時を欺け。少女とネコの時間操作ステルスパズル『Timelie』

時は巻き戻せない。留めておくこともできない。時間というものは不可逆な存在である。しかしもしも、時間を巻き戻して悔やんだ何かをやり直したり、自分が望む時間を留めておくことができるのなら。本来どうにもならないものだからこそ、それを覆して自由にしたいという願いもまた尽きないものなのだろう。

『Timelie』はタイのインディースタジオUrnique Studioによるパズルゲーム。2016年にMicrosoft主催の「Imagine Cup」でゲーム部門の大賞に輝くなどかねてより評価を得ていた作品で、2020年5月21日よりSTEAMにて配信が開始されている。日本語表示にも対応している。

「タイムライン」を操り、監視の眼を潜り抜けろ

何時とも知れぬ時間、何処とも知れぬ場所で目覚めた一人の少女。彼女を執拗に追いかけてくるロボット達、その中で発現した時間を操る能力。この空間が一体何なのか、そして出口がどこにあるのか。少女は謎めいた世界を進むことになる。

『Timelie』では、ロボットの視界から隠れつつ少女を移動させて出口まで導く事が目的となる。特徴となっているのが画面下部にある、動画再生のシークバーのような「タイムライン」。この「タイムライン」をスライドすることにより、ステージ内の時間を早送り・巻き戻しすることが可能となっている。

「タイムライン」を駆使することで早送りでロボットが巡回するルートをチェックしたり、あるいはロボットに見つかり捕まってしまった際に巻き戻しを行って状況をやり直すことができる。もし上の画面写真のように捕まってしまっても、慌てず騒がず時間を巻き戻し、改めて行動案を練っていこう。

道中にはドアと色で対応している開閉用スイッチの他に、光輝くキューブが配置されていることがある。このキューブは少女の能力を使う際に必要で、キューブを消費することで崩れた床や橋を巻き戻して修復し通路を作ることができる。キューブはステージ内に限られた数しか配置されていないため、どの場所に対して能力を発動させるべきかは熟慮の上で使っていこう。

ニャンとも頼れる相棒です

少女が異空間を進んでいくと謎のネコと出会い、このネコは紆余曲折を経て少女と行動を共にするようになる。ネコはややすばしっこく、狭い場所に潜り込める他、鳴き声でロボットをおびき寄せる事が出来る。少女単独では潜り抜けるのが難しい場所でも、力を合わせて道を切り開こう。

タイムラインを操作して少女とネコの動作のタイミングを調節し、ネコがロボットをおびき寄せている間に少女が視界の背後をすり抜ける…というような一人と一匹の二人三脚によるコンビプレイが決まると気持ちがいい。ステージクリア時にはタイムライン内で行ってきた行動が改めてリアルタイム再生され、時間を刻んでぶつ切りで編集してきたアクションがひとつの流れにまとまるのも気持ちよさを増幅している。

一人プレイの作品でありながら協力プレイの醍醐味が味わえる点は本作の大きな特色といえる。ネコと苦楽を共にしていくうちにネコとの相棒関係を感じられるようになることだろう。

時の流れの果てには

記事冒頭でも述べた通り本作は日本語表示に対応しているが、ストーリーが文章で説明されたり、会話劇が挟まれるようなことは無く、全体的に抽象的なイメージで演出されるようになっている。作中に出てくる状況の意味は見たものから類推するしかなく、物語に入り込もうとするにはやりにくさも感じる。
しかしながら時間操作というテーマを活かした終盤の展開など見所も抑えられている。時は巻き戻せない。留めておくこともできない――そのことを噛み締めることとなるだろう。

筆者はステルスゲームの類はさほど得意というわけではなく、本作をプレイするにあたり身構えていた部分もあったのだが、本作はタイムラインの早送り・巻戻しのシステムによってステルス要素に焦らされることなくプレイでき、試行錯誤もしやすくなっているように感じた。敵が通り過ぎるのを待つのがじれったくて飛び出してしまったり、敵に追いかけまわされて操作を慌ててしまう…というような、ステルスゲームに苦手意識がある人にも落ち着いてプレイできる作品としてオススメしたい一本だ。

[基本情報]
タイトル: Timelie
制作者: Urnique Studio
クリア時間:  5時間~
対応OS: Windows
価格: ¥1956

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    真野 崇(@tacashi

    フリーゲームと共に四半世紀を生きるフリゲ馬鹿一代。
    フリーゲームのレビューブログ「自由遊戯黙示録」を経て、自身のフリゲ人生を集約した、フリーゲーム・同人ゲーム・インディーズゲームの年代記「自主制作ゲーム史論」を執筆。