【東京ゲームショウ2016】ゲームデザインが光るインディーゲーム4作紹介

TGS2016,インディーゲーム

9月15日(木)~18日(日)の期間で開催されている国内最大規模のゲームの祭典「東京ゲームショー2016(TGS)」。2016年の開催では、個人・小規模制作のゲームが出展される「インディーゲームコーナー」が設置されている。インディーゲームコーナーは2013年より設置されたコーナーで、3回目の設置となる今回も様々な作品が出展されていた。

今回は、TGSビジネスデイのインディーゲームコーナーで見つけた4作品を紹介。これまでにもぐらゲームスで取り上げ切れていなかったインディーディベロッパーの作品を中心に掲載してみた。今回紹介した作品は、17日(土)以降のパブリックデイでも遊ぶことができるので、気になった作品はぜひ遊んでみてはいかがだろうか?

東京ダーク

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本作は、日本・鎌倉市拠点を置くインディースタジオ「Cherrymochi」の開発するゲーム。架空の日本を舞台にしたポイントクリック型のアドベンチャーとなっている。『シェンムー』『ひぐらしのなく頃に』、『コープスパーティー Book of Shadows』などに影響を受けているという。

物語として同僚の失踪の謎を追う女性刑事「伊藤絢美」が、複雑怪奇な出来事に巻き込まれていくものとなっている。伊藤刑事は自身の過去と対面し、その正気を保とうとする場面もあるという。エンディングも11個用意される予定。

ゲームシステムとしては、正気値・プロフェッショナル値・探索値・ノイローゼ値の4つのステータスが変化する「S.P.I.N」システムが特徴。絢美がどういった行動を取ったかによってそれら数値が変化していき、以降の選択肢やキャラクターとの関係性が変わっていくという。
 
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本作の世界観は、タイトルから伺えるように東京の「裏道」をイメージした、ダークな雰囲気を意識して作られているという。また渋谷や新宿の雑踏や、駅での電車が発する音などを録音し、音楽に使用しているとのことだ。

本作は、スクウェア・エニックスが海外で展開するインディーゲームのサポートプロジェクト「Square Enix Collective」の支援を受け、またkickstarterにて20万ドルの資金調達を達成している。開発期間はコンセプトの発想から2年ほどとのこと。TGSに出展されているデモ版では、オープニングの10分ほどの物語を楽しむことができた。今後の展開を気にさせてくれるものとなっているので、遊んでみてはいかがだろうか。

WILL

東京ゲームショー
 
本作は、中国のインディーディベロッパー「4D Door Games」が制作を行うテキストベースのアドベンチャー。

特徴的なゲームシステムとしては、自分が神様の視点となり物語に介入、キャラの運命を変えることができるというもの。キャラの行動の順番を切り替えることで物語が変化するため、パズルを組み替えるようにハッピーエンドを目指していく。
製作者によるとチュンソフトの『428』などの作品が好きとのことだった。本作ではキャラクター個人の行動の順番だけではなく、キャラクター同士の行動を入れ替えることもできるのが印象的だった。
  
東京ゲームショー
 
東京ゲームショー
 
2017年春に中国語版がリリース予定、日本語版は正確には時期は決まっていないが、PLAYISMから配信される予定。今回のデモ版でも、そのゲームシステムを味わうことができる。

RECOLOR

東京ゲームショー
 
シンガポールのゲーム制作チーム「Diceroll Studios」によるスマートフォン向け作品。プレイヤーが画面をなぞると、キャラクターの進行予定の線を描くことができる。線を描き終わったら、ゲームをスタートすることでその通りにキャラが歩き始める。ステージ上に存在する結晶を集めてゴールへ導くことが目的だ。
 
東京ゲームショー

ポイントとしては、ステージにはキャラを妨害する存在もいるため、単純にゴールまでの線を描くだけではクリアできない。それらの動きを上手く回避するようなタイミングでキャラの歩みを開始させること重要だ。

ステージを経るごとに、2人目のキャラの操作も可能になる。特定のキャラしか取得できない結晶なども存在するため、キャラごとにどういったルートで動かすかが重要になってくる。

スタジオシエスタ

東京ゲームショー
 
株式会社ロケットエンジンのインディーゲームブランド「スタジオシエスタ」は、『トラブル☆ウィッチーズOrigin ~アマルガムの娘たち~』『ヴァルシュトレイの狂飇 – コラテラル ハザード -』の2タイトルを出展。『トラブル☆ウィッチーズOrigin』は現在開発中のシューティングゲームとなっており、Steamにて配信予定となっている。『ヴァルシュトレイの狂飇』は同じくシューティング。現在Steamにて配信されている。

配信中タイトルである『ヴァルシュトレイの狂飇』は、ショットで敵を倒しつつ、ゲージを貯めて放つレーザーで敵を一掃するというもの。シンプルな操作で、圧巻の弾幕で埋め尽くされるステージを攻略していく爽快感を楽しむことができる。今後配信予定の『トラブル☆ウィッチーズOrigin』も期待したい。

今回紹介した作品のほか、多くのゲームがTGSのインディーゲームコーナーに出展されている。もぐらゲームスでは引き続きTGSのインディゲーム紹介を行う予定だ。週末に時間のある人は、ぜひ会場で楽しんでみてはいかがだろうか。

  • poroLogue(@poroLogue

    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。