Steam初心者にもおすすめなパーティゲーム『Move or Die』 「動かなければ死ぬ」ルールの緊張感で、右へ左へ盛り上がれ!

Steam,アクション,インディーゲーム

年末年始である。クリスマスにお正月、忘年会に新年会。パーティの季節がやってきた。今回はそんなアゲアゲでノリノリな季節にぴったりのパーティゲーム『Move or Die』を紹介しよう。

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今作はルーマニアのインディゲームディベロッパー「Those Awesome Guys」の開発した4人プレイのパーティゲームだ。PCゲーム配信プラットフォーム「Steam」にて、1,480円で販売されている。日本語対応済みであるほか、オンラインでのマルチプレイにも対応しており、おうちにわざわざお友達を呼ばなくとも楽しむことができる。

これはインディ発のパーティゲームでは大変貴重だ。開発費用の問題などでオンラインマルチの開発難度はいまだ高い。そのため多くのインディ発パーティゲームがオフラインでのマルチプレイしかできない状態にとどまってしまっている。その点から見れば、労力をかけて作られた意欲作である。

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その意欲の表れか、多くの言語に対応しているのも売りの一つだ。日本語にも対応しており、翻訳のクオリティは高い。フレンド招待画面で友人が他のゲームを遊んでいると出る「Move or Dieより格下のゲームをやっている」といった喧嘩を売りまくった小粋なジョークもしっかり翻訳されている。一部、アップデートで追加されたばかりの部分に英語が残っているが、海外のゲームは言語の壁が……という方にも安心しておススメできる作品だ。

「動かなければ死ぬ」が生む緊張感

 

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さて肝心のゲーム内容だが、このゲームの大原則はタイトルの通り「動かなければ死ぬ(Move or Die)」だ。各々が操作するキャラクターにはHPがあり、動かずじっとしているとHPが急速に減り、爆発して死んでしまう。キャラクターが走り回っている間はHPが回復していくので、常に走り回らなければいけない。

ここで重要になってくるのは、空中ではいくら動いてもHPが回復しないということだ。調子に乗ってジャンプし続けてもこれまた爆発してしまう。意識して地面を移動しなければ爆発は免れないということをまず念頭においてほしい。

そんな大原則の中で、プレーヤーたちはさまざまなゲームに挑戦することとなる。さわると死ぬブロックを避け最後まで生き残れ(プレーヤー同士にあたり判定があって、相手を押せる)。最後に一人になるまで銃で殺し合え。時限爆弾を押し付けあえ。ステージに現れる飴を奪い合え、食べ損ねた者から死ぬ。……などなど相手を蹴落とし、友情を破壊し、自分だけが生き残るゲームモードが満載だ。

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本作はラウンド制になっており、ラウンドごとに違うゲームモードをプレイし、その順位によってポイントが割り振られる。最初に規定ポイントまで貯めたものが優勝だ。だが、優勝に王手をかけるとゲームで1位にならない限りポイントが入らなくなる。常に2位あたりで手堅くポイントを稼いでおけば……といった消極的プレイでは優勝はない。積極的に他プレーヤーを蹴落とす必要がある。

これらのゲームモードは全て1分程度でラウンドが終わるテンポの早いスピーディな調整がなされている。プレーヤーは早い展開を強いられるため、必然的にゲームへの姿勢も前のめりになる。すると時限爆弾を押し付けられまいと画面端に隠れたり、飴を求めて何度も何度もジャンプしたりと、勝負に熱中してしまう。

そこに、このゲームの大原則が牙をむいてくる。隠れ続けてもジャンプし続けても、大原則に反してしまうため死んでしまうのだ。このバランスが本当に絶妙で、ゲームに熱中すればするほど死の危険が近づくようになっている。他プレーヤーと駆け引きさせ、テンポの早さで煽り、どんどんプレーヤーから「動かなければ死ぬ」を意識から外させる。この構造こそがこのゲームの最大の仕掛けであり、最大の魅力である。ゲームに熱中させつつも、動かなければ死ぬ大原則という罠を意識させ、プレーヤーに緊張感を与えているのだ。

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さらに、このゲームには「ミュータント」という特殊要素がある。ミュータントとは動けば死ぬの大原則にもう一つの大原則を加える追加ルールだ。ミュータントをオンにすると、ランダムに選ばれたプレーヤーが追加するルールを一つ選ぶことになる。この追加ルールは数ラウンド適応され、終わると次の追加ルール選択が行われる。

この追加ルールがまたニクい。2段ジャンプできるようにしたり(当然普通のジャンプよりHPが減る)、キャラクターの見た目が数秒ごとに入れ替わるようにしたり、動かなければ死ぬルールを動けばHPが減って死ぬに変更したり、ゲームが強烈に変化する追加ルールばかりが用意されている。どれだけ動かなければ死ぬ大原則を意識していても、次々と変わる追加ルールにプレーヤーが混乱して失敗をしてしまう作りなのだ。これで、さらに緊張感のあるゲームを楽しむことができる。

ゲームモードを売買する?

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また、このゲームのオンラインモードにはプレーヤーレベルがあり、レベルが上がるごとにご褒美としてプレーヤースキンやゲームモードがもらえる。ゲームモードがもらえる……というところで気づく方もいるかもしれないが、そう、このゲームのオンラインモードでは多種多様なゲームモードをこのご褒美で手に入れないと遊べないのである。

オフラインモードで全てのゲームモードが遊べはするが、かなり厳しい。もちろんスキンやゲームモードにはレアリティが存在し、しかもスキンもゲームモードもダブることがある。遊んでいればすべて手に入るなんてやわなものではない。パーティゲームとしては珍しい仕様だ。

だが、これもゲームの一部と言えば一部なのである。このゲームは、最初に参加プレーヤーたち各々が選んだゲームモードをルーレットに配置することで始まり、そのルーレットからランダムにゲームモードが選ばれる。なので、自分が持っているゲームモードから練習してきた得意なものを選んだり、やっと手に入れたレアなゲームモードを見せびらかしたり、みんなで持ち寄っていろんなゲームモードを遊んだり、ゲームモードを選ぶ段階にも遊びが存在しているのだ。

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しかし、運に頼らずいろいろなゲームモードで遊びたいという方もいるだろう。そんな人のため、このゲームはSteamのコミュニティマーケットに対応しており、プレーヤースキンやゲームモードを売買することができる。Steamコミュニティマーケットはゲーム内アイテムをユーザー間で取引するサービスだ。このサービスでスキンなどの見た目を変更するアイテムを売買できるゲームは多くあるが、ゲームモードを売買できるゲームはかなり珍しい。ゲームをより楽しみたい、友人に自慢したいならぜひコミュニティマーケットを利用してみよう。

Steam初心者から上級者まで楽しめるパーティゲームの決定版

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Steamの初心者と上級者の間にはどうしても深い溝がある。英語のゲームに抵抗がある、高度なテクニックを要求してしまう、WASD操作ができない、前提知識があるものと考えてしまう、などなど。仕方がないことではある。だが、勧められるままに買ったゲームが難しすぎて諦めてしまったり、勧めてみたものの初心者の気持ちがわからずイライラしたり、これがよくない方向に働くことも少なくない。

そういった溝にただただ楽しいパーティゲームは上手く収まってくれる。パーティゲームは高度な操作を必要としないし、勝っても負けても楽しい。だが、最初に話した通りパーティゲームでオンラインマルチがあるものは限られてくる。お家に招いて遊べるならいいが、それができるのは限られた人だ。どんなプレーヤーでも楽しく遊べるオンライン対応ゲームというのはそれだけで価値があり、希少だ。

『Move or Die』はまさしくその希少で、価値のある、どんなプレーヤーでも楽しく遊べる素晴らしいゲームだ。オンラインマルチに対応しているし、オンライン時にサーバーを立てるような手間もない。難しい操作も必要ないし、ルールもわかりやすい。加えて日本語にまで対応している。これほど、あらゆる人に勧められるゲームはないだろう。

今回詳しい紹介はしていないが、自分のオリジナルマップやゲームモードを作るエディター機能や、キャラの見た目を変更するといったユーザークリエイトにも対応している。オフラインでのみ楽しめるものなのが残念だが、Steam Workshopにも対応し、今後の広がりを期待させてくれる。

ぜひお友達と一緒に遊んでほしいタイトルだ。お家でバカ騒ぎするもよし、オンラインで遊ぶのもよし。楽しいマルチプレイゲームをお探しなら『Move or Die』がおススメだ。

[作品情報]
タイトル 『Move or Die』
制作者 Those Awesome Guys(制作者様サイトはこちら)
対応OS Windows7, 8 or 10, Mac OS X 10.6+, Linux Ubuntu 12.04 – 13.10
プレイ時間 1ゲーム5~30分程度(設定でゲーム時間を調整可能)
価格 1,480円

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  • 洋ナシ(@younasi

    海外インディゲームの情報同人誌を作っているただのオタクですが、声をかけられゲーム記事を書くことになりました。人生何があるかわかりませんね。そういうことがあるのは、もっとこう絵がうまかったりマンガが面白かったりする人だけだと思ってました。他の執筆者の方のように輝かしい実績はありませんが、世界で初めてSurgeon Simulatorでペン回しに成功したという地味な実績があります。

    ブログ:http://tukedai.minibird.jp/blog/