ゲームボーイで動くゲームが作れる「GB Studio」作品6選

特集

携帯型ゲーム機の金字塔である任天堂「ゲームボーイ」。『テトリス』『星のカービィ』『ポケットモンスター』など現在にも脈々と続く数多くの名作が生み出され、乾電池のみでも動作することから世界中で親しまれた名機である。市場での役目を後継機達に譲った後も電子音楽の音源としての役割を見出されるなど、愛好家たちの手によって様々な形での活用が続いており、近年では個人・同人によるゲームボーイ用ゲーム作品の開発が加速している。その立役者となっているのが今回紹介する「GB Studio」の存在だ。

「GB Studio」とは

GB Studio」はChris Maltby氏が開発し、2019年4月より公開されているゲームボーイ向けの開発環境。Maltby氏がゲームボーイ風のゲーム作品『Untitled GB Game』を自作するにあたって用意した開発環境が元となっている。見下ろし視点型のアドベンチャーゲームを中心として、ドラッグ&ドロップベースでゲーム制作が進められることを特色としている。

GB Studioの魅力は実物のゲーム機上で動かせるゲームを作成することができるという点にあるだろう。書込用のカートリッジと書込機があれば実際のゲームボーイやゲームボーイ互換機で動作するカートリッジを作成することができるほか、GB Studioバージョン3.0からはゲームボーイ互換機「Analogue Pocket」に対応しており、GB Studioで出力したプロジェクトファイルをSDカードに入れることでカートリッジを用いずとも作成したゲームを動作させる事ができる。


※ゲームイベント「cafe IGD’s tokyo」(関連記事)にて、Analogue Pocketを使用した展示例

またGB StudioはHTML5形式での出力にも対応しており、制作したゲームはブラウザ上で動作するゲームやスマートフォンアプリとして公開することも可能なため、実機でのプレイにこだわらずともゲームを開発する上でのツールとして活用が可能だ。itch.ioなどを探せば、実際にブラウザ上でプレイすることができる作品に数多く巡り合うことができるだろう。

次項からは独断と偏見でチョイスしたGB Studio製ゲームの注目作品を6点紹介していく。

AMAITORTE『Neko Can Dream』

AMAITORTE『Neko Can Dream』は猫分儀スミレ氏の制作によるアドベンチャーゲーム。本作はカートリッジ版が制作されている点が大きな特色のひとつとなっており、カートリッジ版が2022年11月27日、スマートフォン版が同年12月3日にリリースされている。カートリッジ版は公式サイトから通販にて購入可能だ。

理由も分からず路地裏に空腹で倒れていた猫人の主人公は、見つけた猫缶を開けられず、それが「夢の猫缶」であることを知る。「夢の猫缶」を中身のある食べられる猫缶と引き換えてもらうべく、全3ステージに渡る人々の夢の中へ潜り込み、「夢の猫缶」を作っていくことになる。夢と現実を行き来するなかで夢を絶たれた人々を描き出す、幻想的ながらも遣る瀬なさをひとつまみした味わいが口に広がるだろう。

[基本情報]
タイトル:『Neko Can Dream』
制作者:AMAITORTE
クリア時間:4時間~
対応OS:Game Boy, iOS, Android
価格:¥6611(カートリッジ版)/¥320(スマートフォン版)

↓購入はこちらから
(カートリッジ)
https://amaitorte.jp/apps/

(App Store)
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(Google Play)
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赤狐『DON’T SAY YES』

『DON’T SAY YES』はサークルVODKAdemo?の赤狐氏が2022年12月30日に公開した、ブラウザ上でプレイすることができるテキストアドベンチャーゲーム。時はルナ歴20XX年、1隻の宇宙船が月へと墜落し、生死の境にある宇宙船パイロットの前に悪魔が現れ、生命を救う取引を持ち掛けてくる。

プレイヤーはパイロットの立場となって悪魔との問答を行うことになるが、これは悪魔の取引。本作のタイトルの通り、決して「YES」と答えてはいけない。しかしその問答の中にも悪魔の(悪魔というには)妙な愛嬌のある面が現れたり、パイロットの壮絶な身の上が語られるなど、登場人物達の人物像に引き込まれる作品だ。

[基本情報]
タイトル:『DON’T SAY YES』
制作者:赤狐
クリア時間:10分~
対応OS:HTML5
価格:フリーウェア

↓プレイはこちらから
(日本語版)
https://mindhack.xyz/works/dont-say-yes

(英語版)

Hidebu Games『Chessy Town』

Hidebu Gamesのひでぶぅ氏が制作した『Chessy Town』は、ネズミ達の町でチーズを探すアドベンチャーゲーム。2023年4月14日よりitch.ioにてリリースされている。日本語と英語の2種の言語表示に対応しており、ブラウザ上でのプレイは無料、実機・互換機用のデータは有償での提供という形式を取っている。

ネズミと言えばチーズ、というくらいには結びついたイメージの強い両者であるが、なんと本作で町に住むネズミたちはチーズの存在を信じていない。言わば幻の存在であるチーズを巡って探検する、ほのぼのとした雰囲気でシンプルに遊ぶことができる短編となっている。ネズミたちの「ちゅ~」言葉も可愛らしい一本だ。

[基本情報]
タイトル:『Chessy Town』
制作者:ひでぶぅ
クリア時間:30分~
対応OS:HTML5、Game Boy
価格:無料(ブラウザ)/$2.99(実機・互換機用データ)

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Kadabura『Soul Void』

Kadabura氏による『Soul Void』は2019年7月26日より公開されている超現実的アドベンチャーゲーム。本作では少女を操作してSoul Voidと呼ばれる暗闇の世界を旅することとなる。

影のような住民たちが住まう町、手が地面から生えている茨の森、形容しがたい生き物など、どこをとっても奇妙としか言いようがない風景がSoul Void内には広がっている。そして突如として現れ、外見でも言葉でもこちらを精神的に圧迫してくる巨大な顔の存在が行く手を阻む。それに屈せず怯えることなく進むことができるか、心の強さが試されるだろう。

[基本情報]
タイトル:『Soul Void』
制作者:Kadabura
クリア時間:1時間~
対応OS:HTML5
価格:フリーウェア

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eishiya『Dawn Will Come』

eishiya氏ら3名の合作による『Dawn Will Come』はモンスターが徘徊する夜の世界を舞台としたサバイバルホラーゲーム。「Game Boy Competition 2021」ゲームジャムの参加作品として、2021年9月16日よりitch.ioにて公開されている。4諧調グラフィックとサバイバルホラーという題材が良くマッチした作品だ。

ゲームはメンバーの中から探索(Search)・警備(Guard)・休息(Rest)の役割を割り振ったのち、実行(Do Tasks)することで進行し、来たるべき夜明けまで生き延びることが目的となる。食料や医療品などの物資を集め、時には他の生存者と合流しつつ、襲い来るモンスターを撃退しよう。生存者達は攻撃力の高いグレネードを扱える者や食料調達に長ける者などそれぞれ固有の能力を持っているので、得意分野を意識して担当を振っていくことがポイントだ。

[基本情報]
タイトル:『Dawn Will Come』
制作者:eishiya
クリア時間:2時間~
対応OS:HTML5、Game Boy
価格:フリーウェア

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ARCAEON『Arcadia』

『Arcadia』はイギリスのプログレッシブメタルバンドARCAEONが、同名の楽曲『Zenith II:Arcadia』のプロモーションビデオのためにメンバー自身が制作した異色作。ゲームボーイカラー規格で制作されており、PVの公開に合わせた2021年1月22日よりitch.io上でプレイが可能となっている。

内容としてはRPG仕立ての筋立てとなっており、ARCAEONのバンドメンバー達を操作してパズルを解いて伝説の楽器を集め、魔王との最終決戦へ臨むことになる。パズル自体は簡素な物だが、本作の魅力はやはり音楽でゲームボーイとなっても熱いサウンドは健在。実際の楽曲と聴き比べをしてみるのも面白いだろう。

[基本情報]
タイトル:『Arcadia』
制作者:ARCAEON
クリア時間:15分~
対応OS:HTML5、Game Boy
価格:フリーウェア

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余談:GB Studioにおける日本語フォント

余談となるが、本記事内で作品を紹介したAMAITORTEとHidebu GamesはGB Studio上で使用できる日本語フォントの公開も行っている。GB Studioでのゲーム開発の中で日本語表示を行いたい場合は導入を検討すると良いだろう。

GB Studio 3.0用 日本語フォント Amaitorte Japanese:https://amaitorte.jp/others/lab/amtjp-gbstudio-font

Hidebu Japanese Font for GB Studio 日本語フォント:https://hidebu.itch.io/hidebu-japanese

  • 真野 崇(@tacashi

    フリーゲームと共に四半世紀を生きるフリゲ馬鹿一代。
    フリーゲームのレビューブログ「自由遊戯黙示録」を経て、自身のフリゲ人生を集約した、フリーゲーム・同人ゲーム・インディーズゲームの年代記「自主制作ゲーム史論」を執筆。