縦横無尽なSTGアクション進化版『CometStriker DX』デラックスになって犬が宇宙を駆けるゲームになりました。

インディーゲーム,シューティング

実は本作『CometStriker DX』はもぐらゲームスで紹介済みのゲームだったりする。

ただ、その時は特集記事(「Steamサマーセールで”探して掘り出す”ステージクリア型アクション10+2選」)のピックアップタイトルのひとつとして取り上げた形だった。

そしてもうひとつ、当時は『CometStriker』だった。

今回紹介するのは『CometStriker DX』である。
上記スクリーンショットのタイトルロゴにも冠されている通りの”デラックス”だ。

縦横無尽に動けるステージを駆け抜ける、シューティングアクション

旧『CometStriker』は2018年6月9日、PCゲーム配信プラットフォーム「Steam」で発売されたPC(Windows、Mac、Linux)向けタイトル。

『CometStriker DX』は、そんな旧『CometStriker』の発売から約4年半後の2023年2月18日、なんの前触れもなく突然配信を開始した。

どれだけ突然だったかと言えば、いつものようにSteamをPC上で起動したらアップデートが始まり、終わったら『CometStriker DX』に変化していた感じである。本作を開発したIced Lizard GamesもX(旧Twitter)などで一切の事前告知をしていない。(※2023年1~2月頃のログを確かめてみれば、本当に突然配信を開始したことが分かる)
あまりに寝耳に水な展開に旧『CometStriker』購入済みの筆者は、その時口に含んでいた緑茶を吹く寸前になった模様。幸い、PCのキーボードへ吹きかかる事態は回避された。もし、回避されてなかったら間違いなくアビキョウカン ノ ジゴクエズ”だった。
おのれ、Iced Lizard Games

そんなことよりも、PC版は前述の流れ通り、旧『CometStriker』の無料大型アップデートとして配信。また、それまで販売されていた旧『CometStriker』も本作、デラックス版への差し替えが行われた。さらに同日からはXbox Series X|S、Xbox One版も販売開始。9ヶ月後の11月16日からは、Nintendo Switch版の販売も開始されている。

なお、デラックスになってもゲーム内言語は日本語未対応である。ただし、ゲーム自体は英語でも問題なく遊べる。ストーリーもオープニングとエンディング以外ではほとんど語られることがないので、ゲームプレイに絡む影響は皆無だ。

そんなストーリーは旧『CometStriker』と一緒である。惑星をむさぼり喰う宇宙ステーション(のような謎の生命体)の侵攻を阻止するため、主人公「ストライカー中尉」が迎撃用兵器「惑星防衛キャノン」の電力に必要な「古代のパワーコア」を各惑星から回収する危険な任務に挑むというものだ。なお、旧『CometStriker』におけるストライカー中尉は、頭部を含む全身を宇宙服とヘルメットでまとった謎の人物だった。

デラックス版では、そんなストライカー中尉のデザインが変更。ヘルメット部分が取れ、素顔があらわになった。その素顔とは犬!なんとビックリ、ストライカー中尉とは可愛いワンちゃんだったのだ!

そんなバカな!アナタ、人間じゃなかったの!?さすがにそれは想定の範囲外にも程がある!そもそも、ヘルメットを被った謎の人物の中身は金髪ブロンドのお姉さんが定番だろうに!(※注:某探索型アクションゲームの金字塔に毒された人間による独断と偏見です)

それはともかくとして、ゲームの中身も旧『CometStriker』と変わりない。360度自由に飛行可能なストライカー中尉を操作して、複数のフロアで構成された惑星の攻略に挑む横スクロールのシューティングアクションゲームだ。本編はステージクリア形式で進行し、最奥で待つボスを倒せればクリア。そのまま次のステージが始まって、再びボスが待つ最奥を目指すという流れを繰り返していく形だ。一度クリアしたステージには後から戻れない。最終ステージまで通しで進める1本道(一方通行)構成である。

システム周りではボタンに応じて左右に発射されるショット攻撃、「ブーストダッシュ」なる攻撃判定と無敵時間が発生する高速移動のアクションが特徴。また、前述したが各ステージは複数のフロアで構成されており、それらをひとつずつ乗り越えていく流れもシステム的な特徴のひとつになっている。イメージとしては探索型アクションゲームにおける部屋(区画)を順番に進んでいく感じだ。進むに当たっては、敵を全滅させたり、カギを回収するといったミッションをこなすことになる。

また、ある程度ステージが進むとルート分岐も現れ、どれを選ぶかでその先の展開が変わる仕掛けも盛り込まれている。なお、一度突破したフロアに再訪することは不可能。この辺りは本編の流れと同じく、1本道(一方通行)構成を貫き通している感じだ。

他にゲームモードは本編「アーケード」以外にもランダム生成されたステージの攻略に挑む「ラビリンス」を用意。そして、本作デラックス版からの新モードで「チャレンジ」があり、50以上の小規模なステージでさまざまな課題に挑む遊びが楽しめるようになった。さらにローカル限定ながら2人協力プレイモードも追加。アーケードを始めとする全モードで協力プレイが楽しめるようになっている。

全体的には旧『CometStriker』をベースにボリュームアップと遊びのバリエーション強化を図った形だ。グラフィック周りも見た目は旧『CometStriker』と変わりないが、炎、敵弾などの光の表現が強化されており、進化を感じさせられる仕上がりになっている。

軽快で遊びやすく、やり応えも抜群の作りが『CometStriker』の売り

追加要素や変更点があるとは言え、ゲームとしての作りは旧『CometStriker』とほとんど同じだ。ただ、もぐらゲームスでは特集記事のピックアップでの簡単な紹介に留めていたため、今まで単独記事がなかった。

なので、この機会に本作の魅力を掘り下げて紹介する。

魅力は3つある。ひとつに取っつきやすくて軽快な操作性。(ゲームパッド使用時)基本、使うのはコントロールスティックと3つのボタンだけなので、本編開始間もなく動かし方が理解できてしまうほど取っつきやすいものになっている。

加えて、レスポンスが非常によい。ショットにせよ、ブーストダッシュにせよ、ボタンを押せば即座に繰り出してくれるので、もたつくことが一切ない。また、本作は360度自由に移動可能な作りを特色としているが、その移動速度も早く、ストレスを感じさせない。初期状態からして早いため、つい縦横無尽に動き回りたくなってしまうほどだ。

さらにショットはボタン押しっぱなしによるオート連射に対応。そして連射中に限り、移動速度が遅くなるので、弾幕が飛び交う中でボスを始めとする耐久力のある敵を相手にする際も落ち着いて対処しやすい。その最中に無敵時間が発生するブーストダッシュを使って強引に突破する行動を取るのもよし。そして、プレイヤーの背後に敵が現れても、方向に応じたボタンを押せば即座にそちらに向けてショットが放たれるので、いちいち向きを変える手間もなく直感的に対応できる設計だ。

これらは本編を通して触ってみないと分からないのがもどかしいところではある。ただ、いざ実際に動かしてみれば、その取っつきやすさと軽快な手触りがよく分かる。同時に地味な所にも気を遣って設計されている所に開発チームのほのかなこだわりを感じさせられるだろう。

もうひとつはシビアなようで良心的な難易度。上記スクリーンショットや前述のトレイラーを見ると分かるが、本作は敵が弾幕攻撃を仕掛けてくる場面が多々ある。ゆえにその回避が適時要求されるのだが、それが意外に難しくない。というのも、ブーストダッシュを出せば一時的に無敵になれるので簡単に避けられる。細い隙間を潜り抜けることをあまり意識する必要がないのだ。

ただ、時にはそのようなテクニックが要求される場面もある。だが、それも弾の速度が緩やかなのに加え、ショット攻撃時のスピードダウンを活用すれば難なく潜り抜けられる設計。また、本作はダメージ制を採用しているので、1回被弾したところで即刻やられてしまうことはない。1回だけダメージを防いでくれるシールドも頻繁に手に入るうえ、仮にやられたとしても現在のフロアから再開される仕組みだ。

なので、見た目に反して意外に良心的。「こんなの無茶だろ!」という攻撃もブーストダッシュの使いどころ次第で容易に潜り抜けられる。何より、基本的にどんな場面であろうとノーダメージ突破が可能になっているだけでも、決して理不尽な難易度ではないことが分かるだろう(それを証明するものとして「ノーダメージボーナス」もある)。見た目に警戒しやすいが、遊べばその印象は激変する。疑問に思うなら挑んでみよう。意外なほど計算された調整に驚かされるはずだ。

最後の3つ目はステージ。実は総数にして5つと、物量は少ない。ただ、1つ当たりの規模は大きく、クリアに要するのは最短でも15分ほどと非常にやり応えのある内容にまとめられている。それでいて、仕掛けと敵のバリエーションが多彩。ステージごとに決まって新種が登場しては、プレイヤーに「どう対処する?」という感じに挑戦を促してくるため、常に刺激的な展開が味わえるのだ。また、分岐が存在するため、選んだルートによっては前回とは違った攻略が楽しめるのも見所。しかも、選ばなかったルートは二度と選べない。このおかげで2周目の楽しみも残るなど、プレイヤーの再挑戦意欲を刺激する要素として機能しているのが(いい意味で)ズルい。

そして、多彩なボスたち。最奥の大ボス以外にも、各ステージには中ボスが折り返し地点で待ち受けており、どちらもトリッキーな攻撃でプレイヤーに襲いかかってくるのだ。縦横無尽に動き回れる特徴を活かした個体も多く、このゲームならではのボス戦として仕上げられているのも秀逸なところ。さらにこのボスたち、倒した時には大変見事な大爆発という名の散り様を見せてくれる。とりわけ大ボスはあまりにも見事で、強敵を打ち倒したという圧倒的な達成感を得られること間違いなし。爆発音とエフェクトも素晴らしい仰々しさで、ボスを倒した時と言えば派手な演出だと豪語する人なら、大満足のひと時を得られるだろう。

ここまで紹介した3つ共に、アクションゲームやシューティングゲームとしてはありきたりなものではある。ただ、それぞれの完成度は非常に高く、このジャンルの醍醐味をよくわかっている人が作っていることを実感させられる仕上がりだ。

とりわけ難易度とステージ、そしてボス戦(……と爆発)は珠玉と言ってもいいほどの仕上がりになっているので、アクションゲームとシューティングゲームが好きな人ならば要チェックである。というか、その2つのジャンルが好きな人ならばぜひとも遊んで欲しいところ。それほど推せる出来なのだ。

犬のみならず忍者にもなれる。盛り沢山の要素を遊び尽くせ!

また、ボリュームも結構大きい。アーケードモードだけなら大体1時間半ぐらいと短いが、やり込み要素の攻略も含めるとなると約10倍の時間を要することになる。ストライカー中尉以外のキャラクターでのアーケードモード攻略、高難易度、ステージ攻略評価Sランクへの挑戦、「ラビリンス」の攻略といったコンテンツが盛りだくさんなのである。しかもデラックス版では50以上の小規模ステージ攻略に挑む「チャレンジ」も追加され、さらに全体的な物量が増している。

特にやり込みの中でも必見なのは、旧『CometStriker』から継承された別キャラクターによるアーケードモードの攻略。どのキャラクターもストライカー中尉とは異なる攻撃アクションを持っており、ひと味違った展開が楽しめる。

おすすめは近接専門の「NINJA」。敵の懐に飛び込んで華麗かつ素早く斬り倒していくのがとても痛快だ。その快感に酔いしれてしまえば、本作のことを『CometStriker』ではなく『NinjaStriker』と呼びたくなってしまうだろう。

なお、本家本元『Ninja Striker!』はPC(Steam)Nintendo Switchで販売中。こちらも爽快なアクションゲームに仕上がっているのでおススメだ。当もぐらゲームスの紹介記事も参考にどうぞ。

細かい見所として、あちこちに仕込まれた名作アクションゲームの小ネタにも注目。ステージ開始前に表示される「READY?」の文字、回転する火炎玉のバー、ショット攻撃で開くゲートなど、分かる人なら見覚えのあるネタがあちこちに出てくる。敵にも一部、別作品から出てきたと思しき個体がいて、これも分かる人ならば「露骨すぎないか?」と苦笑いしてしまうはずだ。

総じて見所が多く、デラックス版でさらに進化を遂げた本作だが、アーケードモードは中断セーブ機能がなく、エンディングまで通しプレイが必須になるといった旧『CometStriker』から引き継がれた難点もいくつか。

また、これはネタバレになるのだが、「NORMAL」以下の難易度だと本当のラスボスと戦うことができず、バッドエンディングを迎えてしまう。ベストなエンディングを迎えるなら「HARD」以上の難易度で攻略しなくてはならないのだ。この辺りは昔のゲームらしい魅力とも言えるが、気軽に遊びたい人にとってはきつい仕様である。

ただ、幸いにして本作の「HARD」はそこまで苛烈ではなく、敵やボスのパターンをきちんと見切れば攻略も夢ではないバランスである。それでも他の難易度に比べると大変だが、その分、ラストには熱い専用イベントが設けられているので、頑張ってみて欲しいところだ。

単純ながらも手に汗握るアクション、軽快な操作性に攻略しがいのあるステージと、アクションゲームやシューティングゲームが好きな人の心を躍らせる魅力が満載の本作。デラックス版では犬が好きな人にも注目の見所を備えた作りになっているので、興味があればお試しいただきたい良作だ。謎多き”惑星喰い”宇宙ステーションの脅威に立ち向かう、勇敢なワンちゃんの戦いを見届けよ!

ちなみに締めに紹介するが、ストライカー中尉は旧『CometStriker』の容姿にも特別オプション(EXTRA)から変更できるぞ。

[基本情報]
タイトル:『CometStriker DX』
開発:Iced Lizard Games
クリア時間:1時間半(※アーケードモード)、10~13時間(※全要素攻略)
対応プラットフォーム:Windows、Mac、Linux、Xbox Series X|S、Xbox One、Nintendo Switch
価格(税込):1,700円(Steam、Nintendo Switch)、1,750円(Xbox Series X|S、Xbox One)

◇購入はこちら
・Steam

・Xbox Series X|S、Xbox One
https://www.xbox.com/ja-jp/games/store/cometstriker-dx/9nn20p7bxrg4

・Nintendo Switch
https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000071286.html

  • シェループ(@shelloop

    様々なゲームに手を伸ばしたがる人。2D、3Dのアクションと手強めの戦略シミュレーションを与えると喜びます。

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