救え、負債十傑!戦え、みらいちゃん!ゆるく遊べるパズル戦闘ゲーム『パズルバトラー!みらい』

インディーゲーム

仲良く談笑中のお姫様は……

空より舞い降りし紅い変態にさらわれた!
姫様の近くに置かれていたセーラー服も吹っ飛んだ!

そして、セーラー服はストリートを歩いていた主人公「みらいちゃん」に蒸着!

ってことで、お願いします!
そんなこんなの『パズルバトラー!みらい』である。

2022年4月より、Windows PC向けタイトルとしてSteamで発売中。
9月からはNintendo Switch版も発売中でございますぞ。

3マッチパズルとアクティブタイムバトルが融合したパズル戦闘ゲーム

さてはて、そんな『パズルバトラー!みらい』はパズル戦闘ゲームである。タイトル通りがすぎると言われても、そういうゲームなのだから致し方なし!

具体的なゲームの流れ、システム周りの紹介に入る。
基本はステージクリア形式だ。ステージクリアの条件は「WAVE」ごとに現れる敵の全滅。パズルなのに敵の全滅とはこれいかにだが、本作はパズル戦闘ゲーム。

パズルのピースを消すことで、主人公のみらいちゃんが攻撃を実施するのである。これを繰り返し、画面中央上部分、みらいちゃんの右側にRPGが如く並ぶ敵を倒していく。

最終的に全ての「WAVE」で全滅を達成させられればステージクリア(※ちなみにWAVE数は全ステージ一貫して4となっている)。もし、敵の攻撃を受けすぎ、みらいちゃんの体力が空になってしまうとゲームオーバーだ。
体力ゲージはみらいちゃんの足元に表示。この上部分には敵のアイコンも表示され、右から左へと動いていくが、これは敵の行動を指しており、左側に到達するとみらいちゃんへの攻撃が実施される仕組みになっている。いわゆる「アクティブタイム」というヤツだ。

パズル周りのルールは、俗に言う「3マッチ」形式。カーソルを操作し、フィールドに敷き詰められたパズルピースを上下左右に動かし、同じ色を4つ以上くっ付ければ消えるようになっている。
それなら「3マッチ」ではなくて「4マッチ」では、と物申したくなるかもしれないが、細かいことは気にしちゃいけません。ピースを並べて消す仕組みの時点で、例え4つ以上という条件があっても「3マッチ」は「3マッチ」なのです。力押しです!

そんなフィールド上に設置されるパズルピースは全6種類。消すことでみらいちゃんが攻撃を実施するのは前述の通りだが、他にも色に応じて異なる効果が発揮されるという特徴がある。

「赤・青・緑」は「スキル」の発動に必要なエネルギーの充てん、「紫」は「スキル」の強化に必要な経験値獲得、「黄色」はお金獲得、「ハート」はみらいちゃんの体力回復といった具合だ。なので戦闘中、ダメージを受けすぎた時は「ハート」を積極的に消す、敵にさらなる攻撃を仕掛けたい場合は「スキル」に関係する色を消す、といった感じに判断していくのが基本の戦術となる。

特に戦闘の行く末を左右するのが「スキル」だ。いわゆる必殺技で、複数の敵をまとめて攻撃したり、一体に集中砲火を浴びせて大ダメージを与えたり、果ては敵の攻撃を防ぐバリケードを設置するといったことができる。

「スキル」は、敵を倒すと現れる宝箱の中からランダムで入手(※一部スキルは固定入手)。最大3種類まで装備可能で、「赤青緑」のパズルピースを消してエネルギーを最大まで貯め、それぞれ対応するボタン(※Xboxコントローラ時、BXYボタンのどれか)を押すと発動となる仕組みだ。また、「紫」のパズルピースを消した時に得られる経験値でレベルアップを図れるようにもなっている。

ただし、レベルはスキルごとに設定されたレアリティ(★)に応じて最大値が変わる。基本的にレアリティの高いスキルほど、高いレベルまで強化できる感じだ。スキルのレアリティはランダムで選定されるので、高いレアリティのスキルを手に入れたいのなら、何度もパズルバトルに挑んでは宝箱を開け、物欲センサーが勝手に作動しないよう祈るまでだ。そんな「ハック&スラッシュ」的な要素も備わっている。

さらに「スキル」は5の倍数単位のステージ最後に現れるボス、中ボスも繰り出してくる。当然、まともに受ければ大ダメージである。だが、この繰り出すタイミングにこちらもスキルを発動すれば、”やられたらやり返す”でお馴染み「(スキル)倍返し」があの音楽は一切流れず発動!普段よりも効果の増した「スキル」を相手に仕掛けられるのだ。

そのような攻防戦も展開されたりと、戦闘を盛り上げる仕掛けも盛り込まれている。他に「黄色」のパズルピースを消した際に手に入るお金でみらいちゃんの基礎ステータスが強化できるなど、「スキル」以外にも成長要素は実装。

こういったシステム、各種要素を駆使してプレイヤーはみらいちゃんと共に戦っていくのである。まさにパズル戦闘ゲームというジャンルに相応しい、RPG的な味わいを持つ作品に仕上げられている。

なお、本編の最終目標は冒頭にて、レッ●ア●ーマーのような姿をした変態にさらわれた姫君、その名も「負債十傑」全員の救出となる(なんて名前だ!)。ということは、他にもさらわれる姫君がいるのかと言われればその通り!この辺りの詳細は追って紹介する。

これぞRPG要素の有効活用。ゆるく遊べて夢中になれる!

そんな『パズルバトラー!みらい』の魅力は”ゆるく遊べる”ことだ!

具体的にはRPG要素が及ぼす効果が大きく、連鎖のテクニックがなくても(苦手であっても)各ステージの戦闘を攻略できるバランスに調整されている。

そして、基本的に強化すればするほど、戦闘が有利に働くので積極的にステージ攻略に挑戦しては、お金や経験値を稼ぎたい気持ちも刺激されやすい。その結果、延々とゲームにのめり込んでしまい、数時間を吸い取られてしまう……なんてことも。いや、強化の恩恵が大きいのもあって、自然とそうなってしまうだろう。そう言った中毒性の底上げにRPG要素が上手い具合に作用し、頭ひとつ抜けた熱中度を演出しているのだ!

しかも、気軽に”ドカン!”と強化できてしまうのもあって尚更、夢中になっちゃう!
解説が遅れたが、強化はタイトル画面にある「Skill」を選び、そこから固有の項目を選んで実施し、みらいちゃんは専用の強化パネル解放、スキルは経験値を割り振るという形式になっている。基本的にみらいちゃんの強化には「お金」、スキルは紫のパズルピースを消した時に得られる「経験値」が必要となる。

この双方を得られる量というのが1ステージごとに大きい。大体、2ステージをクリアする頃には普通に万単位を超えてしまう。

それでいて、各種強化に必要な額(経験値)の条件が”ゆるい”。万単位を超過していれば、1回の強化でスキルならレベル20以上、みらいちゃんなら20~30数枚以上の強化パネルを開放できてしまうほどなのだ。なので、本当に大きく強化できる。

そして、戦闘では分かりやすいほど強化の恩恵が現れる。同時に「もっと強くすれば、さらに有利に事が運ぶのでは?」とのやる気が刺激され、ステージ攻略にのめり込んでは遊び続けてしまう。このようなサイクルが確立するようバランスが調整されており、それはもう、ズルズルとハマってしまうのである。

極めつけと言わんばかりに強化では、一定タイミングで”ボーナス”も付与される。お金と経験値が時々10倍、パズルピースの配置が連鎖の発生を招きやすいものになるといったものだ。

そうなれば、ますます手に入る額も上昇。スキルの組み合わせによっては文字通りの”ガッポリ”大儲けも普通に実現するぐらいだ。(そして、みらいちゃんとスキルはどんどん強くなっていく)まさにこれぞ”沼”。RPG要素を有効活用したなりの恩恵が現れすぎた仕上がりなのである。

なので本作は3マッチ形式に限らず、パズルゲームに苦手意識のある人も遊びやすい。RPG要素によるフォローに限らず、ステージも3段階の難易度が選択可能で、最も簡単な「イージー」主体でも最終的なクリアは目指せるようになっている。
だが、RPG要素に頼り切ることによって、いずれは「ハード」にも気軽に挑めるようになってしまうだろう。そんな上を目指す気持ちを刺激する構造になっているのも見事。これもまた”ゆるい”からこその魅力と言ってもいいかもしれない。

それもあって、本作はぜひともパズルゲームに苦手意識がある人ほど遊んで魅力を確かめてみていただきたいところだ。もちろん、逆も然り。しかし、本編の流れが成長に直結しすぎている所は賛否が分かれるかもしれない。

前述の通り、本作の最終目標は「負債十傑」の全救出。そのためには「カギ」を5つ集めると解禁される「ボスステージ」で、大ボスを倒さなければならないのだが、この「カギ」というのが、みらいちゃんの成長パネル内から手に入れるものになっている。

要はみらいちゃんを成長させなければ、メインストーリーは進めないのだ。そして、全員の救出のためには用意された成長用パネルを全て埋めることが必須。この成長要素の強要ともされる作りは、正直、賛否が分かれるだろう。

このために何度もステージに挑戦してはお金を稼いでいくのが繰り返されることも。とは言え、強化条件のゆるさとお金の手に入りやすさもあり、水増し的な要素としては機能していない。全員救出に要するボリュームも10時間以内に収まっていることも然りだ。それがせめてもの救いではある。そういったギリギリのバランスを保ち、”ゆるさ”を維持しているのもある意味では見所、と言えるかもしれない。

ボス戦は耐久力の高さも相まって、ゆるいどころか”ガチ”だったりするが。
この長期戦になりやすいバランスも賛否が分かれる部分ではある。

実は割とカッコイイ演出にも注目の心地よい良作

ボスに関しては、他に個体のバリエーションが乏しいのも人によっては気になるかもしれない。ただ、演出の派手さもあり、戦闘自体は大変に盛り上がる。

可愛らしいキャラクターが多数登場する世界観から、音楽にも”ゆるさ”をイメージしやすいが、意外にもカッコイイものが揃っている。特に大ボス戦は作中屈指の燃えどころ。ぜひ、その手に汗握る駆け引きを体験いただきたい。

音楽に限らず、グラフィックも表情豊かに動くキャラクターのドット絵が異彩を放っている。エフェクトからスキルのカットインといった所も、徹底してドット絵らしさを追求していて、そのやたら派手に輝く様には見とれてしまう……かも。

既に冒頭の紹介からしてあからさまだが、本編には著名なゲームのパロディも豊富。さらにストーリーも見事なまでに薄い!(※注:批判ではない)

ついでにツッコミどころの嵐である。そもそも救出対象の姫君たちこと「負債十傑」という名前からしてアレ。しかも、それぞれのキャラクターが本当に負債を背負っているという生々しさである。どんな負債を追っているのかは、ひとまず最後までゲームをプレイしてみよう。変な笑いが出るかも。(お金の使い過ぎって怖いね……)

前述の成長が強制されるに等しい本編の構成、ボスの硬さに長期戦の陥りやすさ、ひたすらにパズルステージを攻略していく展開といった賛否の分かれる箇所や粗削りに感じる部分もある。「スキル」も一部、火力が高すぎてボス戦御用達になるものが存在し、装備の偏りが生じやすいのも気になる箇所ではある。


▲ボス戦御用達スキル「のぞみ飛行部隊」(倍返しなら1000倍返しになるほど強力)

ただ、それも含めて”ゆるく遊べる”作りは心地よく、操作性とテンポの良さもあって夢中になれるゲームに完成されている。RPG要素が有効的に活用されているため、パズルゲームに苦手意識のある人にも易しい本作。そう言った方から得意な方まで幅広くお薦めできて、肩の力を抜いて楽しめる良作だ。色々戦って強くなって、負債十傑を救出しよう。

なおゲームの性質上、Nintendo Switch版の携帯モードおよびNintendo Switch Liteとの相性は鬼に金棒である。一度、勢いに乗ると凄いことになるので、思い切って身を委ねてみましょう。注意喚起だと思いましたか。いえいえ、推しまくりです。(えへへ……)

[基本情報]
タイトル:『パズルバトラー!みらい』
開発元:Wandering Wonder Studio(※Nintendo Switch版販売:わくわくゲームズ)
クリア時間:8~10時間
対応プラットフォーム:Windows、Nintendo Switch
価格:¥690(Steam)、¥1,100(Nintendo Switch)

◇購入はこちら
※PC(Steam)版

※Nintendo Switch版
https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000056735.html

  • シェループ(@shelloop

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