スマホノベルの新しいカタチ。スマホ向けノベルゲーム『ghostpia』 をいち早くレビュー

今回は、10月6日にリリースされたばかりのスマートフォン向けノベルゲーム『ghostpia』を紹介する。本作は、『佐倉ユウナの上京』などを制作してきた気鋭のサークル「超水道」の送る連載作品だ。現在は、序章となる第一話の配信が開始されている。

公開当日に読了した感想としては、「幽霊の町」にて織り成す、続きの気になる物語。こまやかな砂の質感を持つ独特のイラスト。そしてエレクトロニカやジャズ調と、場面ごとに変わる音楽が魅力のノベルゲームだった。
早速、サークルと作品の紹介をしたい。

ノベルゲーム制作サークル「超水道」とは?

image07
「超水道」は、2011年よりスマホ向けノベルゲームとして『森川空のルール』『ヴァンパイアハンターHIROSHI〜Around the Clock Show!〜』などをリリース、AppStoreにてダウンロード上位にランクイン、注目を集めたサークルだ。
他にも様々なスマホ向けのアプリ作品を送り出しており、それらは累計で50万以上ダウンロードされている

また、サークル代表であり、シナリオライターも手がけるミタヒツヒト氏は、小説『カレンダー・ラブ・ストーリー 読むと恋したくなる』に収録されているうちの一編の執筆も手がけている。


「記念日」をテーマにした恋物語の短編集。
執筆者としては、ライトノベル作家の支倉凍砂(『狼と香辛料』) 、犬村 小六 (『とある飛空士の追憶』)、紅玉 いづき (『ミミズクと夜の王』)というメンバーが参加している。

こまやかな質感の、淡いイラスト。『ghostpia』の魅力的な世界観

image00

そんな気鋭のサークル「超水道」が送る新作『ghostpia』の魅力とはなんだろうか?
公式サイトの紹介文をまず引用してみたい。

超水道は今まで「デンシノベル」と銘打ったデジタルノベルを作ってきましたが、今回
の”ghostpia”は、それを更に「一歩先」へ進めた「デンシ・グラフィックノベル」となっております。
アメリカン・コミックスに源流を持つ「グラフィックノベル」あるいはヨーロッパにて「バンドデシネ」と呼ばれるコミック的表現を「デンシノベル」にミックスしたのが「デンシ・グラフィックノベル」。
デンシノベルで熟成された技術力のすべてを注いで、イラスト、音楽、ボイス、そして特殊効果の数々で、あなたを物語の世界に引き込みます。

ここから感じられるのは、『ghostpia』は、これまでの「ノベルゲーム」とはまた一風違った作品を目指したもの、ということ。
実際のプレイ感として際立つのは、ゲームイラストから感じる、こまやかな砂のような独特の質感。そして、エレクトロニカ、ジャズ調、8bit調のピコピコ音…と、場面ごとに変わっていく音楽が各シーンを彩り、飽きることなく物語を読みすすめられた。

物語は、雪の砂漠の真ん中、どこにも行けない「幽霊の町」から始まる。
町に住む女の子(女幽霊?)の「小夜子」「パシフィカ」「アーニャ」は、「いつかこの町を出て、故郷に帰る」という約束を交わし、強い絆で結ばれていた三人組だった。しかし、ある出来事以来、彼女達は疎遠となってしまう。

image02
主人公ポジションの「小夜子」(左)と、「パシフィコ」(右)。
何年も会っていなかった彼女たちが再び出会い、物語が動き出す。

image04
過去の出来事以来、アーニャ(中央)とは険悪な関係の様子の小夜子。

image05
まだ仲のよかった頃、かつての三人の関係を象徴する風景。

物語の途中、「小夜子」の失われた記憶がフラッシュバックするシーンは意味深だ。
仲のよかった3人の間に、かつて、どういった出来事が起こったのか?これは、今後明かされていくのだろうか。

image03
突然に挟まれる、ノイズ交じりの謎の風景。「小夜子」の、失われた記憶とは…?

image06
キーパーソンと思われる四人目の登場人物「ヨル」。
第一話では意味深な場面で登場するだけだが、第二話以降の彼女の活躍が気になる。

第一話は、物語の舞台となる「幽霊の町」や、登場人物たちの関係性の紹介がメインとなっている。作中には「小夜子の失われた記憶」のように、伏線のような描写がいくつかあり、これはどういうことなんだろう?と、今後の展開を気にさせてくれる作品だ

第二話が待ちきれない人に、おすすめのバンドデシネ風作品

ところで、『ghostpia』の表現にミックスされているという「バンドデシネ」は、あまり馴染みのない言葉かもしれない。これはヨーロッパにおけるコミックとのことで、筆者も以前に少しだけ読む機会があり、日本の漫画とは異なる味わいを楽しんだ。さいきんでは国内の漫画作品でも、バンドデシネのような画風を楽しめる漫画が出てきている。



物語としては王道の少年漫画のような奮える展開ながら、バンドデシネ調の画風が鮮やかな作品だ。

『ghostpia』の映像表現に興味を持ち、「第二話が待ちきれない!」というプレイヤーは、これを機会にバンドデシネ作品にも触れてみてはいかがだろうか?今後展開される『ghostpia』の映像表現が、より味わい深いものに感じるかもしれない。

今回紹介した『ghostpia』だが、早くも10月24日には第二話が公開されるとのこと。
今後の展開が楽しみなノベル作品だ。

[基本情報]
タイトル ghostpia
制作者 超水道 様(制作者様サイトはこちら)
クリア時間 1時間程度(第一話)
対応OS iOS(iPhone) ※ノベルスフィアでのPCブラウザ向け配信も10月10日に公開予定とのこと
価格 無料

ダウンロードはこちらから

VR体験施設の検索サイト「taiken.tv」
  • RRhrKuW3

    poroLogue(@poroLogue

    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。