手数×戦術のバトルが面白いフリゲRPG『ダリアの剣』 旧文明が崩壊した世界を剣士と少女がゆく

RPG,フリーゲーム

“炎の災厄"…すべてが焼き尽くされ大地は灰燼と化した…。

だが人類は死滅していなかった!
世は再び暴力が支配する時代になっていた…。

不死神皇アレス率いるレムールの神皇軍が
無法の荒野に跋扈していた…。

神皇軍にたった一人で立ち向かう剣士がいた。
その名は…ダリア!

そんな勢いのあるプロローグとともに物語が始まるのが、今回紹介するRPG『ダリアの剣』。一子相伝の流派「雷龍剣」の伝承者であるダリアと、ダリアが出会った謎の少女ネモフィラの二人が、不死神皇のいる皇都を目指して旧文明が崩壊した世界を旅をしていくというポストアポカリプス作品となっている。

ダリアはとある施設でカプセルの中に入っていた謎の少女と出会い、旅の道連れとすることに

本作の特徴の一つに、端的でキレのある台詞回しが挙げられる。朴訥としたダリアと純真無垢な雰囲気のネモフィラはどちらも長く喋るタイプではなく、イベントシーンはテンポよく展開。かといって無味乾燥なわけでもなく、阿吽の呼吸を感じるような二人の掛け合いは独特の味わいがある。加えてHPやMPの回復ができる焚き火での休憩時、ゲーム進行に応じて、また食料系のアイテムを持っていることでも発生する会話イベントでは、より情緒的だったり、微笑ましい会話なども見ることができる。

焚き火での会話イベントでは、素朴な掛け合いの中に旅情や二人の関係性が見て取れる

そして旅の行く先々でダリア達は、「神皇軍六将」と呼ばれる猛者達と対峙することになる。それぞれの事情や想い、執着などをもって神皇の下につくことを選んだ六将達は皆キャラが立っており、相手によっては台詞自体は少ない場合もあるが、倒したあとに読めるエピソードやボスとしての戦闘スタイルも含めて印象に残る人物達だ。

キャラクター的にも戦闘面でも個性的な神皇軍六将たち

システムと調整の掛け合わせで生み出される、オフェンス重視のバトル

本作の戦闘はターン制のコマンド選択型。大きな特徴は、比較的頻繁に1ターン複数回行動が可能となるシステムだ。

具体的には攻撃時に会心が起きると確率で「追撃チャンス」が発生し、次ターンの行動回数が最大2回まで追加される。ほかにも自己強化スキルなどで行動回数を増やすことも可能だ。「行動回数が増えることによって、さらに行動回数を増やすチャンスが増える」という好循環もあって、次々と攻撃を繰り出す攻めっ気の強いバトルが生み出されている。

攻撃時に会心が起きると確率で「追撃チャンス」が発生。次ターンの行動回数を増やせる

戦闘にまつわる要素としては、ダリアやネモフィラが使うスキルのラインナップも、一つ一つの役割やスキル同士のシナジーなどにこだわった調整が感じられる。一例は回復や一定のダメージを肩代わりするシールドといった耐久向けスキルの仕様で、これらはすべてターンを消費せずその場で効果が発動する即時発動型だ。あらゆるHP回復スキルで戦闘不能からの回復ができるのも特徴で、ピンチからの立て直しもしやすく、耐久に手数を割かずどう攻めるかに意識を集中させやすい設計となっている。一方でこれらの耐久系スキルには再使用までのクールタイムが設定されているため濫用はできず、使い所の見極めもポイントとなる。

ステータスなどの強化・弱化や、スリップダメージなどの状態異常が5つまでスタックされるのも特徴で、積み重ねることで戦闘に大きな影響を与える要素だ。こうした各種要素を駆使して戦う敵もギミックなどが凝っており、こちらと同じく追撃チャンスなどで複数回行動をしてくることも。敵の行動内容とターゲットが事前に明示されるので、これにどう対処していくのかも戦術要素となっている。

強化・弱化や一部の状態異常はスタックが可能。重ねることで戦況に大きな影響を与えられる。こうしたステートはアイコンで確認できるほか、敵味方ともに詳細の一覧表示も可能だ

ターン制RPGの戦術的な面白さには大きく分けて、さまざまな御膳立てをして大ダメージを出していく攻めの爽快感と、敵の行動を見極めて妨害したり耐えていく守りの達成感という2つの方向性があると筆者は考えるが、本作のバトルはその両方を存分に堪能できるのが醍醐味だ。演出もテンポがよく、エフェクトやSEも派手めで気持ちがいい。以下に戦闘の動画を掲載するので、雰囲気を感じていただければ幸いだ。

総じてシステムと調整の掛け合わせにより、プレイヤーにどのような戦闘を体験させたいかという設計思想が感じられるのが好印象だった。とはいえ特定の解法を要求するようなガチガチの詰めバトルというわけでもなく、キャラクターカスタマイズの幅も広い。次節ではそのあたりを紹介していきたい。

ユニークな能力を持つ武器と6つ装備できる「呪具」による自由度の高いキャラクターカスタマイズ

ダリアとネモフィラは装備できる武器種が異なり、ダリアは剣を2本と銃、ネモフィラは杖か槍を装備できる。ステータスが変動するだけでなく攻撃時に追加効果が発動するなど、ユニークな能力を持つ武器が多数存在する。

加えて、6つまで装備できる「呪具」の存在が特徴。特定ステータスの上昇や各種耐性、特定のスキルを使用可能にするなど数十種類が存在し、自由度の高い能力のカスタマイズが行える。

武器と6つの呪具を装備でき、カスタマイズの自由度が高い。とくにダリアは剣2本に銃と装備できる武器も多く、選び甲斐がある

こうした装備品は主に、マップ上に多数配置されている宝箱からランダムに入手可能。新しいマップに進むほど得られる装備品のレア度も上がっていく仕組みだ。宝箱は触れるだけで中身を取得でき、マップを駆け抜けながらトレジャーハントをしていく楽しみがある。

マップ上には随所に宝箱が配置され、触れるだけで中身を取得可能。何が入っているかはランダムで、装備品の主な入手手段にもなっている

密度濃く充実した中編作品。バトル好きにはとくにおすすめ!

皇都に向かうダリア達は、砂漠の荒野や溶岩地帯などさまざまなエリアを旅していく。行く先々で風景が変わる中でサブクエストなどを通じてこの時代をたくましく生きる人達と交流したりと、筆者的にはロードムービー的な趣も感じる作品だった。

世界観としてはポストアポカリプスだが、ある程度の人類再興が進んでいる印象も。サブクエストなどを通じて、厳しい中でも人々がたくましく生活している様をポジティブに感じ取ることができた

本作の公称プレイ時間は本編クリアまで6時間程度。規模としては中編クラスだがボス戦や任意に戦える強敵など、やり応えのあるバトルが内容も数も充実している。シナリオも、ごく一部においては描写不足を感じることもあったが全体的にはテンポ感や台詞回しに独特の魅力があり、中盤を超えたあたりから一気に加速する展開も見どころだ。総じて密度の濃い作品に仕上がってる。

システムにおいては作者自身も明言しているようにいくつかの先行作品からの影響も見受けられるが、要素の取捨選択やアレンジによって、しっかりオリジナルへと昇華している印象だ。UIやマップデザインなど荒削りに感じる部分もあるが、戦闘や物語における本作ならではの体験は多少の欠点を補って余りある。とくに自分だけの戦略や戦術で戦うのが好きという方には、強くお勧めしたいRPGだ。

累積するバフ・デバフや複数回行動など、さまざまな要素を駆使して強敵と対峙していくのが本当に楽しい。RPGといえばまずバトル、という方にはとくに触れてみてほしい一作だ

[基本情報]
タイトル:ダリアの剣
制作者:真白灰
公称プレイ時間:本編クリアまで 6時間程度/クリア後 3時間程度
対応環境:Windows、ブラウザ
価格:無料

ダウンロード・プレイはこちらから
(フリーゲーム夢現)
https://freegame-mugen.jp/roleplaying/game_14296.html

(PLiCy)
https://plicy.net/GamePlay/217909

  • 中村友次郎(@finalbeta

    RPGのプレイと紹介がライフワーク。システムに凝ったRPGをとくに好んでプレイします。商業で一番好きなゲームメーカーは日本ファルコム。運営型では原神にハマってます。
    過去に十数年ほど、窓の杜の連載記事「週末ゲーム」の編集と一部執筆を担当していました。