift DK2コンテンツ紹介
TGSのVRコンテンツ体験レポート ホラゲからアニメまで可能性を秘めたブースをほとんど全部見せます!
VRで歩ける「Virtualizer」Kickstarterで支援を募集中
仮想現実の美少女ゲームをテーマにした漫画『ルサンチマン』の世界が現実に「70%再現」された
100万人に Oculus Riftを被せたい~ニコニコ超会議で話題になった超Ocufes にインタビューしてみた – もぐらゲームス
 
「誰でも、どこでもできる」自分の街で Oculus Rift の体験会をー Ocufes in 豊橋レポート – もぐらゲームス
 

特に日本はVRをフル活用した開発に積極的だということが認められ、パルマー・ラッキー氏自ら日本へのDK2の最優先発送と日本オフィス設立を公言していた。
「Oculus VR」の創業者パルマー・ラッキー氏はなぜ日本の開発者に魅了されたのか?―Unite Japan 2014レポート – もぐらゲームス

活性化するVRデバイスとOculusRiftのこれから

話題のOculus Riftだが、没入感の高いVRデバイスはソニー、サムスンなど大手メーカーも参入を発表し、VRデバイス自体に注目が集まっている。

電撃 – 【GDC 2014】ソニーの『Project Morpheus』ってどうよ? 実際に試遊した日本の『Oculus Rift』ソフト開発者からその評価を聞いてみた

このように開発が着々と行われていて、盛り上がってきているVRデバイス、そしてその中心にあるのがOculus Riftだ。
この夏からDK2の発送が始まっており、現在は一般発売版の開発に取り組んでいるものと思われる。

DK2で改良されたポイントは大きく2点。
1点目は解像度。1280×720の液晶から応答速度も速い1920×1080の有機ELにパワーアップし、フルHDに対応したため視野全体がクッキリと鮮明に映し出される。
2点目はヘッドトラッキング機能の強化だ。カメラが付属し、正面に置くことで頭の回転だけでなく、位置関係も読み取る。
どちらも特徴である没入感に深く関わる仕様だ。

その中、9月の開発者向け会議Oculus Connectでは「Crescent Bay」という新型のプロトタイプが発表された。

特徴としては、
・片目だけで1K×1k以上のさらなる解像度の実現
・背面センサーの搭載による360度トラッキング
・フレームレート90fpsへの対応
とさらにVRでの体験をより自然なものにする改良が施されており、
体験者からは「初めてOculusを被ったときと同じくらいの衝撃」という感想も聞こえてきている。

気になる一般向け発売は来年とみられるが、詳細は未定。

参考:Oculus Rift DK2の購入方法と対応ゲームの探し方まとめ – もぐらゲームス
参考:買う前の注意点(Ocufes公式)

もぐらゲームスでは、引き続きOculusを始めとするVRデバイスの話題を追いかけていきたい。

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