「あのヤギゲー」の売上でインディゲーム開発を支援。「検閲」がテーマの『Westport Independent』

インディーゲーム

ヤギが街を壊しまくるゲームがここまで売れるとは誰が予想できただろう。『Goat Simulator』は、2014年4月にPC版が発売されて以降、9月にはiOS版も登場。両プラットフォームを合わせて既に累計で250万本以上が売れているという。

まさに2014年最も話題を集めたゲームの一つといっても過言ではない。開発をしたスウェーデンのインディーゲームデベロッパーCoffee Stain Studiosはこの通称「ヤギゲー」の予想外の売上を興味深い使い道に充てている。

ゲームを作るには開発資金が必要。開発資金はゲーム開発者に取って共通の悩みでもある。Coffee Stain Studiosは、『Goat Simulator』の売上を、開発資金に悩むゲーム開発者の援助に充てようとしているのだ。その第1弾がDouble Zero One Zeroが開発中のシミュレーションゲーム『Westport Independent』だ。


 
この『Westport Independent』はCoffee Stain Studiosが彼らのブログでも紹介している通り、「Goat Simulatorとは全く違うゲーム」だ。ジャンルとしては、検閲シミュレーションゲームだと言う。プレイヤーは全体主義の国で唯一、独立して販売している新聞の編集をしなければならない。『Papers,Please』と同じようなかなりシリアスなゲームになっている。

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この『Westport Independent』の最大の特徴は、記事のタイトルや内容を変更することによって、世論が変化していき、社会そのものが変わっていくということ。政府に賛同するような論調を展開するか、それとも反政府的な論調を展開するか、選ぶのはプレイヤーだ。メディアのもつ絶大な力を体験することができる。

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自分の思うように記事の内容を変更できる。事実に反することを書いてはいけないというルールはない

興味深いのは、新聞をチェックし配り終えた後に、記事を読んだ人々がその内容について語り合う場面があること。

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非常にリアルな描写だ

プレイヤーは自分の思うように記事を変えていくことができる。その結果、社会がどう変わっていくのか。GDCでプレイできたデモ版では、地域ごとの読者の傾向なども設定されており、反政府的な記事を書けば市民が反政府的になっていくというワンパターンな展開ではなかった。何が起きるかを予想しながらメディアを演じていく。プレイヤーの選択によってその後の展開もエンディングすらも変わっていってしまう。読者の反響というミクロな描写をみせつつ、自身の検閲の結果が社会全体のマクロなパラメータが変わっていくゲームだ。

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サンフランシスコで今月開催されたGDCでは、スウェーデン発のゲームを展示するブースに出展

Goat Simulatorとは180度違い、シブい面白さが特徴な『Westport Independent』。発売は2015年中を予定している。完成が非常に楽しみな作品だ。

なお、もぐらゲームスでは、『Goat Simulator』のレビューをしているのでそちらも合わせてぜひご覧いただきたい。
通行人を突き飛ばせ!ジェットパックで空を飛べ!生贄を捧げ、悪魔の力を手に入れろ!ヤギ大暴れ 『Goat Simulator』レビュー

  • すんくぼ(@tyranusii

    学生時代、MMORPG「リネージュ」で朝から晩まで飽くことなきレベル上げと戦争に没頭する毎日を送る。本業では廃人卒業後、国家公務員を経て、再びゲームの世界へ。「もぐらゲームス」を立ち上げました。ハマったゲームはライブアライブ、ファイアーエムブレム 聖戦の系譜、デモンズソウルなど。
    個人ブログもやってます:もぐらかペンギンか