フリーホラーゲーム『宵闇ノ影』 会社に閉じ込められたサラリーマンたちを待つものとは?

現在、さまざまなタイプの作品が数多くリリースされているフリーホラーゲーム。
今回はそんなゲームの中から、オカルトミステリーアドベンチャー『宵闇ノ影』を紹介しよう。

本作の特徴は、フリーホラーゲームとしても珍しく、現代の会社オフィスが舞台となっている点にある。主人公や主要登場人物たちも全員会社員となっており、その多くが10代の少年少女にスポットを当てたホラーゲームの中では、珍しい感覚を楽しむことができるだろう。

物語自体もコンパクトかつ丁寧にまとまっており、1~2時間ほどでクリアすることができる短編となっているのもポイントだ。さっそく紹介したい。

会社に閉じ込められたサラリーマンたちを待ち受けるものは……

このゲームの主人公である「月宮潤」は、月宮コーポレーションの社長の息子。「19時以降になると子供の幽霊が出る」という噂が流れているこの会社で、夜まで眠りに落ちてしまっていた潤は、会社から外に出ようと試みる。しかし道中、会社に残っていたさまざまな人物との遭遇や、そして外へ出ようとする潤を阻む怪奇現象にも直面することになり……。

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本作の主人公である「月宮潤」。会社にて目を覚ますと、そこは既に夜だった

本作の基本的なゲームシステムとしては、マップを探索して謎解きを行うオーソドックスな探索型アドベンチャーとなっている。探索の最中にアイテムや会社の資料などを獲得することができ、それによって行動できる範囲が広がるほか、物語の背景をより詳しく知ることができるようになっている。

このゲームの特徴的なシステムとしては「ザッピング」の要素だ。潤は会社を探索中、さまざまな人間と出会う。たとえば序盤に出会う女性「黒穴舞」とは一緒に行動をすることとなるが、特定のポイントでは別々に行動することになる。その際に「ザッピング」を行うことにより、操作するキャラクターを切り替えることができる。

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潤が一番初めに出会う女性「黒穴舞」。彼女とは行動を共にすることになる

ザッピングを活用して、それぞれのキャラクターで会社を探索することで、より登場人物のことや物語を深く知ることが可能となる。ザッピングを使用した複雑な謎解きは存在しないため、こういったシステムが苦手な人でも楽しむことができるようになっている。一方、ザッピングをうまく活用することで、より作品を味わうことがことができるため、試行錯誤して探索した人が楽しめるような設計となっていることも特徴のひとつだ。

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ザッピングによって、より深く物語を楽しむことができる

プレイアビリティへの配慮や細部へのこだわりもポイント

本作は、プレイヤーがゲームを遊ぶ上でのプレイアビリティへの配慮が行われているのもポイントだ。たとえばメニュー画面では、これまでのストーリーの要約や、これからするべき行動などをいつでも確認することができる。

また、社内で見つけた資料の内容や登場人物のプロフィールなども参照できるようになっているため、もし内容を忘れてしまっても安心できるようになっている。

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ストーリーのまとめや次の目標、登場人物の情報などをいつでも確認することができる
 
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また、会社を探索する際にオブジェクトを調べたときの反応にも注目してみてほしい。細かいながらも、棚などの小物を調べたときに実際に戸が開くなど、反応がしっかりしており、ビジュアルへのこだわりを感じ取ることができる。

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細部までこだわって作られたマップグラフィックも雰囲気を出してくれる

会社を脱出しようとする潤たちの前に現れるものは…?

会社から抜け出そうとする潤は、道中でさまざまな人物や怪奇現象と出会う。ゲーム序盤から「重要な日付」として提示される「8月27日」、そして会社の探索中に見つかる過去の資料。これらを総合したときに見えてくる「真実」とは……?ここからは、そんな物語のダイジェストを紹介しよう。

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舞はなにやら探し物をしているようだが……?

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月宮コーポレーションの部長である「天地蓮」。風貌からは頼れる存在に思える

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探索中に出会う美人秘書「七星叶」。彼女もなにか理由があって会社に残っていたのだろうか。

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謎の幽霊のような存在が潤たちの前に出現する…

本作は、ゲームシステム上の特徴となるザッピング以外は、全体としては一見、オーソドックスな作品という印象を受けるかもしれない。

しかし、プレイヤーへの細かい配慮や小物を調べたときの細かい反応などを見ると、作品の基礎となる部分に丁寧な作りこみが行われていることが伺える作品だ。マルチエンディング制であり、クリア後のおまけ要素も存在しているため、作品世界をより楽しみたい人も満足できるだろう。休日などにぜひ一度プレイしてみてはいかがだろうか。

[作品情報]
タイトル 『宵闇ノ影』
制作者 C3(製作者様サイトはこちら
対応OS Windows
プレイ時間 1~2時間程度
価格 無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/13681


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    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。