スマホゲーム『利子98階』―「なんだろう?」のゲームデザイン

今回は、先日Android版とiOS版でリリースされたスマートフォン用ゲーム『利子98階』のレビューをお届けしたい。全面クリアした筆者の感想としては、とにかくヒトコトでは言い表せないほど奥深いゲームであると思う。早速、紹介していこう。

前作からのパワーアップぶりに驚愕。

前作『利子20階』に関しては、もぐらゲームスでもレビューを行っているので是非こちらも見ていただきたい。基本的なシステムの説明などはこちらでじっくりと行っている。
スマホゲーム『利子20階』で二択の奥深さを体感する。

前作からのシステムである、「左右のどちらかの道を選ぶ」「どちらの道にも特色を持った様々なネコがいるかも」「そのネコにあった撃退方法を考えながら進む」という基本システムはそのままに、様々な点でグレードアップがされている。特に、グラフィック面や、キャラクター、アイテムの多さが目を引く。

あるゲームの続編を作るとどうしても、グレードアップしただけでそれが意味のないものになりがちという問題がある。しかしこの『利子98階』は違う。増えた敵のネコ、アイテムなどは複雑に絡み合い、より奥深く思考しがいのあるゲームに進化するためのグレードアップが施されていると感じる。

アイテムやキャラクターの豊富さでワクワク。

前作でもかなり多かったアイテム数だが、今回も十数種類のアイテムが手に入る。
一つ一つのアイテムがとてもユニークで、それぞれのネコに使った時のメッセージも微妙に違う。使うたびにちょっとしたワクワク感がある。

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また、前作にはなかった点として、ネズミに装備品(書類)があるという点も面白い。ゲーム中の敵ネコの中には、書類の番をしているものがいる。この書類をもらうことができれば、呪いや炎の効果を防いだり、あるいはコインを投げるダメージを増加できる装備となるのだ。この装備を、探索中にもらうアイテムで強化することや、本拠地に帰って職人に偽造してもらうこともできるなど、気分はさながら『不思議のダンジョン』シリーズのようでもあり、ローグライクゲームとしての醍醐味は前作よりもさらに増していると感じる。

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装備たる書類。もうすでに装備がある場合、装備を新たに変更するかどうか決断を迫られる。

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装備品のそれぞれのステータス説明。攻略にはもちろん、いかに良い装備品を纏うかが非常に重要になってくる。

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挑戦するたび貰える「キャップ」は、「じどうだん」がコインと交換してくれる。

説明を極限まで省いたゲームデザインが奥深さを演出

『利子98階』の特徴的なところがもう一つ。チュートリアルや、それに近い説明の要素がなるべく省かれているところだ。

もちろん、最低限のチュートリアルはある。が、それは操作方法に限定されている。例えばコインをどのように使ったら有効なのか、とか、チーズはどういう場面で使うのか、他のアイテムはどのネコに有効なのか……などを手取り足取り説明してくれるようなチュートリアルはほとんど存在しない。

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チュートリアルは必要最小限。

このシステムは、ある意味では時代に逆行するものと言えるかもしれない。今やソーシャルゲーム、コンシューマゲームを問わず、手取り足取りゲーマーに「何をしたらいいのか」を教えてくれるゲームがほとんどだからだ。

しかし、このゲームではそんな説明がない方が楽しめる。穴の中にいる「何か」――大半は主人公の天敵たるネコだが――は、「得体が知れないからこそ怖く、面白い」のだ。だから、穴の中にいる何かの攻略をすべて教えてしまっては面白くない。手にしたアイテムがいったい何を意味するのか、わからないなりに試行錯誤する、そのプロセスが面白いのだ。

そういう意味で、このゲームは「なんだろう?」の連続だ。「穴から見えるあの怪物はなんだろう?」「手にしたこのアイテムはなんだろう?」「今やられたあのネコはなんだろう?どうやって倒すのだろう?」。だから、プレイヤーは否が応でも試行錯誤を強いられる。そして試行錯誤の末に、攻略をすすめていくのは、実はとても楽しい。システムやデータをマスクしたことが、結果的にプレイヤーが試行錯誤する楽しさを引き出すゲームデザインとなっているのだ。こうした、「シンプルなゲームシステムの中に奥深さがある」というゲーム、筆者は大好きである。

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クリアした時の喜びも、ひとしお。ゲーム内の機能でスクリーンショットは保存できる。

制作者である香山哲氏の、独特なタッチだがどこか懐かしい感じのするイラストも冴え渡り、サウンドもゲームボーイのそれを思わせるような、どこかレトロな雰囲気が醸しだされている。全体として、前作同様に独特の世界観を構成している。

本作は、無料でも十分なステージまでプレイできるが、その先も有料だがかなり面白いと感じられるステージをプレイすることができる。装備品の偽造などの様々なカスタマイズ要素なども一度遊んでみるに値する出来で、筆者としては是非お金を払って追加ステージや追加要素を遊ぶことをおすすめしたい。

また、本作がどのような出来か一度見てみたいという方には、ブラウザで遊べる体験版もあるので、一度ぜひプレイしてみてほしい。

[基本情報]
タイトル
『利子98階』
制作者 香山哲(制作者様サイトはこちら)
クリア時間 5時間~10時間
対応OS iOS/Android
価格 無料 (アプリ内追加コンテンツ「ネズミパスポート」は600円)

ダウンロードはこちらから
iOS版

Android版

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  • 20140320163135

    通称のあP。「もぐらゲームス」エグゼクティブプロデューサー&共同編集長。ゲームをする人。「ゲームのちからで世界を変えよう会議」の中の人。経営戦略(ゲーム産業)と金融が一応専門分野。 MMORPG「リネージュ」の元プレイヤー(8年ぐらい、10,000時間ほどプレイ)。長らく一つのゲームをやりこむ派でしたが、最近は雑食気味にいろんなゲームをプレイしています。思い出に残っているゲームはリネージュ、ティアリングサーガ、勇者のくせになまいきだ。or2など