ポップでキュートな激アツバトル!UFOキャッチャー対戦アクション『シューフォーズ』

アクション,インディーゲーム

「シンプルかつ奥深い」。ゲームを褒める際の常套句としてこんな言葉を耳にすることは多いだろう。「覚えるには1分、極めるには一生」とはメガハウス社の有名ボードゲーム『オセロ』のキャッチフレーズであるが、優れたゲームとは何かを的確に言い表した言葉であるといえる。ゲームを褒めるべく数多の言葉を尽くすのが筆者の生業ではあるのだが、この作品には「シンプルかつ奥深い」という言葉を、ただシンプルに捧げたい。

『シューフォーズ』はブイブイラボが制作し、株式会社Phoenixxより販売されている対戦型アクションゲーム。STEAMにてWindows PC版が、Nintendo StoreにてNintendo Switch版がそれぞれ2022年7月14日より配信されている。

本邦初!?”対戦型UFOキャッチャー”爆誕!

本作『シューフォーズ』を一言で言い表すならば対戦型UFOキャッチャー。1対1でUFOを操作して画面上部から降ってくるカプセルをパンチで割って中から「ターゲット」に指定されたアイテムを探し出し、吸い込み(シューシュー)を駆使してゴールへ落とせば1点獲得。既定の点数を先取した側が勝利となる。

ターゲットではないアイテムについても、自分のゴールに入れていくことで、自分側のゴールの手前にある「ぼうえいライン」の板の高さを下げつつ相手側の板の高さを上げることができる。また、ゴール手前にある穴は画面上部にあるワープパイプと交差するようにつながっていて、穴に落としたアイテムを送り込むことが可能。パンチは対戦相手を直接殴って相手を短時間気絶させることもできる。これらを活用してバトルを有利に進めていこう。

カラフルな色使いや個性豊かなキャラクター達、なんだかどこかで見たことがあるようなアイテムの数々も本作の魅力。画面を見ているだけでも賑やかで楽しい作品になっている。見つけたアイテムは「はくぶつかん」で確認する事が可能だ。

”ガチャ”でも”ガチ”でも面白い

古今東西対戦ゲームは数あれど、本作のとっつきやすさは群を抜く。ゲームセンターやスーパーの店頭などに置かれている「UFOキャッチャー」という誰もが知るモチーフがあることに加え、ゴール際でターゲットを巡って押し合い圧し合いの攻防になる光景などはバスケットボールなどの球技を連想させる。優れた競技の数々がそうであるように根源的であり、数分触れば操作やルールを把握でき、すぐさま目の前の戦いに集中できる。

ルールは単純ながら単調ではなく、駆使することができる戦略やテクニックは多岐に渡る。パンチも吸い込みも基本的に上から下へ向かって仕掛けることになるため、対戦相手に対しては上方を取ることで優位に立ちやすいといったポジショニングや、ワープパイプはよく見ると向きが微動しており有効活用するにはタイミングが重要になる点、カプセルをゴール上に運んでから割ることで(中身次第とはなるが)隙なくターゲットをゴールに入れるという戦法など、枚挙すればいとまがない。

かといってテクニック一辺倒の雁字搦めというわけでもなく、物理法則が活かされている点もポイントと言える。カプセルやアイテム、ターゲットは種類によって重量や形状が異なっており、重力や慣性に従って動く。そのため大量のアイテムに押しつぶされて動きがとれなくなったり、ターゲットがあらぬ方向に跳ね飛んでいったり、ターゲットがゴールの口に引っ掛かって落ちなかったりといった予測しにくい事態が多々起こり得る。そこを突いた逆転劇などゲーム展開に多様性があり、初心者には一矢報いるチャンスを、上級者には足元を掬われないようにする緊張感をそれぞれ与えている。セオリー自体が単純で把握しやすいこともあり、セオリーを知る上級者が初心者を一方的になぶるだけにはなりにくい。

「老若男女を問わず親しめるモチーフ」「短時間で把握できるシンプルなルールと操作系」「”運”と”テクニック”の双方が介在する余地」を兼ね備え、ワイワイガヤガヤ遊ぶのにも、火花を散らす真剣勝負にも耐え得る、対戦型ゲームとしては完全無欠な資質を持った作品と言えるだろう。

ウチューに広がれシューフォリアンの輪

主人公の「ルル」をはじめとしたキャラクター達が活躍するストーリーモード、ストーリーモード制覇後に解禁される勝ち抜き記録に挑戦するエンドレスモードなど1人プレイでも楽しめるモードはあるが、やはり本作の醍醐味となるのは人間同士による対戦プレイとなるだろう。本作はローカルだけでなくオンラインでの対戦プレイが可能となっている。

オンライン対戦では見知らぬ人とも対戦することができるランクマッチと、ナンバーを教えあうことで特定のプレイヤーと対戦できるフレンドマッチの2種類の接続方法が用意されている。STEAMのRemote Play Together機能や、Nintendo Switch版とSTEAM版によるクロスプラットフォームプレイにも対応。ゲーム外の部分では対戦相手を募るための公式Discordサーバも用意され、快適にネットワークプレイをするための仕組みはひととおり揃っていると言ってよいだろう。

オンライン対戦機能は大変便利であるし、感染症の流行によって対人接触が気兼ねなくできない社会情勢ともなってしまった昨今でもあるが、とはいえやはりできることならば同じひとつの画面を見つめ、隣人と顔を見合わせて本作を楽しんで欲しい、というのが本稿をしたためる筆者の願いである。筆者がかねてより本作のイベント展示ゲーム大会を通じて己の眼で見てきた本作を取り巻く熱気は、本作が人々が笑顔になれる力を持つゲーム作品であることの何よりの証明であると信じて疑わない。

[基本情報]
タイトル: シューフォーズ
制作者:ブイブイラボ
クリア時間:  2時間~
対応OS: Windows , Nintendo Switch
価格: ¥1200

↓ダウンロードはこちらから
(STEAM)

(Nintendo Store)
https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000041070.html

  • 真野 崇(@tacashi

    フリーゲームと共に四半世紀を生きるフリゲ馬鹿一代。
    フリーゲームのレビューブログ「自由遊戯黙示録」を経て、自身のフリゲ人生を集約した、フリーゲーム・同人ゲーム・インディーズゲームの年代記「自主制作ゲーム史論」を執筆。