もし、アナタが言葉攻めに快感を覚えるマゾなら、『Follow me, please』は美少女アンドロイドによる罵倒の嵐を味わえるイチオシのSF短編脱出ADVだ。

2018年2月4日、筆者は真正のマゾ(M)な人におすすめしたいゲームとして、PlayStation 4、PC(Steam)、後にXbox OneとNintendo Switchでも発売されちゃった、超絶怒涛のアクションRPG『Sundered(サンダード)』を紹介した。

だが、物理的な攻めより、汚い言葉で罵倒される精神的な攻めを好むマゾの人も少なからずいらっしゃるはずだ。より極めたタイプで、美少女からの罵倒を唯一無二のご褒美とする人も確実にいるはずである。……そう思いたい。

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そんな訳で”もぐらゲームス・プレゼンツ”、マゾな人におすすめするゲーム第二弾『Follow me, please』(作者:sayuki氏)の紹介だ。
本作は2019年1月18日にフリーゲーム配信サイト「ふりーむ!」にて公開された、『RPGツクールMV』製SF短編脱出アドベンチャーゲームである。またの名を、”美少女罵倒系アドベンチャーゲーム”とも言う……とか、言わないとか?

前代未聞!?脱出”不能”アドベンチャーゲーム

この物語は謎の施設の個室から始まる。突如、ドアが激しく開き、一人の少女が中に入ってきた。室内で眠りについていた主人公は、少女に声をかけられる形で目を覚ます。

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名前も名乗らないその少女は、1時間だけ施設内のセキュリティシステムが停止すること、今逃げなければ二度とここから出られなくなって殺されてしまうことを主人公に伝える。そして、一緒に逃げようと提案され、彼女の後をつける形で施設内を駆ける。

自らの名前も思い出せず、記憶に障害が生じている主人公だったが、それは一時的なことだと少女に諭され、施設内の様々な部屋を突破していく。そして、大広間の先にある扉を潜ろうとしたその時!足元に穴が開き、主人公は落下。そのまま閉ざされた個室に閉じ込められてしまった。

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そんな八方塞がりの彼を手助けするため、そこへ施設を管理している黒幕のアンドロイド「デビル」……間違えた。

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通りすがりの善良な黒幕ではない美少女アンドロイドが参上。彼の脱出をサポートし、処刑という名の逃れられない運命を絶対的なものに……じゃない。覆すため、共に出口を目指して行動していくことになる。果たして、主人公は脱出できるのだろうか。

いや、できないだろ、これ。
殺されるの確定じゃん。
詰んどるやんけ。

……という感じで本作は幕を開ける。
耳を疑うようなあらすじだが、本当にこの通りなので、どうしようもない。
謎の施設を牛耳る黒幕で美少女のアンドロイドと共に内部を巡り、脱出を阻止される。
そんなゲームである。
脱出アドベンチャーと紹介したが、実のところは”脱出不能アドベンチャー”だ。

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そんな訳で、本編では同ジャンルの基本に則り、施設内の様々なエリアを巡りながらパズルを解いたり、部屋を探索したり、時にはトラップを避けるなりして突破口を切り開いていく。最終目的は施設内からの脱出だが、99%無理である。そもそも、同行者の美少女アンドロイドが黒幕の時点でお察しいただきたい。逃がしてくれると思うか?思えるのだとしら、甘ちゃんすぎるぞ。

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とは言うものの、「99%の絶望と1%の希望」とはアメリカを代表する天才発明家トーマス・エジソンの言葉だ。いや、努力とひらめきだろうと物申したくなったかもしれないが、そんなことはどうでもいい!要はこの世に絶対というものはないのだ!99%の確率が保証されていても当てが外れたりするし、1%の低確率で致命傷を浴びて泣きを見るのが普通にあるんだよ!こちとら、その1%に数時間の奮闘が水の泡にされたことがあるんじゃ!

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……という訳で、ダメな未来が確約されていようが、何らかの希望が見つかる可能性に賭け、”色々”耐えながら施設内を進んでいくのだ。行くしかないんです。また、主人公は記憶を失っている。自分の名前はおろか、施設のことについてもサッパリだ。当然、美少女アンドロイドについても何がなにやらである。

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その手がかりを探ることも本編とは別にあり、本作全体の謎に迫っていくことになる。具体的には「音声データ」なる、施設内にいた人物の残した記録アイテムを集めていく形だ。これらを発見、回収することにより、少しずつ物語の全容が見えてくる。黒幕も集めるのを妨害するような真似は何らしてこないので、集中して取り組める。大変な事態に至ったりはしないから、安心していただきたい。だが、1%の確率がなんとやらだ。

簡潔にまとめるなら、”非常識”な脱出アドベンチャーゲームである。パズル、仕掛けを解く基礎こそ押さえているものの、設定が設定だけに脱出が保証されていない。それもあって、ストーリー的にも全く持って先が読めない内容になっている。

そもそも、本作の全てが先読み困難である。

罵倒に次ぐ罵倒の連続で、アナタは新境地を開拓する?

特に象徴的なのが脱出アドベンチャーのキモである謎解きだ。同ジャンルを呼称するだけに凝ったネタが多く、難易度もプレイヤーの思考力が問われる手応え十分の塩梅になっている。

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だが、少々乱暴な表現を用いて言えば、思考力に乏しい人でもお茶の子さいさいな程度に簡単である。そもそも、エンディングだってあらゆるプレイヤーが辿り着ける。先述の紹介と矛盾も甚だしいが、本当にそうなんだから仕方がないんじゃよ。

ゲーム開始間もなく出題される、算数の問題がその象徴。

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恐らく、小学1年生以上のプレイヤーであれば楽勝だろう。
だが、この問題は有名大学卒業者、博士課程取得の秀才ですら絶対に解けず、小学1年生以下のプレイヤーでも絶対に解けて先へ進めるものになっている。何がなんやらだが、つまりはそういうことである。これ以上詳細を語ると、黒幕に口を縫い合わされかねないので、あとは本編でご覧いただきたい。ここまでの矛盾の正体が明らかとなるはずである。

そして、これを知って以降、謎解きに対する身構え方にも変化が生じ、”先読み困難”の意味を嫌というほど思い知らされるだろう。とにかく、斜め上に突き抜けている、と言っておこう。解けば解くほどに、もうどうとでもなれになっちゃうのである。

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また、主人公に同行する黒幕アンドロイドも先読み困難の象徴。黒幕と言ってしまっている時点でもう、八つ裂きな未来しか見えないが、意外にも本編ではプレイヤーに対し、先へ進むためのアドバイスをしてくれる。

だが、会話の九割五分が罵倒。徹底的にプレイヤーをけなしてくる。
試行錯誤の末に謎を解き、危険なトラップを潜り抜けたとしても待つものは罵倒。時々、褒める言葉を発していても、やっぱりそこから調子がおかしくなっては、プレイヤーの精神面をズタズタに引き裂く勢いで罵倒。

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こんな会話が終始繰り広げられるので、言葉攻めに苦手意識のある人にはとってもしんどい仕様である。裏を返せば、そういうのが大好物な人ならば辛抱たまらん、グヘヘのパラダイスだ。外見が美少女なのもあって、ご褒美感も申し分ない。

だが、何故に彼女が施設からの脱出を目論見た主人公に同行し、処刑せずに探索を共にするのか。落とし穴の罠にハマって困っていた主人公の前に現れ、サポート役を買って出たのか。よく考えると、分からない部分が沢山ある。

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そんな先読み不能な存在感を醸し出しているのも、彼女の印象を一層強くする。一体、その狙いとは?詳細は終盤まで進めていただきたい。恐らくは彼女に対する印象が少し変わる。そして、色々腑に落ちるはずだ。

だが、人によっては言葉攻めを受け続けるあまり、新境地に目覚める可能性も低確率ながらあり得る。入れ込み過ぎにはご用心。元からそういうのが大好物というなら、存分に味わいながら進めばよし。ただ、脱出が遠のいたとしても自己責任だ。

真に受けたら”泣きを見る”、極上の傑作(もんだいさく)

ちなみにエンディングまでの平均プレイ時間は1~1時間半程度。場合によっては、開始数分でエンディングに辿り着ける。そのことから明らかだが、本作はマルチエンディング方式で、複数の結末が用意されている。

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また、本作の全容を明かすに当たって必須品の「音声データ」も、実は一周で全て集めきれず、コンプリートを目指すならば二周必須になる。もちろん、エンディングの中にも二周目でしか拝めないものが存在する。とどのつまり、それが本作の真髄でもあるのだな、きっとそうなのだなと思えたとするならば、とても幸せなことだ。頑張っていただきたい。ボロカスにされても知りません。

グラフィック周りもキャラクターデザインが美しく、特に美少女アンドロイドはその容姿とは裏腹に罵倒を繰り返すのもあって、嫌でも印象に残る。

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演出周りも良くも悪くも、RPGツクールの機能を悪用したイタズラ心満載なネタが揃っていて、時々、プレイヤーの腹筋を刺激してくる。また、一部エンディングに至っては、何のためにRPGツクールMVを用いて本作が作られたかの意味を知れる驚きの内容になっている。どんなものなのかは実際にその目でご覧いただきたい。念のため、戦略をよく練っておきましょう、と忠告しておこう。ただし、”真に受けてはいけない”が本作のキモだ。

ベストなエンディングに至るまでの流れが駆け足気味だったり、エリア間移動でごく稀に長いロードが差し込まれるなど、気になる箇所もあるが、あらゆる面において”非常識”な体験と美少女による罵倒を存分に楽しめる作品に仕上げられている。

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罵倒だらけとは言え、ゲームの難易度にマゾさはないので、そこを期待すると肩透かしだが、言葉攻めによる快感をお求めのプレイヤーなら申し分のない満足感を得られる。ぜひ、この99%不可能な施設からの脱出を目指して諦めていただきたい。そして、繰り返される罵倒に次ぐ罵倒を経験して新境地を切り開く……のは、少々マズいかもしれないので、入れ込まないようにしましょう。

けど、精神的には強くなれるかもしれません。

[基本情報]
タイトル:『Follow me, please』
制作者: sayuki
クリア時間: 1~1時間半(※エンディングのコンプリートを除く)
対応OS: PC(Windows)
価格: 無料
備考:罵倒てんこ盛り

※ダウンロードはこちらから
https://www.freem.ne.jp/win/game/19361

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