百合成分濃い目のストーリーに真価あり!?ローグライク・アクションRPG『ソード・オブ・ザ・ネクロマンサー』

霊魂、死者を操る魔術を駆使する能力者「ネクロマンサー(Necromancer)」。主にファンタジー系の作品では、自然界や神々の法則に逆らいし者、自ら魂を与えた屍、魔物を下僕として操る者としての印象が強い。

また、別の見方では、死者を蘇らせる能力の持ち主とも言える。

そんなネクロマンサーの能力を駆使できる武器、その名も「ネクロマンサーの剣」にまつわるストーリーを描いた作品が『ソード・オブ・ザ・ネクロマンサー』である。

2021年1月28日、Nintendo Switch、Xbox One(Xbox Series X|S)、PC(Steam)向けダウンロードソフトとして発売。2週間後の2月11日には、PlayStation 4版も発売されている。

禁忌の力を求め、迷宮の試練に挑むローグライク・アクションRPG

ストーリーはある山奥の洞窟に、ひとりの女性の亡骸が担ぎ込まれた所より始まる。

亡骸の女性の名前は「ココ」。彼女はある教会の次代祭司になるため、護衛である元女盗賊「タマ」と勉強を兼ねた大陸各地を巡る旅をしていた。しかしその道中、ある出来事によって命を落としてしまう。

絶望したタマは彼女の亡骸を抱え、「ネクロマンサーの洞窟」へと向かう。洞窟にはその昔、神々の法則に背いた者が住まい、死者の蘇生を可能にする武器「ネクロマンサーの剣」を造り上げ、封印したとの伝説があった。だが数世紀の間、多くの冒険者が剣を求めて洞窟内の迷宮に挑むも、誰ひとりとして成し遂げられた者はいなかったという。

そんな伝説の「ネクロマンサーの剣」を手に入れ、ココを蘇らせる。
固い決意を胸に、タマは洞窟内の迷宮へと挑むのだった。

以上の内容が匂わす通り、ジャンルとしてはダンジョン探索主体のアクションRPG。タマを操作し、襲い来る敵を倒しながら迷宮を探索し、最深部に眠る「ネクロマンサーの剣」の入手を目指す……のだが。

剣は本編開始間もなく、あっさり手に入ってしまう。
おいおい、伝説の武器なのにチョロすぎだろう。
というか、これを入手できなかった歴代の冒険者たち、ヘナチョコすぎるだろう……と思わず嘲笑したくなる衝撃の展開だが、上手い話に裏あり。

剣には人間を蘇らせる力は無かったのである!
蘇らせられるのは、洞窟内に巣くう魔物たちだけ。

だが、迷宮に用意されたネクロマンサーの試練を乗り越えれば、人間を蘇らせるほどの力が得られると、どこからともなくタマに話しかけてきた謎の声は語る。かくしてタマはさらなる力を得るため、試練に挑むのである。

という訳で、剣入手後が本番。洞窟内の迷宮の最奥を目指すのだ。

流れとしては、「フロア」内に隠された「カギ」を入手し、どこかにある閉ざされた扉を開錠。その先で待ち構えるボスを倒せば次のフロアへの道が開き、以降その繰り返しとなる感じだ。
もし、探索中に体力がゼロになって力尽きると、迷宮の入口がある祭壇へと逆戻り。加えて入手したアイテム、武器類も全部失い、最初のフロアからやり直しになる。さらにフロアの構造も以前、踏み込んだ時と変わってしまう。

見出しの通りだが、本作はローグライク要素も実装。一度の失敗が大きな悲劇を招く、高い緊張感を持ち合わせたアクションRPGになっているのだ。もちろん、RPGなので経験値とレベルの概念もある。だが、力尽きてもレベルが初期値にリセットされることはない。1下がるだけ。(※脱出時も同様)

なので、過度にミスを重ねすぎず、上手に事が運べば、突入時よりも高いレベルで祭壇に戻されることも夢じゃない。このため、多少ながら力押しの余地が残された作りになっている。

また、迷宮内では「素材」が手に入るのだが、これも全消失の対象ではない。素材は武器、アクセサリー類の強化に用いられ、一定量に達すると祭壇にある鉄床で実施可能になる。無論、強化を施せば敵との戦闘も有利に。また武器、アクセサリー類は持ち帰りも容易。手持ちの「バッグ」に収納すれば力尽きた際の全消失を回避でき、そのまま祭壇へと持ち帰れてしまうのである。

武器のひとつ、「ネクロマンサーの剣」も消失対象ではなく必ず残る。前述の通り、この武器は攻撃用以外に倒した魔物に魂を与えることが可能。与えた魔物は仲間となり、攻撃をサポートしてくれたり、囮になるなどの活躍をしてくれるのだ。何度か敵を倒す経験を積むことでグレードも上昇し、サポートもより手厚いものに。さらに魔物は作中ではアイテムや装備類と同じ扱いのため、「バッグ」への収納も可能。当然、持ち帰られる。なので、最初から魔物のサポート有りで始めるという攻略法も実践可能だ。

このような具合に基本はローグライクながら、突破の余地を残す要素が豊富で、硬軟入り混じった、独特な作りになっている。魔物を仲間にできるシステムも異彩を放っており、戦闘では彼らとの連携も試されたりと、アクションRPGとしても一風変わったゲームバランスを表現しているのが見所だ。

実はシステム上の不備が際立つ厳しい出来。だが、優れた長所が……?

だが本作、正直に申して色々厳しい出来である。
主にシステム面に不備、違和感を抱かせる調整が目立つ。

取り分け際立つのが装備管理周り。(Nintendo Switch版を例に出すと)本作ではABXYボタンの4つのボタンに手に入れた武器、アクセサリ、消費アイテム、魔物がセットされ、対応したボタンを押せばそれを用いたアクションを実施する仕組みとなっている。
だが、このボタンの内、Aボタンは「ネクロマンサーの剣」で終始固定。残りの3ヶ所しか自由にセットできるボタンはない。また、仲間にした魔物もここへセットするのに加え、道中では結構な数のアイテムが手に入るため、早々と埋まってしまう。なので、欲しいものが複数手に入った時は必然的に捨てねばならない。長々と持ち続けることが叶わないのだ。

一応、前述のバッグがあるも、これにも入れられるのは4つだけと少ない。手に入れられたものを保管する「インベントリ」なる箱も特定の条件下で使えるが、そもそも持っていける数が少なく、全部を埋めた状態だと新たなアイテム入手時に捨てる必要が生じるのもあって、回収が目的なら逆に使わない方が推奨される始末だ。
保管機能のあるローグライクなら、アイテムを沢山貯め込んで、その量に任せた攻略を実践するのが一種の醍醐味だ。残念ながら、本作は制約の所為で面白さ以上に窮屈さが勝る。自由な戦術を組み立てるのも困難な、ストレフルなものになってしまっているのだ。なので、その手の遊びを求めると大きな裏切りに遭う。

さらに、他にも次のような見過ごせない難点がある。武器、アクセサリの強化に必要な素材が異様に多く、相当数の周回が必須になったり、フロアマップの生成パターンは既存のパターンを繰り返す「シャッフル式」なので変化に乏しいのに加え、全体的に冗長気味な広さで移動と探索に時間がかかりやすい、など。

さらに魔物を仲間にするシステムも成長要素が簡素で育てる楽しさに乏しい。しかも、最終的には素材で強化した武器に頼った戦い方が最適解になる本末転倒な結果にもなる。一応、囮という使い道はあれど、それ以外では使用機会に恵まれないのだ。
ひとつずつ語ると長くなるため省略したが、とにかく、細かい所が洗練されていない。遊べないほどではないが、練り込み不足と言われても擁護の余地がない仕上がりなのである。

念のためだが、決して冗談ではない。本当にこんな粗だらけである。本格的なローグライク、アクションRPG、そのどちらを求めても、肩透かしを喰らう出来なのである。良作というのも厳しい。

なのになぜ、批判系の記事は稀なもぐらゲームスで紹介を?
実はそれらの難点をカバーする優れた長所があるのだ。
ストーリーである。これが非常に見応えのある内容になっている。

大筋こそ命を落とした愛する人を救うため、禁断の力の入手に挑むというありきたりなものだ。ただ、なぜ主人公はその人を愛するまでに至ったのか?何が原因でその人は命を落としてしまったのか?それらの疑問がフロアを踏破するたびに明かされていく構成になっており、つい先が気になって見たくなる訴求力に秀でた作りになっている。
しかも、一連のストーリーはノベルゲームスタイルで描写。

おかげで人物像などが詳らかに掘り下げられるので、無理矢理感がなく、キャラクターにも好感を抱ける展開が作り出されている。さらにこの愛する人のために試練に挑むという設定が、ローグライクのシステム全般、魔物を仲間にするシステム、1レベルだけ下がるペナルティと絶妙にリンク。何度敗北しても、禁忌に手を染めても、返り討ちにされようが突き進むという、主人公タマの想いを直に感じながらの攻略が味わえるのだ。

それらのまとめ方の上手さもあり、無事最深部に辿り着き、目的の力に近づけた時の感慨深さは格別。しかも、である。この試練を成し遂げた先、思いもしない展開が待っているのだ。それが何かは伏せるが、きっと今までとの雰囲気の一変にくぎ付けになってしまうこと確実。そして、その末に待つ意外な熱い展開に魅了されることだろう。

前述の通りローグライク、アクションRPGとしては手放しに褒められたものではない。だが、ストーリーを楽しむ作品としての出来は秀逸で、一連のシステムや設定も相まって、唯一無二の驚きと感動を得られる作りになっているのだ。

それでも遊びにくそう、厳しそうと思うかもしれないが、あえて挑んでみて欲しい。ストーリーを追いかけてみて欲しい。この作品がローグライク、アクションRPGの皮を被った異質にして良質なノベルゲームである実態を思い知らされるはずだ。

また設定が匂わす通り、やたら濃厚な百合要素にも驚かされるだろう。
どれほど濃厚かは……は、恥ずかしいので語らせないでくださいまし。

緩く遊べる余地も残した、記憶に残る一作

ストーリー絡みではもうひとつ、一連のデモシーンはフルボイスで語られる。しかも、日本語吹き替えに完全対応。オプションで設定すれば、別の言語でも楽しめる。さらに日本語の翻訳も自然であることに加え、インターフェース周りの日本語化も違和感なく実施されていたりと、ローカライズ全体のレベルも高い。思わず日本製と見間違えるほど。こんな丁寧な仕事が炸裂しているのも見逃せない所だ。

さらにストーリーだけを楽しみたいプレイヤーに嬉しい機能も搭載。なんと難易度、ローグライク要素のON/OFF設定が可能なオプションが用意されているのだ。そのため、これで厳しいと感じる要素をOFFにすれば、本編を気楽に進めていくのも可能!かなり勢い任せで乱暴な救済機能だが、こう言ったストーリー重視のプレイヤーにも配慮する姿勢は素直に好感が持てる。

また、一連の設定を切ったとしても安易な力押しは効かず、一定の立ち回りが試されるバランスに調整されているのもナイスだ。ただ、ストーリーの驚きと感慨深さをきちんと味わいたいなら、ローグライク要素はOFFにせずプレイすることを筆者は推奨したい。難易度に関しては下げても構わない。マゾな人なら最大設定も一興だ。

他に演出面もオープニングのアニメムービー、豊富な一枚絵(スチル)、状況に応じた楽曲の変化など、総じて凝った仕上がり。特に前述の思いもしない展開にまつわる演出はその真骨頂になっているので、要チェックである。

繰り返しになるが、ローグライク、アクションRPGとしては厳しい作品だ。しかし、ストーリー部分の出来は秀逸で、システム面との融合や終盤の展開も相まって、強烈な印象を残す作品に完成されている。一連の設定や2人の女性の愛を詳らかに描く濃い目の百合要素に興味を抱いたのなら、厳しい出来云々は無視して挑んでみて欲しい。きっと記憶に残る体験を得られるはずだ。

なおバッグ、難易度などの設定ができるオプションは後発のアップデートで新規に実装されたものだ。今後も同様のアップデートは検討されているようなので、もしかしたら将来、ローグライクとしてもアクションRPGとしても及第点の出来に達する可能性はある。中でも管理周りの窮屈さは深刻なので、今後の改善に期待したいところだ。

[基本情報]
タイトル:『ソード・オブ・ザ・ネクロマンサー』
作者:Grimorio of Games
クリア時間:12~15時間
対応OS:Nintendo Switch、PC(Windows)、Xbox One、PlayStation 4
価格:¥1,500
CERO:C(15歳以上対象)

購入はこちら
※Nintendo Switch版
https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000038309.html

※Xbox Series X/S、Xbox One版
https://www.microsoft.com/ja-jp/p/sword-of-the-necromancer/9n1x9mjjcm69?cid=msft_web
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※PC版(Steam)

※PlayStation 4版
https://store.playstation.com/ja-jp/product/JP6413-CUSA25674_00-GRIMORIOOFGAMES0


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