デジゲー博2025で見つけたおすすめ同人・インディーゲーム8選
2025年11月9日、同人・インディーゲームの展示・頒布イベント「デジゲー博」が東京・秋葉原UDXの2階および4階にて開催された。13回目となる今回はのべ153組が出展を行っていた。例年と比べ出展数は減少となったが、落ち着いた雰囲気で余裕をもって会場内を回ることができるようになっていた。

本記事では取材陣が気になった同人・インディーゲームを8作品紹介する。読者の皆さんも気になった作品があればぜひチェックしてみてほしい。
昨年の記事はこちら。
のもへん『ACID FOOT』
本年のデジゲー博では準備会企画として、2階Aブースに独自のコントローラを使ったゲームを集めた企画展「make.ctrl.Japan」の展示エリアが設けられ、家庭用タイトルでは味わえないギミックを持つ作品が一堂に会していた。
その中の1作、のへもん氏が制作した『ACID FOOT』は奇抜さと親しみやすさを併せ持った作品となっていた。
その内容は「足」型ジャイロコントローラを操って指をタンスの角にぶつけて痛みを競うというもの。想像するだけでもあの感覚が伝わってきそうである。制限時間60秒以内でフィールド内に散らばるアイテムを集めて加速力や最高速度を強化していき、準備が整ったらタンスへのアタックを敢行する。
ぶつけた箇所と速度によって得点が算出され、親指よりも小指でぶつけた方がより得点が高くなるため、高得点を狙おうとするほどより繊細なコントロールが要求されることになる。展示用タイトルであるためプレイするためにはイベントへ出向く必要があるが、見かけた折には足を手に持つというシュールな体験を試してみてほしい。
(真野 崇)
Website: https://noheno.com/
softoko『Voyage Router』
softoko氏が開発中の『Voyage Router』(ヴォエッジ・ルーター)は、ランダム生成されるマップを探索していくSFローグライクゲーム。人類が宇宙に進出した時代、「次元海峡」に潜む生物「ザイア」から貴重な資源である「エーテルパール」を採取する宇宙の海人(あま)として次元海峡での漁に挑むことになる。
次元海峡には敵との遭遇が近づく「エーテル海」、確率でダメージを受けてしまう「次元断層」といった様々な地形があり、これらの地形を考慮しながら目標となるザイアの元まで辿り着くルートを考えていく。ダメージ覚悟で強行突破するのか、安全を考え迂回路を取るのか、はたまた補給と強化のために一度拠点に戻るのかといった状況判断が問われることになる。また、ターン数の経過によって潮の満ち引きが発生してマップがガラリと変わるため、潮の満ち引きに応じた臨機応変な対応も必要だ。
ザイアと遭遇した際に戦闘がオートで展開される点も本作の特徴のひとつ。気になった点としてsoftoko氏に訪ねてみたところ、戦闘の腕前によって進行が左右されるのではなく、あくまでも探索によって先に進めることを目指しているとのことで、遊びやすさへの配慮と探索という行為へのこだわりを垣間見ることができた。本作は2026年にSteamにて配信予定となっている。
(真野 崇)
Website: https://softoko.com/
ですのや『はっかーさん!大団円まで連れてって!』
同人ゲームサークル・ですのやが制作中の『はっかーさん!大団円まで連れてって!』は、ゲームの世界で立往生している勇者の「ユウちゃん」を、ゲーム画面の向こう側の存在である「すーぱーはっかーさん」として導くパズルアドベンチャーゲーム。
画面右側にあるスライドバーを操作することで、ユウちゃんの足の速さやジャンプ力といったパラメータを操作することができ、このパラメータ操作を駆使してユウちゃんに穴や針山、モンスターといった様々な障害を乗り越えさせていくことになる。一時停止状態にしてからパラメータ操作をすることも可能なため、落ち着いて考えながらゲームを進められる。ゲームが進行するごとに操作できるパラメータの種類が増えていき、昼夜や重力といった環境までもが操れるようになる。すーぱーはっかーの面目躍如だ。
天真爛漫なユウちゃんが見せる大きなリアクションの数々に、試遊中に幾度「かわいい」という単語を放ったのかもう分からない。一方で映像の乱れや言動が怪しくなっている魔王と思しき人物といった不穏なバグの存在もちらつくなど、先の展開が気になる作品となっていた。本作は2026年にSteamでのリリースが予定されている。
(真野 崇)
Website: http://www.desunoya.sakura.ne.jp/
ThreeGears『Project Gears』
クワガタ氏ら4名のチームが開発中の『Project Gears』は、32bitゲーム機風のラフなポリゴンビジュアルが特色の3Dベルトスクロールアクションゲーム。
主人公の少女を操作して平面状のフィールドを動き回りつつパンチで群がる敵を倒していくのだが、初期状態のパンチはあまりにもスロー。そこでダッシュを続けて「回転数」を上げ、回転数が十分に上がったところで「ギア」をシフトアップさせて移動スピードと攻撃スピードを加速させていくという自動車をモチーフとしたバトルシステムとなっている。敵にダッシュしながら接近した際には「ドリフト」で敵の背中側に大きく回り込みつつ攻撃を放つことが可能。ただしダッシュを使いすぎるとオーバーヒートを起こして大きな隙をさらしてしまうため注意を要する。
加速・ギアチェンジ・ドリフトを繰り返してハイスピードを乗りこなしながら一撃離脱で戦うドライブ感が楽しく、コンボ攻撃を中心とした格闘重視のベルトスクロールアクションとは一味違ったチューニングといえる。キャラクターのカスタマイズ要素も存在しており、その内容も気になるところ。リリース時期等は現在未定とのことで、今後の続報に注目したい一作だ。
(真野 崇)
Website: https://x.com/kana85hz2c
ジェッドム『黒歴史ファイターズ』
小学生の頃、白地の「じゆうちょう」に「ぼくのかんがえたさいきょうのキャラ」を考えて絵に描いた経験は無いだろうか?筆者にはある。なんならサイコロを用意して休み時間に手製のゲームに興じたりもした。男子ならばおおむね経験がありそうな恥ずかしい歴史を思い出さずにはいられないのがジェッドム氏制作の『黒歴史ファイターズ』だ。
内容は全36人のキャラクターから1人を選択し、全キャラの頂点に立つべくタイマンバトルを勝ち抜いていくサイドビュー型の2Dアクションゲーム。ノートからそのまま飛び出してきたかのような見た目とアニメーションながら、対戦相手となる各キャラクターの攻撃パターンには確かな個性があり、相手の行動を読んで攻めていく面白さが感じられるようになっていた。使用キャラクターは対決に勝利することで得られるチケットを消費してランダムに解禁できるガチャ方式となっている。
本作は2025年10月24日よりSteamにて配信中となっている。なおゲーム中に登場するキャラクター達は作者のジェッドム氏が実際に昔考えたものとのことで、ゲーム内で年表を確認できたり会場で設定資料集が無料配布されるという気後れのなさも印象的だった。
(真野 崇)
Website: https://x.com/jeddom
玉玉屋『HAKO IKUSA』
たまって氏が制作した『HAKO IKUSA』は人型戦闘ロボットを操って全6ステージを戦う横スクロール型の2Dアクションゲーム。ブースでは同作に登場するロボットのペーパークラフトが出迎えてくれた。
本作の魅力は重量感。ジャンプからのブースター噴射が特に顕著で、鋼鉄の塊が推力で持ち上がっていく加速度の掛かり方は雰囲気抜群。機動力には期待できないため、シールド防御を駆使して敵の攻撃を耐えつつジリジリと戦うことが基本となる点も重厚さに拍車をかけている。ダッシュ時の一時的な低姿勢を使って攻撃をかわすという細かいテクニックの存在も攻略を楽しくしてくれる。
本作はデジゲー博開催同日の2025年11月9日よりitch.ioにてフリーゲームとして配信が開始されている。途中セーブなし一本勝負の漢気あふれる仕様となっており、クラシカルなロボットアクションゲームが好きな人には刺さること間違いなしの一作だ。
(真野 崇)
Website: https://tamatte.sakura.ne.jp/
AmatsuKaze『プライモーディアム』
透明感のあるビジュアルが目を惹いたのが、柏ヰハヤト氏が開発中の『プライモーディアム』。変哲もない女子学生「大須賀白帆」が異能に目覚めて戦うという、学園生活とハイスピード3Dアクションを組み合わせた作品となっている。
学園パートでは学校内を散策したり教室内でクラスメイトと会話に興じることができた。他愛のないふざけ合いをしている生徒などもおり、まさに青春の一幕といった光景に微笑ましくなる。一方で学校内に現れた謎の部屋「レムナントルーム」には人の闇を凝縮したかのような過去を辿った物品が置かれており、白帆が戦うべきものを予感させる。
レムナントルームに鎮座する扉をくぐると、そこは異世界。白基調の衣装に変身し、怪物を相手に剣技、格闘、銃撃、気功波といった多彩な攻撃アクションを駆使してのバトルを繰り広げることとなる。大きく横に跳躍してからの銃撃など、スタイリッシュな戦いを組み立てるのが楽しい作品になりそうだ。本作はSteamでの配信が予定されている。
(真野 崇)
Website: https://hayatelier.sakura.ne.jp/primordium/
ミハナダ『連隊責任ゴニンバオリン』
福岡を拠点とするゲーム制作サークル・ミハナダのブースでは、ロボット操縦アクションゲーム『連隊責任ゴニンバオリン』と、タロットカードを使用した2人対戦ボードゲーム『アルカンダクタ』の2作品が展示されていた。
その内の1作『連隊責任ゴニンバオリン』は、最大5人で協力して巨大ロボットを操縦して敵を倒すという、特撮番組「スーパー戦隊シリーズ」を彷彿とさせる作品。腕を上げる、足を曲げる、ロケット噴射などの操作が中枢・右腕・左腕・右脚・左脚を担当する各員に割り振られており、声を掛け合いタイミングを合わせつつロボットを動かす必要がある。ひとたび動かし方を間違えればとんでもない姿勢になることは必至で、筆者が体験した際には2度の転倒を経たのち敵にプロレス技めいて絡まるというとんでもないドタバタぶりを発揮することとなった。写真もイマイチしまらない状態になったことをお許し願いたい!
本作は会場にてダウンロードコードが販売されていたほか、デジゲー博開催前日の2025年11月8日よりBOOTHにて販売が開始されている。オンラインプレイに対応しており、1人がホスト版を購入していれば、他のプレイヤーは無料のゲスト版をダウンロードして参加することが可能となっている。オンライン・オフラインを問わず友人などを誘ってパーティゲームとして楽しみたい作品だ。
(真野 崇)











































