今後のアップデートと完成が期待される、注目の制作途中フリーゲーム3選(2022年4月号)

フリーゲーム,連載

日々、個性豊かな新作が誕生し続けているフリーゲーム。その中には完成品に限らず、現在制作途上のものもあり、公開後も都度実施されるアップデートで完成に向け、着々と進歩し続けている。

本記事では、そんな制作途上のフリーゲームより注目の3本を紹介。

今回はテキストアドベンチャー、VTuber主演のボスバトルアクション、3Dアクションアドベンチャーの3タイトルをピックアップ。いずれも今後の完成版登場が期待されるタイトルである。
機会があれば実際にプレイして、その魅力を確かめてみていただきたい。

目次

  1. WIZMAZE 帝都の守り人
  2. 魔法村
  3. 陰都見聞録

WIZMAZE 帝都の守り人

「第11回ふりーむ!ゲームコンテスト」にて最優秀賞を受賞したダークファンタジーRPG『WIZMAZE(ウィズメイズ)』の外伝作品。
元はオリジナルの『WIZMAZE』に追加シナリオを2本加えた完全版『WIZMAZE+』として制作されてきたが、独立した作品として出す形になったという経緯がある。

ジャンルも前作『WIZMAZE』から一転、テキストアドベンチャーへと大きく改められている。ただ、マップを移動するパートがあるなど、正確には探索要素のあるアドベンチャーゲームといった感じだ。また、ジャンル変更の関係で戦闘要素もない。主人公も前作はプレイヤーの分身だったが、今回は名ありのキャラクター、前作にもNPCとして登場した「オブディシア」が務める形になっている。

ゲームプレイ周りもマップを移動しつつ、都度発生するイベントを見届けていくのが基本。テキストアドベンチャーらしく選択肢も頻繁に登場し、それによってイベントが大きく進展したり、時に何ごとも無く終わるなど様々な変化が楽しめる。本筋から外れた所にも様々なイベントがあり、それを通してキャラクターや世界観の深層部分を知れるなど、ストーリーを楽しみたいプレイヤーにはたまらない要素も網羅。それが「実績」という形で残るなど、やり込み要素として位置付けられているのも面白いところだ。

前作『WIZMAZE』の続きのストーリーのため、いきなり本作から始めるのは非推奨。逆に経験者なら、前作では断片的にしか語られなかったキャラクターたちの素顔が分かるなど、大変魅力的な内容になっている。
本稿執筆時点ではストーリー中心の内容だが、作者の制作ブログによれば今後、イベント戦闘の追加も予定されている模様で、さらなる充実化に期待がかかる。前述の通り、推奨プレイヤー層は限定されるが、そこに該当している人ならばぜひともプレイいただきたい1本だ。

なお、もぐらゲームスでは前作『WIZMAZE』の記事も掲載中。
どのようなゲームなのか、気になる方は以下リンク先からご確認いただきたい。

◇ダークファンタジーRPG『WIZMAZE(ウィズメイズ)』。迷宮に立ちふさがる“虚無”と“光<ニルン>”の試練に挑め!
https://www.moguragames.com/entry/wizmaze/

[基本情報]
タイトル:『WIZMAZE 帝都の守り人』
作者:Jakalope
クリア時間:1時間~1時間半
対応プラットフォーム:Windows
価格:無料

※ダウンロードはこちら
https://www.freem.ne.jp/win/game/22207

魔法村

魔法少女こはくが機械帝国軍の兵器を破壊するため、単身戦いに挑むボスバトル特化型アクションゲーム。ちなみに魔法少女こはくとは、ゲーム制作系VTuberとして活動中の実在する人物。制作の際には、本人から直接許可を得ているとのことだ。

本編はクエストと称されたステージで、ボスとの一騎打ちを繰り広げる形で展開する。システム面は少し独特で、基本横スクロールだが左に向けて進行。プレイヤーが動かす魔法少女こはくもそちらに自走し続ける。

また、(※Xbox 360コントローラ使用時の配置だが)方向キー左右を押すと前進(後退)し、歩き続ける現在位置を調整。Aボタンを押すとジャンプし、そこからまたAボタンを押すと2段ジャンプになる。さらにXボタンを押すと通常攻撃「スターシュート」、Bボタンで威力の高い「スターブレード」、そしてYボタンで広範囲攻撃「スタードロップ」を繰り出す。戦闘は基本、これらのアクションを駆使しながら立ち回っていく形となる。

ただ、「スターブレード」と「スタードロップ」は「MP」を消費するため、連続して放つことはできない。逆に「スターシュート」は消費せず、減ったMPを回復する効果がある。なので、それぞれを使い分けながら攻めていくのが基本。
もちろん、ボスの攻撃の回避も重要で、どの個体もトリッキーな攻撃を仕掛けてくるため、傾向を掴んで対処するのが求められる感じだ。

全体的にはシューティング寄りの作りで、3種類のショットを活用する戦術面がその印象を強く残す。対峙するボスも(いい意味で)無茶苦茶。昆布やフロッピーディスクと戦える、という時点で前代未聞だろう。
公開中の体験版は6ステージまでプレイ可能。最終的にどれほどのステージ数になるかは不明だが、シンプルながら手に汗握る作りになっているので、興味があればぜひ。
昆布と戦える、という触れ込みに心躍った人も挑んでみよう。

[基本情報]
タイトル:『魔法村』
作者:ちゲ部
クリア時間:20~30分
対応プラットフォーム:Windows
価格:無料

※ダウンロードはこちら
https://www.freem.ne.jp/win/game/27873

陰都見聞録

陽術師「ソラ」が陰気立ち込める謎の遺跡を探索するストーリーを描く「WOLF RPGエディター」製3Dアクションアドベンチャーゲーム。2022年2月14日から3月20日まで開催された「ウディフェス2022」にて、体験版として公開されたタイトルである。

特徴はジャンル名そのもの。
厳密にはキャラクターは2Dのドット絵、それ以外のマップの地表、周囲の建造物を3DCGで描写した疑似3D形式である。視点の操作も導入されており、キーボードのQ、Eキーで左右45度までの調整、W、Sキーで縦角度(見下ろし、並行)の調整が可能。

本編にもこの操作を用い、進路を確かめる場面を少しだけ設けており、1990年代後半の疑似3Dを採用したRPGが脳裏を過ぎる体験が味わえる。

また、探索中には敵も登場。戦闘はマップ上でリアルタイムで行われ、遠距離攻撃主体で立ち回る形になっている。ただ、ゲーム的には探索に重きを置いているようで、移動や攻撃のたびに減る「陽気」、それを充填できる安全地帯「陽紋」への到達並びに確保(展開)など、”素潜り”のような緊張感を演出するシステムが異彩を放っている。マップもそこそこ広く、奥地には意外な景色が広がるなど、探索重視ならではの先へ進む意欲を刺激する仕掛けも万全。ストーリーもその作りに適した謎めいた内容で、主人公の独白も交えた独特なテキスト、選択肢に応じた分岐といった興味深い要素の数々が印象的だ。

非常に野心的な事柄に取り組んでいるためか、ゲームとして遊べる範囲は20~30分ほどと短め。しかしながら、本来2DのRPGなどの制作を対象にしたツールで、疑似的ながら3Dのゲームを実現させている事実だけでも相当なインパクトがある。

完成にはそれなりに時間を要するかもしれないが、どれほどの規模の内容になるのかを自然に期待してしまう作品。一体、どんな仕上がりなのか、純粋に気になるのであれば、「ウディフェス2022」の作品ページよりダウンロードしてみよう。

[基本情報]
タイトル:『陰都見聞録』
作者:ハッピーエンド過激派
クリア時間:20~30分
対応プラットフォーム:Windows
価格:無料

※ダウンロードはこちら
https://wodifes.net/game/show/481

  • シェループ(@shelloop

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