2Dアクション×ローグライク×ド王道ラノベ風SF!パワードスーツをまとい戦う少女の運命を描く『Metal Unit』

アクション,インディーゲーム

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パワードスーツ「メタルユニット」に身を包み、エイリアンや地球内部から現れた古代の怪物と戦う少女たち。
ただの新人のはずの主人公に周りの人達がかける、思わせぶりな台詞の数々。
絶望的な状況で目覚める、主人公の秘められた力。
激化していく戦いの中で現れる、人類を裏切ったとされる主人公の姉……

そんなSFアニメやライトノベルめいた物語が展開するのが、今回紹介する『Metal Unit』。韓国のデベロッパーJellySnowStudioによる作品で、ジャンルは最近ではローグライトとも呼ばれるタイプのローグライク要素を備えた2Dプラットフォーマーだ。約1年の早期アクセスを経て、今年1月にSteamで完成版がリリースされた。

拾い集めた多種多様な武器を使いこなしていく手触りのよいアクションと、いい意味でコテコテに王道なシナリオが展開するイベントシーンにより、人類存続をかけて戦う少女達の運命を体験できる作品となっている。

多種多様な装備品の収集も楽しいローグライク・アクション

本作の主人公は、追い込まれていく人類の最後の希望である「鋼鉄の反撃」部隊の新人隊員「ジョアナ」。装着するメタルユニットのサポートAIである「ファルコン」を相棒に、任務をこなしていきながら物語が進んでいく。

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主人公のジョアナと相棒のファルコン。ファルコンはなかなか陽気なAIだ

ゲーム進行は前述の通り2Dプラットフォーマーとローグライクが融合したもので、短いエリアがランダムに組み合わされたステージを攻略していく。各エリアにはさまざまなトラップや隠し通路なども存在。2Dプラットフォーマーとして作り込まれたフィールドを堪能しつつ、1プレイ全体としてはランダム性が高く繰り返しプレイしても新発見を楽しめるような構成となっている。

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短いエリアがランダムに接続されることで、全体としてはリプレイ性の高いステージ構成となっている。途中には休息やアイテムの売買などができる野営地も

アクション面での見どころは、タイプと数、両面における装備品のバリエーションだ。ジョアナが扱う武器は、近接武器、遠距離武器、サブ武器、ゲージを溜めて発動する究極技の4タイプ。さらにジョアナの攻撃に合わせて追加攻撃を行ってくれたりするアッドオン、パッシブで効果を発揮するアクセサリーもあり、装備品の総数は200以上におよぶ。

各エリアにランダムで配置されているこれらの装備品を集めるのも本作の醍醐味だ。ローグライクということでゲームオーバーとなり拠点に戻ると持っていたアイテムは消失するのだが、ステージに挑む際は一度取得した装備品からタイプごとに1つ、選んで持ち込むことができる。

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多種多様な性能の装備品を組み合わせて戦闘スタイルをカスタマイズしていくのも醍醐味。強力な装備品にはデメリットが付いていることも……

ただし装備品にはレアリティが設定されており、持ち込める装備品のレアリティには制限がかかっている。この制限は装備品を使い続けることで「習得」し、それによって得られるマスタリーポイントが一定値に達すると緩和されていく仕組みだ。

これにより、ステージを攻略しながら装備品を集め戦闘スタイルの選択肢を増やしていきつつ、それらを使い込むことで持ち込める装備品をランクアップさせていき、それによって攻略をさらに進めて新しい装備品をゲット……というゲームサイクルが生み出されている。通常のエリアよりも難易度の高いジャンプアクションやパズルチックな仕掛けなどがあるダンジョンも存在し、これはスルーして先に進むこともできるがレアな装備品が手に入りやすいといったチャレンジ要素も用意されている。

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ダンジョンでは通常のエリアよりも難易度の高いジャンプアクションを要求されたり、パズルチックな仕掛けが施されていたりする。スルーも可能だが、奥にはレアなお宝が

繰り返しプレイすることで強くなっていく要素としては、ほかにジョアナ、メタルユニット、そしてファルコンのアップグレードも。これはステージ攻略によって得られる「クリスタル・コア」を消費して行うもので、メタルユニットの最大HPを上げたり、初期では2段までできるジャンプを3段にしたり、氷結・火炎といった状態異常の持続時間を減らしたりと多彩な効果がある。

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ステージのプレイで溜まっていくクリスタル・コアを消費して、ジョアナ、メタルユニット、ファルコンそれぞれの能力を強化することが可能。ゲームオーバー時に比較的多く手に入り、次のプレイへと繋げていける

ほかにもストーリー上でクリアしたステージを再プレイすると最奥にはストーリーとは異なるボスが待ち構えていたり、装備品や素材アイテムから新たな装備品を鍛造できたりと、やり込み要素は盛りだくさん。そもそもステージを構成するエリア自体が、ステージを数周した程度ではすべてを体験しきれないくらいのバリエーションがあるため、周回プレイが楽しい作りとなっている。

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装備品や素材アイテムから新たな装備品を鍛造できる。ゲームオーバーにならずステージをクリアした場合はすべてのアイテムを拠点に持ち帰り、一定数まで拠点に保管できるため、素材アイテムなどは少しずつ溜め込んでいける

ド直球ド王道!世界と少女の真実に迫るSFストーリーも魅力

操作に対するレスポンスや攻撃のヒット感の演出といったアクション面の手触りも良好で、ローグライク・プラットフォーマーとして遊びやすい作品だが、その先に描かれる物語もなかなかの見どころだ。

物語は「鋼鉄の反撃」隊長でありジョアナの憧れの先輩である「ユナ」、人類の反撃を指揮する「マスター」、そして人類を裏切ったとされるジョアナの姉「ハナ」といった人物達の思惑が絡み合い、謎を孕みながら展開していく。姉の言葉に導かれるようにとある場所へ赴いたジョアナは、やがて自らの真実にも向き合っていくことになる。

……と期待を煽ってみたものの、正直に言えばストーリー展開は良くも悪くもド直球のド王道。とはいえ裏を返せば期待を裏切らないということでもあり、この手のアニメやラノベが好きなら「わかってるな……!」となること請け合いだ。ジョアナととある人物の関係性においては明かされると思わず唸ってしまうような面があったりもする。運命に翻弄されつつも主人公らしく信念を貫くジョアナをはじめ、主要キャラクターも皆それぞれに魅力的だ。

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人類の敵となったはずの姉ハナは、しかしジョアナを気遣うようなそぶりを見せる

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基本はアクションゲームということもあり、メインシナリオ内において本作の背景となる世界観への言及は必要最小限となっている。これについては各エリアに散りばめられた文書で補完されており、とある場所で閲覧可能となる

ストーリーのクリアにかかる時間は、アクションの腕にもよるだろうが数時間といったところ。クリア後はアイテムとアップグレードの状況を引き継いでのストーリーの再プレイや、特殊なレギュレーションでプレイして特別な報酬を得られるチャレンジモードといったさらなるやり込みも楽しめる。

腕に覚えがあればサクサク進められ、一方でコツコツ周回して持ち込める装備品のレアリティを上げていけば、アクションの腕はほどほどでもクリアの余地は十分ある(筆者もどちらかといえばこれである)。気軽に遊べるローグライクアクションを求めている人はもちろん、世界観やキャラ、ビジュアルが気になるという動機にも応えてくれる作品なので、SFアニメ・ラノベ好きにもぜひお勧めしたい。

[基本情報]
タイトル:Metal Unit
開発元:JellySnow Studio
対応OS:Windows
価格:1,520円

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  • 中村友次郎(@finalbeta

    RPGのプレイと紹介がライフワーク。システムに凝ったRPGをとくに好んでプレイします。商業で一番好きなゲームメーカーは日本ファルコム。運営型では原神にハマってます。
    過去に十数年ほど、窓の杜の連載記事「週末ゲーム」の編集と一部執筆を担当していました。