スマホゲーム『利子20階』で二択の奥深さを体感する

スマホゲーム,フリーゲーム

今回は2012年に配信された『利子 20 階』というスマホゲームの紹介をしてみたい。

利子20階FREE – Dogmabooks

本作は過去にmixiで配信されたゲーム『利子99階』のiOS版。スマートフォンアプリになり、タッチでの操作が可能になったほか、システムやアイテムなどにも大幅なアップデートが行われている。

ところで、mixi で配信されていた事実を筆者は知らなかったのだが、個人的にはこういったシンプルだけど奥深いゲームがSNS上でもっと配信されたら楽しいことになりそうだ、と思う。

ストーリーとしては、「もともとネズミたちのマンションだった場所がネコに占拠され、ネズミたちは地下で暮らすようになる。しかし、ついに奪還に向けて立ち上がったのだ……!」的な、なんとなくほのぼのなストーリー。いや、本人たちはいたって真面目だとは思うのだけど、なぜシリアスなストーリーを動物に置き換えるとこんなにほのぼのしてしまうのか。イラストレーターの香山哲氏によるイラストも雰囲気があって、とてもよい。

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シンプルだが奥深い緊張感

プレイヤーの行動として取れるのは「右の道を行く」「左の道を行く」「アイテムを使用する」の三つのみ。ただし、右の穴か左の穴か、もしくは両方にはこのマンションの住人であるネコが待ち構えているため、上の階に進んでいくほどに色々と考え、対策を施しながら慎重に進んでいく必要がある。

例えば、下の画像を見て欲しい。

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左にネコがいるのがわかる。この左の穴に入っていくと、例えばネコが攻撃を仕掛けてきて、プレイヤーのハートが減ってしまうことがある(運良くネコが寝ていて何もしてこないこともある)。

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だから安全をとるなら、右の穴にすすむことになる。基本的には最初の数階は、このような何の変哲もないシンプルな二択からはじまる。両方の穴にネコがいることもあるし、両方の穴にいないこともある。

また、アイテムの存在も重要だ。アイテムは穴を通過するたびにランダムで手に入る。例えば両方の穴にネコが居る場合、手持ちの「ネズミ花火」などのアイテムを使っておどかして追い払う、といったこともできるので、自分の行動によって安全な道を作り出すこともできる。

これが、少しずつ複雑になってくる。後半に差し掛かると、穴から見えていないが実は幽霊のネコがいて、プレイヤーに攻撃を仕掛けてくる、などということもあるし、そもそもネコの種類によって、効くアイテムの種類も違う。例えば、ネズミ花火は「ネコマシン」というネコには効かない。「おせんこう」というアイテムは普段はそれほど役に立たないが、幽霊系のネコを成仏させるのには必須のアイテムだ。

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ということで、何が穴の奥にいるのかを絞り込む必要が出てくる。これは、手持ちのコインを使ってある程度判別できる。例えばコインを投げて、パシッとキャッチされたら、コインを奪ってくるネコ「ネコババ」がいるはずだ。

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この辺は、『トルネコの大冒険』や『チョコボの不思議なダンジョン』で、未鑑定のアイテムを使ってみたり投げたりして、少しずつそのアイテムがなんであるかをあぶり出していく感覚と似ている。

改めて考えてみると、プレイヤーができることは、単に「二択で安全な道を選んでいく」ことと、「安全な道を作るためアイテムで対策を施しネコを追い払う」、ということができる程度なのだが、ネコの種類やアイテムのバリエーションがあるため、これが一定の戦略性を生み出していてなかなか意外に奥深い

最初はよくわからないままにただただ右に行ったり左に行ったりしていたのだが、このゲームの表題にもなっている「20階」に到達するためには、結構考えなければならない。どこでどのアイテムを使うか、コインをどうするか、あえてネコのいる穴に飛び込むのか……。シンプルなようでいて、考えながらプレイすることになる。ローグライクゲーム的な緊張感が味わえる

また、アイテムでもあるコインは、一度道を通るたびに1枚増えていく。このコインが増えるさまが、『利子20階』のタイトルの由来になっている。20階にいる「ニャルダ」というネコからマンションを買い戻すために貯めなければならないコインだが、前述したようにネコを判別するためのアイテムとしても優秀である。だから、コインを貯めるか使うかのせめぎ合いも悩ましい。

スルメ的なゲーム

本作の面白さは「最初の失敗」をしてはじめて認識できる、と筆者は思う。
つまり、20階まで到達できない経験をして、再チャレンジを繰り返してからようやく面白さが分かりだすのだ(少なくとも筆者はプレイ開始当初、「これ、単に空いてる穴を選んでいくだけなんじゃないの……?」と思っていた)。

あえてアイテムの説明はほとんどゲーム中では語られていない。そういったこともあり、少し触ってみないと魅力がやや分かりづらいところがあるかもしれない(だからこそ、こういうレビューを書く意味もあるのだけど)。

ただ、それを通り過ぎるととたんに奥深い世界が広がるのが本作。言うなれば「噛めば噛むほど味がでる」という、するめゲーである。ということで、しばらく慣れるまで触ってみるのをオススメしたい。

『利子20階』の攻略情報・Tips

さて、ここまでが『利子20階』の簡単な紹介。ここからは、本作の基本的な攻略情報というか、攻略のコツを参考までに。この辺は未プレイ者にとっては何を言っているのかさっぱりだとは思うので、少し遊んだ後悩んだら戻ってきてもらえればいい。

1.ネコの種類はコインで判断
敵キャラとしてのネコには、普通の動物タイプのネコのほか、ネコマシンや化けネコなどの種類が存在する。
特に15階後半あたりからは、いないように見えても強力なマシンが存在する場合が多くなるので、両方の道に一度コインを投げておいたほうがいいだろう。それでも悪霊は判別が付かないので、むしろネコ退治をして何もいなくなったことが確定した道を進んだ方が良い場合もある

2.強化系のアイテムはすぐ使ってしまおう
「ダルビの書」「チーズハンバーグ」や、「トラのまき」などのアイテムは自分の能力を強化してくれるアイテムだ。基本的には入手したらすぐ使ってしまって良い。

3.ダメだと思ったら無理せずATMでコインを預けよう
14階にあるATMは、「フロッピー」を2枚入れると作動する。ここでは貯めたコインを預けることができる。もし自信がなければここで預けて次回の挑戦時に引き出すのもありだろう。

4.アイテムには空きを作っておこう
道中では、ねずみの「フランソワ」がアイテム欄の空きに応じて4つまたは8つのアイテムを売ってくれる。

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コインが数十枚かかるので、貯めておくのはもちろんのこと、アイテムの空き枠をしっかり確保しておかないと、意外に売ってもらいたいときに空き枠がない……ということが頻発する。かといって、あまり空き枠確保ばかりしていると肝心なときに使うアイテムがなかったりするのだが。

ともあれ、無理のない範囲でアイテムの空き枠を確保しよう。例えば、「にせダイヤ」などは一つ持っていれば十分だろう。「にせダイヤ」の効果は、泥棒にアイテムを盗まれる時にアイテム欄に「にせダイヤ」があれば優先して盗っていくという、いわばお守り的なものだ。

以上の点に気をつけておけば、ぐっと攻略がしやすくなるだろう。

さらに『利子20階』の攻略情報が欲しいなら

なお、シェアウェアとなる『利子20階プラス』では、「完全攻略ガイド」と称して制作者でもある香山哲氏の味のあるイラスト付きの解説書が付いている。こちらは、攻略情報がもっと欲しい方や、イラストがもっと見たい!という方に特にオススメしたい。

利子20階FREE – Dogmabooks

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攻略情報の重要なところには銀はがしの銀が付いており、これをコインで削るという心にくい仕様となっている。この攻略情報がかなり詳しい。全アイテム・全敵キヤラ(ネコ)の詳細なデータと、ポケモン図鑑的なうんちくが書いてあり、その文章もなかなか見ていて思わずニヤリとするものがある。

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ちなみにゲーム中のNYPBというアイテムは、「ネコよけペットボトル」の略称だそうだ。
さすがネコよけペットボトルだけあって、ネコ悪霊からネコマシンまで、どんなネコでも退治できる夢のようなアイテムである。

『利子20階』、結構クセになるゲーム。20階に辿り着けるよう頑張って!

■利子20階
[ソフトウェアタイプ]
フリーウェア(利子20階プラスはシェアウェア)

[対応OS等]
iOS, Android

[ダウンロード]
利子20階(フリーウェア版)

Android app on Google Play

利子20階プラス(シェアウェア、iOS版400円、Android版350円)

Android app on Google Play

[製作者]
Dogmabooks

[プレイ時間]
1プレイ20~30分

  • Noah(@powerofgamesorg

    通称のあP。「もぐらゲームス」エグゼクティブプロデューサー&共同編集長。ゲームをする人。「ゲームのちからで世界を変えよう会議」の中の人。経営戦略(ゲーム産業)と金融が一応専門分野。 MMORPG「リネージュ」の元プレイヤー(8年ぐらい、10,000時間ほどプレイ)。長らく一つのゲームをやりこむ派でしたが、最近は雑食気味にいろんなゲームをプレイしています。思い出に残っているゲームはリネージュ、ティアリングサーガ、勇者のくせになまいきだ。or2など