クトゥルフなフリーゲーム・インディゲームおすすめ5選。名状しがたい恐怖を堪能しよう

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「クトゥルフ神話TRPG」などの流行もあり、これまで知らなかった人にも認知されてきた印象のある「クトゥルフ」。今回は、そんなクトゥルフの要素を詰め込んだフリーゲーム・インディゲームのおすすめ5作品を紹介しよう。今回紹介する作品は恐怖表現だけでなく、ゲームとしての面白さも両立したものとなっており、もぐらゲームスが自信をもってオススメ出来る作品だ。
紹介するゲームは、クトゥルフの世界観を存分に楽しめるノベルゲームから、「おぞましくもかわいい」というデフォルメされたクトゥルフキャラの登場するRPGなど様々。恐怖に満ちたクトゥルフの世界観に触れてみたい人は、ぜひとも遊んでみてほしい。

クトゥルフの弔詞

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『クトゥルフの弔詞(ちょうし)』は、フリーのコズミック・ホラーノベルゲーム。主人公の私立探偵・堀口は、ひょんな事から届いたフロッピーディスクでの依頼をきっかけに、名状しがたい恐怖渦巻くクトゥルフ神話の世界に足を踏み入れてしまう……という内容のストーリー。勿論クトゥルフ神話をモチーフにしたあの邪神もこの邪神も出てきてしまい、クトゥルフファンには垂涎の出来となっている。また、本作のノベルゲームとしての完成度も非常に高く、その高級感のある筆致で読者はクトゥルフの世界観を満遍なく味わえるため、万が一クトゥルフが良く分からない、という方でも雰囲気を掴める。クトゥルフ初心者にも上級者(?)にもオススメしたい一作だ。なお、本作はもぐらゲームスでもレビューを行っている。(Noah)

怪奇幻想ノベルゲーム『クトゥルフの弔詞』。名状しがたい恐怖を味わいつくす混沌の一作。

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SAVE

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『SAVE』はあたりめ氏によって製作されたクトゥルフRPGだ。フリーゲームダウンロードサイトの「ふりーむ!」にリリースされた直後は、週間ダウンロードランキング1位になるなど話題となっていた。
物語の内容としては、家族を奪われたことで復讐を誓う主人公の旅を描くものとなっている(主人公の性別はプレイヤーが選択できる)。登場する敵キャラクターもデフォルメされたクトゥルフキャラとなっており、「おぞましくも、かわいい」という新感覚が体験可能となっている作品だ。
本作では、家族を取り戻すため、人間のモノではない異形の力を自らの身体に取り込んでいくという内容が、物語面に留まらず、ゲームバランスとしても調和している部分などが特徴的。異形の力を取り込むことで単純にパラメータ上の強さがアップするだけではなく、「身体を次々と異形化することも厭わずに、家族を取り戻すという旅の目的を達成しようとしている」という物語面での演出として、主人公の意志がプレイヤーにもひしひしと伝わってくるのだ。
なお、本作については過去にもぐらゲームスでも単独作品としてレビューを行なっているので、こちらもぜひ読んでみてほしい。
(poroLogue)

クトゥルフ神話のフリゲRPG『SAVE』。奪われた家族を取り戻す物語

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if.C

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この作品も『SAVE』の制作者であるあたりめ氏によって製作されたゲーム。こちらはRPGではなく育成ゲームとなっているが、かわいらしくもどこかおぞましいクトゥルフの神話生物の魅力は健在。卵から生まれたかわいいクトゥルフの神話生物を散歩、野菜の収穫、料理や遊び道具の購入など通して育てることを楽しめる。一通り世話をした後は、主人公の部屋で眠って時間を次の日に進めよう。こういった日々を繰り返すことで、神話生物を最終形態にまで成長させていくのがこのゲームの目的だ。
神話生物との生活を送る中、日常の中に意味深な人物や謎の存在が突然出現するという要素は、まさに「日常が次第に狂気に侵食されていく」というクトゥルフの性質が盛り込まれており面白い。そもそも主人公とは何者なのか?といったところから、多くは語られないこの作品。キャラクターたちの言葉を感じ、想像することで物語を補う楽しみもある。こちらの作品も、もぐらゲームスによるレビューを行なっているので、気になった方は読んでみてほしい。
(poroLogue)

クトゥルフ神話キャラの育成フリーゲーム『if.C』がオゾマシカワイイ

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クロウルの洒落竜頭

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お次は探索型アドベンチャーの『クロウルの洒落竜頭』。クトゥルフ神話要素を含むが、知らなくても物語を読み解くには問題ない程度の要素になっている。物語は、探偵になることを夢見ている主人公の少年「ウェスカー」と、その師匠である「キキョウ」が、知人である「ベルモンド」の屋敷に訪れたところから始まる。
屋敷の中で、ウェスカーは「未来の自分」を名乗る声を聞く。それによると、屋敷のパーティーに紛れ込んでいる未来人を探し出さなければ、自分の未来を奪われてしまうという。ウェスカーは戸惑いながらも、声に導かれて未来人を探すことになる……。
ゲームシステムとしてはオーソドックスな探索アドベンチャーで、屋敷の中を調べたり、人と話していくことでヒントを掴んでいく。屋敷のメイドである「ラナ」、ベルモンドとキキョウの共通の友人「イリーナ」、不思議な少女「リリー」、飄々とした性格の男性「ルート」らに話を聞き、時には共に行動することで謎を解決していこう。
本作はクトゥルフ要素が含まれつつも、ホラー要素としては薄めで物語重視となっている作風なので、恐怖が苦手な人でもプレイしてみてほしい1作だ。
(poroLogue)

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クトゥルフ神話RPG 瘴気の海に眠る少女

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最後に紹介するのは、フリーゲームではなく有料頒布のインディゲーム作品『クトゥルフ神話RPG 瘴気の海に眠る少女』。ファミコンのホラーRPG『スウィートホーム』を思い起こすレトロなドット絵が特徴のホラーRPGとなっている。肝試しに訪れた館を探索するうちに、怪奇現象に遭遇する主人公たち。脱出のために、怪異と戦いつつ探索を続けるが、そのうち「這い寄る混沌」などに遭遇し……。
このゲームのポイントは「戦闘」と「探索」のバランスだ。館を探索する中で、数人の仲間を選択してパーティを組む。その際、戦闘のための技能ばかりでは探索に手こずり、逆に探索のための技能ばかりでは戦闘に困る。そのため能力や特技の得意分野がそれぞれ異なる仲間を上手く組み合わせて探索を行なうことが必要になる。パーティのバランスを上手く取って戦闘・探索両方を上手く乗り越えていくのはTRPGのようでもある。主人公はゲーム開始時に自由に能力や技能を割り振ることができる。仲間になるキャラはそれぞれ探索・戦闘のスペシャリストが揃っているので、選ぶ技能はまず好きなもので決めてみよう。
怪異と戦闘になった時には、HPの他にも恐怖の攻撃によって削り取られる「SAN値」に気をつけなければならない。SAN値が0になったキャラは精神崩壊してしまい、ゲームからリタイアとなってしまう。死亡もしくは精神崩壊したキャラは生き返らせることは出来ないので、慎重な戦いが求められる。
このように、ホラーだけではなくRPGのキモである戦闘部分も作り込まれている本格的な作品。気になった人はぜひプレイしてほしい。
(poroLogue)

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  • Noah(@powerofgamesorg

    通称のあP。「もぐらゲームス」エグゼクティブプロデューサー&共同編集長。ゲームをする人。「ゲームのちからで世界を変えよう会議」の中の人。経営戦略(ゲーム産業)と金融が一応専門分野。 MMORPG「リネージュ」の元プレイヤー(8年ぐらい、10,000時間ほどプレイ)。長らく一つのゲームをやりこむ派でしたが、最近は雑食気味にいろんなゲームをプレイしています。思い出に残っているゲームはリネージュ、ティアリングサーガ、勇者のくせになまいきだ。or2など

  • poroLogue(@poroLogue

    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。