2Dステルス・アクション『Stealth Bastard Deluxe』 ステルスとスピード感の両立への挑戦

アクション,インディーゲーム

アクションゲームの中でも、敵から隠れながら罠をかいくぐって進んでいく緊張感の高いジャンルに、ステルス・ゲームがある。

メタルギア・ソリッドシリーズなどが有名だが、ステルスゲームの醍醐味は、その緊張感の高さとパズルを解いていくかのような戦略性にあると筆者は感じている。

今回はそんなステルスゲームの面白さが詰まっている『Stealth Bastard Deluxe』を紹介しよう。このゲームは、2011年に本編が公開され、2012年に追加ステージを含む拡張版が公開されたインディゲームだ。

しかも普通のステルスゲームとは人肌違い。ステルスゲームの面白さにスピード感が加わったテンポの良いステルス・アクションゲームだ。

制作者自身が、Steamのソフト紹介で「ステルスゲームは素晴らしい。でも、速さが足りない!」と言っているように、本作ではプレイしているときのテンポの良さが重視されている。確かに、振り返ってみると、ステルスゲームはその緊張感のあまり非常に慎重なプレイをするようになってしまい、テンポが悪くなりがちだ。最近では、『アサシンクリード』シリーズなどは流れるようなプレイが可能だが、いずれにせよビートの激しいBGMに乗って、テンポよくプレイしていけるステルスゲームもそうそうない。

そんなステルスゲームとスピード感の両立に挑戦したのが本作だと言える。


音楽もノリノリでかっこいい

隠れることしかできない!一瞬の油断で死ぬ緊張感

このゲームの主人公は研究所のクローン。ステルスゴーグルだけを装着し丸腰の状態で研究所から逃げ出さなければならない。用意されているステージは80と非常にボリュームが多い。

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左上のゴーグルをかけているのが主人公

主人公が最初にできることは、移動しジャンプすることとしゃがめること、物を押して移動できるぐらい。至って平凡な行動しかできない。この状態で、ステージ内の端末を操作して出口の扉を解除し、出口に辿り着ければクリアだ。

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緑色の端末、Xボタンを押し続けると起動。起動に数秒かかるのもポイントだ。

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端末は1つとは限らない。

なお、隠れている状態だが、ライトに照らされていると「FULLY VISIBLE(丸見え!)」、薄暗がりにいると「PARTIALLY VISIBLE(部分的に見える)」、影に入ると「NOT VISIBLE(全く見えない)」ということでスニーキング(隠密)の状態が常に表示される。

明るいところでステージの至るところにある監視カメラやロボットの視界に入ってしまうと独座に赤いレーザーが飛んできて死亡というわけだ。薄暗がりにいるときは「?」マークが表示され、敵が警戒状態になる。危険な状態だ。

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なかなか見事な死に様

とにかく一瞬の判断ミス、操作ミスが死を招くため、緊張感がつきまとう。見つからないで‥と祈る場面もしばしばあるのは確かだ。

敵の動きを読み、ステージの装置を使って隠れ抜け!

主人公は、生き延びるために、舞台になる研究所にある様々な装置をうまく使っていくことになる。

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触れている間だけステージに変化がおきる電流

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別の場所へワープできる装置

プレイしていて気がつくのは、ステルスゲームで必要となる戦略性だ。散々死んでステージの大体の仕掛けを把握したところで、「ここであれをこう動かして、あのタイミグでああして」と頭の中で作戦を考え、その通りアクションを起こす。この一連の流れが面白い。

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どうやって向こう側へ渡ろうか…?

特に8ステージごとに挑むことになるボスステージの緊張感は半端ない。ボスは球体の監視カメラで、隠れるのが通常のカメラやロボット以上に難しく、高い戦略性が求められる。

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360度を監視しているボスからどうやって隠れきるのか?

死にゲーに近いプレイ感とクリアタイムを意識させる仕組み

冒頭にも記述したように、このゲームの最も特徴的な点は「スピード感」だ。

ステルスのパズル要素の難易度はほどほど。死んでも直前からのリスタートでき、デスペナルティの重みが少ない。それ故、『vvvvvv』などの死にゲーにも近いテンポの良さが実現しているので、サクサクと進めることができる。

そこで、本作の主人公の設定を思い出してほしい。そう、主人公はクローンなのだ。量産されているがゆえに、何度でも散る命・・・そんな悲しい設定がストーリーにしっかり刻み込まれている。

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例えクローンだろうと命は投げ捨てるものではない

そんなテンポの良さを煽るかのように各ステージではクリアするとタイム別の順位票が表示されるようになっている。

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画面右側に出ているのが世界順位(筆者はtyranusii)。初見なこともあり、なかなか悔しい順位だ。クリア後の画面では、死亡回数とクリアタイムからクリアランクも表示される

この順位表を見ていると明らかに普通にプレイしていてはクリアできない速さでクリアしているプレイヤーがいることに気づく。チート・・・ではなく、同じステージを何回もプレイするとスニーキングスーツ(透明装備)やデコイ(身代わり)、ワープポイントなど特殊な装備で挑戦できるようになるのだ。これらの装備を駆使すればさらにタイムを縮めることが可能になる。

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ステージ開始前の画面。同じステージを2回、3回とクリアするにつれて装備がアンロックされていく。

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起動中は透明になれるスニーキングスーツ。これは便利!

隠れる緊張感、戦略性とスピード感が合わさった『Stealth Bastard Deluxe』。その相性の良さをぜひ味わってみていただきたい。

※本作には日本語版が存在しないが、プレイの時には英語だけでもなんとかプレイできる。

[基本情報]
タイトル Stealth Bastard Deluxe
制作者Curve Studios
クリア時間 10時間程度
対応OS win/Max
価格 980円

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