福岡インディーゲームエキスポ2024で見つけた注目インディーゲーム7選

イベントレポート

2024年3月23日から24日にかけて、「福岡インディーゲームエキスポ2024」が福岡県福岡市のキャナルシティ博多センターウォーク5階特設会場にて開催された。「福岡インディーゲームエキスポ」は福岡インディーゲーム協会(FIGA)が2022年より開催しているイベントで、今回が2回目の開催となる。会場では38組の出展者が2日間にわたり作品の展示を行っていた。

キャナルシティ博多は博多駅・櫛田神社前駅に程近い場所にある、多数のショップやホテル、劇場、ラーメンスタジアムなどを有する市内有数の大型商業施設。会場の5階ホール内では作品展示のみならず、お笑い芸人によるトークショーや、VTuberとクリエイターによる対談形式での作品紹介などのステージイベントも行われていた。

本記事では取材陣が気になった作品を7点紹介するので、気になった作品があればチェックしてみてほしい。

兎に角『WATCH▷』

兎に角氏が開発中の『WATCH▷』は画面越しに登場人物との会話を繰り広げる「モニターノベルアドベンチャー」ゲーム。2024年末にSteamにて発売予定となっている。タイトルから「監視する側」をイメージしていたところ、本作でプレイヤーが体験することになるのは「監視される側」の立場という異質な雰囲気を持つ作品となっている。

本作では出口のない密室に閉じ込められた、というデスゲームさながらの状況に置かれた記憶喪失の人物となり、部屋の中にあるモニターを通じて外部にいる他者とコンタクトを取って脱出の糸口を探ることになる。登場人物が増えてくると、二者での会話のみならず「デュアルモード」でモニター同士を突き合わせての三者での会話が可能で、誰を組み合わせるかによっても物語の展開が変化するとされる。会場では少女と青年の2名と知り合い、デュアルモードを使って三者での会話を行うところまでを体験することができた。

プレイヤーが見られる側の立場である一方、見る側である登場人物たちについても生活模様がにじみ出てくるようになっており、一例を挙げれば少女シャルロッテは「警察」という概念を知らないことが会話を通じて判明することになる。会話劇のみならずポイントアンドクリックによる探索や、密室内での食料であるピルのおみくじなどアクセントになる要素にも注目だ。
(真野 崇)

Website: https://twitter.com/tonikaku_jack

秘密のモーマンタイ『ファンシーリンシーセンセーション』

秘密のモーマンタイの堀井ほりん氏が制作した『ファンシーリンシーセンセーション』は、
見下ろし探索型の2Dアドベンチャーゲーム。暴力的な表現の含まれる15歳以上推奨作品となる。フリーゲーム夢現にて2024年1月18日より公開中となっているほか、Steamでもリリース予定となっている。

交通事故によって臨死状態となっている女の子・クスハのイマジナリーフレンド(想像上の友達)となり、彼女が夢の世界から抜け出す事を手助けするのが目的。一方でもしも彼女へ嘘をついたり不安がらせるような言動を取るなどすれば、クスハは死の方向へと流される。すなわち彼女の生殺与奪を握ったプレイヤーの性格が試されることにもなる。

試遊した際には、枝分かれする結末があればそちらへ踏み込んでみたくなる興味本位を見透かしたかのようなバッドエンドを迎えたため「やられた!」という気持ちにさせられてしまった。見た目こそタイトルの通りファンシーだが、クスハが性的暴行を受けているであろう事を示唆する台詞があるなどダークさでこちらを抉ってくる作品だ。
(真野 崇)

Website: https://freegame-mugen.jp/adventure/game_11890.html

イモタベルカ『M.O.Q.R. Company』

遠路はるばる札幌から来たというチーム・イモタベルカの『M.O.Q.R. Company』(モキュール・カンパニー)は解体業者の社長となり、地底から現れた古代文明の異物「モキュール」の解体を指揮する経営シミュレーションゲーム。ゲームジャム「Global Game Jam」にて48時間で制作された作品に肉付けする形で2024年夏リリースを目標に開発が進められている。

市場で資金を支払って従業員を雇い、「解体」および「探索」に担当を振ったうえで日数を経過させることでモキュールの解体が進んでいく。解体されたパーツや探索で見つけたパーツは売却して経営資金に充てることができる。従業員には「体力」と「命」が設定されており、休みなく働かせすぎれば力尽きて欠員となってしまうほか、「力」「技」「速」のパラメータや性格が設定されており、解体速度や解体時に入手できるパーツ数などに影響する。従業員に給与が支払えなくなり破産するか、解体までの期日(X-Day)を超えてしまった場合にゲームオーバーとなる。

期日や資金、従業員の体力や能力値といったパラメータによる原始的な殴り合いが味わえるほか、80年代のパソコンゲームのビジュアルやインタフェースを強く意識しており、解体が進むごとにモキュールのグラフィックが上から徐々に描き変わっていくという演出など、レトロPCの時代を知る人には突き動かされるものを持っていると言える。一方で操作性や視認性などには癖があり、80年代当時の雰囲気を重視するのか遊びやすさを重視するのかで悩んでいるとのこと。どのような形で開発が進むのか目が離せない一本だ。
(真野 崇)

Website: https://www.hibiga.games/imotaberuka/m-o-q-r-company

SleepingMuseum『DeathAntique』

『まつろぱれっと』(関連記事)等を制作したSleepingMuseumの新作となる『DeathAntique』はスマートフォン向けアクションゲーム。ステルス要素のある収集アクション、ミニゲームとして間に挟まるカードゲーム、そして同サークルが得意とするストーリーの3つを軸に構成されている。本作は2024年の春から夏頃のリリースが予定されている。

プレイヤーは鎌を失った死神を操作して、墓地で怪物たちから隠れながら魂を集めていくことが主目的となる。操作はスライド操作でのキャラクターの移動を基本に、高いところにある魂をジャンプでキャッチしたり、怪物を逆に脅かして持っている魂を落とさせるなどの際には対応するボタンをタップしてアクションを行う。キャラクター達の見せるアクションの小気味よさが魅力的だ。

死神が鎌を失った理由はトランプでの賭けで負けた事が理由となっており、魂を集める事と平行して、鎌を取り返すべくトランプゲームを練習することにもなる。今回遊べたトランプゲームの内容は1対1で6枚のカードから1枚をめくって数値を比べ合うというもの。集めた魂やトランプゲームで勝利した際にもらえるポイントで死神のお供であるモフモフ犬をパワーアップさせ、アクションパートで使用できる便利なスキルを習得することができる。魂集めとトランプゲームのサイクルの繰り返しでもくもくと遊んでしまいそうな一作となっていた。
(真野 崇)

Website: https://sleepingmuseum.info/deathantique/

FUファイターズ『ZAKO NO AHIRU』

地元・福岡の学生ゲーム制作コミュニティ「作るっちゃん」のチームによる『ZAKO NO AHIRU』は、思うような操作ができないことで難易度を引き上げる『Getting Over It with Bennett Foddy』などに代表されるスタイルのイライラ登山系アクションゲーム。Steamストアページでは2024年第3四半期のリリースが予定されている。

プレイヤーはおもちゃのアヒルを操作し、地面を転がったり口から水を噴出することで飛び上がって障害物を乗り越えていくことになる。本作では水の噴出口が文字通り口の部分にあり、胴体の中心線からはズレているというおもちゃのアヒルの絶妙な形状がポイント。水を噴き出すタイミングを見計らわなければ簡単にあらぬ方向へ飛んでいくことになる。

そして本作のもうひとつの特徴がこちらのプレイを煽り散らかしてくるメスガキの存在。これまでのゲーマーとしての経験値をもってして判らせてやるという心意気で挑んだものの、チュートリアル後のステージの難易度の高さに対して屈してしまう形となってしまった。リリースの暁にはどうか読者の皆様に敵を討ってほしい限りである。
(真野 崇)

Website: https://twitter.com/tukuruttyan

NEO*PUN『Bloom Thrice ~三度咲く』

NEO*PUN氏が開発中の『Bloom Thrice ~三度咲く』は、女神によって生み出された「美しき世界」を旅する2D探索型アクションゲーム。往年の探索型アクションゲームを彷彿とさせつつもパステル調で書き込まれたビジュアルが特色となっている。

内容はジャンプと攻撃、付け替え可能なスキルを駆使して探索を進めていくオーソドックスなシステムで、複雑化が進む同ジャンルに対して要素を削って極力シンプルなものを目指すという点をコンセプトとしている。探索型アクションゲームのファンであればすぐに操作やステージに馴染むことができるだろう。

冒頭に女神による「十分に世界を巡り、旅を終わらせたいと思ったのなら、ここに戻ってくること。良いですか。ここに戻ってくれば、あなたの旅は終わります。」という気になる言葉があり、この点について訪ねると、クリアまでの大筋のルートはありつつもそのルートを無視してクリアへ向かえるような自由度も持たせるとのこと。またサブクエストが所々に散りばめられており、女神の言うとおりに風景を楽しみつつ心行くまで気ままに旅をするという遊び方もできそうだ。
(真野 崇)

Website: https://twitter.com/beauty_cat007

move the hearts『結晶姫のラビリンス』

イラストレーターの夢咲健志氏が代表を勤めるmove the heartsが開発中の2Dホラーアドベンチャーゲームが『結晶姫のラビリンス』。Steamにてリリース予定のほか、スマートフォン版も合わせて開発中となっている。

本作では姿の見えない敵が潜む迷路を、敵に追いつかれないよう出口へ進むことが目標となる。主人公の少女には敵を能動的に排除するすべは無く、一時的に敵の姿を見えるようにするソナーのようなアクションを使って敵の位置を確認しつつ敵を回避しながら進んでいく必要がある。パズルやステルスの要素が重視されている点が特色といえるだろう。

会場では部屋ごとに異なる特性を持つ敵がいる7つのエリアを体験することができた。仔細についてはここでは省かせてもらうが、それぞれの敵が持つ特性を見切れるかどうかが先に進むために重要であるように感じられた。部屋の前にいる男性に話しかけることでアドバイスをもらうことができるようになっているため、行き詰った場合は彼の忠告に耳を傾けよう。試遊できた範囲はアクション部分が中心となっていたため、儚げな少女がどのような物語を紡いでいくのかにも注目したい。
(真野 崇)

Website: https://twitter.com/yumesakitakeshi

  • 真野 崇(@tacashi

    フリーゲームと共に四半世紀を生きるフリゲ馬鹿一代。
    フリーゲームのレビューブログ「自由遊戯黙示録」を経て、自身のフリゲ人生を集約した、フリーゲーム・同人ゲーム・インディーズゲームの年代記「自主制作ゲーム史論」を執筆。