落ち葉が積もる季節です。お掃除アクション『リーフブロワーパーソン』で徹底的に吹き飛ばしてサヴァイヴしましょう。

アクション,フリーゲーム

10月下旬。秋は深まり、平均気温も下がって過ごしやすい日々が続いている。それと共に緩やかではあるが、冬に向けた環境の変化も現れてきている。

その中でこの季節の象徴とも言えるのが”落ち葉”。
夏は緑一色となっていた葉が枯れ始め、それと共に木から地上へと落ちる。
特に秋から冬に向けた変化が活発になって、強風も吹き荒れるようになるとその数は著しく増え、場所によっては山のように積み重なってしまうこともある。それと共にしなければならなくなるのが、積み重なった落ち葉の掃き掃除だ。

箒を手に持って、落ち葉を掃いて一ヶ所に集めてまとめて処分する。
この季節になると、そうした掃除に追われる人も少なくないのではないだろうか。

だが、現代にはそのような掃除を簡単に行える文明の利器「ブロワー」がある。空気や他の気体に圧力を与え、風を送り出す機械である。これがあれば、箒を使って掃除するよりもはるかに素早く、落ち葉を吹き飛ばせる。だがしかし!機械だけに起動中には相応のエンジン音が鳴り響く。ゆえに使うならば騒音問題にならないよう、時間帯や周囲の状況にも注意を配らなくてはならないので、気軽に使える道具というにはほど遠い感じだ。

そんなブロワーで気軽に落ち葉掃除を楽しめるゲームがこのたび登場した。
その名も『リーフブロワーパーソン』(原題:Leaf Blower Man)。
なんとビックリ、フリーゲームでございましてよ。

落ち葉をサークルの所まで集める簡単なアクションゲームです。

『リーフブロワーパーソン』は秋深まった2023年10月18日より、PCゲーム配信プラットフォーム「Steam」で爆誕したPC(Windows、Mac、Linux)向けお掃除アクションゲームである。価格は前述の通り完全無料。追加のキャラクターとスキン、コーヒーを飲む開発者の生写真、アンインストール機能を追加する有料ダウンロードコンテンツも販売されているが、いずれも購入せずともゲーム本編はエンディングまでプレイ可能だ。なお、一部のダウンロードコンテンツは無料であると同時に蜃気楼である。それ以上は考えてはいけない。

ゲームの内容は単純明快だ。ブロワーを装備した男性、あるいは女性、もしくはノンバイナリー、はたまた黒い犯人(?)か人外の清掃員「リーフブロワーパーソン」を操作し、フィールド上に散らばった落ち葉を”徹底的に”掃除するだけである。ジャンルとしては、見下ろし視点(トップビュー)で展開されるステージクリア型のアクションゲームとなる。

ステージことゾーンごとにやることは、ブロワーを使ってサークル(円)に落ち葉を集めることである。ここに落ち葉が入ると、画面下にあるゲージが上昇。最終的にゲージが最大にまで達するとゾーンクリアになって、次のゾーンへの移動が可能になる。そして、次のゾーンへと移ると同時に再び落ち葉集めが始まり、以降はその繰り返しだ。ステージクリア型ではあるが、構成的には区切りのない地続きで、実質、ノンストップで展開されるアクションゲームとも言える作りとなっている。

プレイヤーこと「リーフブロワーパーソン」……以下、清掃員としよう。清掃員が可能なアクションも移動、ブロワー使用、ジャンプと少なめかつ単純。メインになるのはブロワーだが、これも(※Xboxコントローラ使用時)右スティックで狙いを定め、RTボタンで送風というシューター系ゲームに近いものになっている。そして、弾切れ……もとい。ブロワーそのものに電力(エネルギー)切れの概念もない。なので、自由気ままかつ延々と送風し続けられる仕様だ。

このようにアクションゲームとしての作りは単純明快かつ、王道。操作にもそれほどクセはなく、取っつきやすい作りになっている。そして、プレイヤーの果たすこともあらゆるゾーンで”落ち葉”を徹底的に掃除し続けること。そのまんまだ。

”お掃除”も”完全無料”にもウラがあるのですよ。

そんな”お掃除”に一極集中したゲーム本編の内容およびストーリー展開が本作の魅力となっている。「ストーリー?そんなの今まで説明にあったか?」と物申したくなるのも当たり前だ。実際、一言も説明していない。

そして、ここから先も詳細を明かすことはできない。
あまりにも”キマって”しまっているからだ。

大まかなあらすじとしては、主人公の「リーフブロワーパーソン」が街中に散らばった落ち葉の大掃除に”午前6時”から挑むというものになっている。

もう、この時点で本作のストーリーの”キマり”ぶりは察せると思われる。だって、午前6時だぞ?冒頭のブロワー使用時の注意事項を読み返してくれ。その上で、そのような時間帯にお掃除を住宅ひしめく中で始めた結果、何が起きると……?

そんな訳で、ゾーンごとの仕事を進めていけばいくほど、どんどんお掃除は”キマり”まくっていくのである。あまり多くを紹介するとネタバレになるので、これ以上の紹介は止めるが……。

この1枚の画像で察せるはずである。

さらにそういった”キマった”掃除を続けていくにつれ、ストーリーは衝撃の展開を迎えると同時に、落ち葉掃除にも革命が起きる。

これは致命的なネタバレになるので最小限の説明に留め、スクリーンショットも自重する。だが、それを見た瞬間、プレイした人の多くはあまりの衝撃とトレンディっぷりに思わず「サヴァイヴェ……」と、流ちょうな英語でボヤいてしまうはずである。

また、前述したように本作は有料のダウンロードコンテンツ購入、いわゆる”課金”をせずとも本編はエンディングまでプレイ可能だ。だが、スマートフォンなどで配信されている基本無料アプリをあれこれ遊んでいる人なら、次のような疑問も浮かぶと思われる。「じゃあ、広告はあるのか?」と。はい、あります!盛りだくさんでございます!

しかも、全部実写で社会的にアウトの真っ黒フィクションのインチキでございます!
具体的にどんな広告になっているのかは見てのお楽しみだが、人によっては苦笑い必至、あるいは「……は?」となってしまうはずだ。
もし、後者の感情が沸いた時は、次に記す知る人が少なすぎてピンとくるのはごく少数と思しき某パチモン配管工が残した名言を思い出そう。「大人の視点で頼むぜ!」

ちなみに広告の中には超真面目なものとして、『レインパレード: イタズラ雲の冒険』の広告も用意されている。

紹介が遅くなったが、本作は当もぐらゲームスでも紹介済みのイタズラアクションゲーム『レインパレード: イタズラ雲の冒険』(以下、レインパレード)の開発チーム「Unbound Creations」による新作だ。ゆえにこの一連のネタのあれやこれやが何を意味するのか、同作を遊んだ人ならば察せるはずである。遊んだことがなくても、同作の人間たちに犯罪スレスレのイタズラを仕掛けつつ、伝説の街「シアトル」を目指すというストーリーで大体わかるはずだ。

そんな訳で、いい意味でも悪い意味でも強烈な印象を焼き付けるストーリーとゾーンが繰り広げられる内容になっている。また、終盤に差し掛かる頃になるとストーリーとゾーンにはそれぞれ”狂気”と”説教”も宿る。

この展開は正直なところ、人によっては嫌悪感を抱いてしまうかもしれない。だが、一通り体験することで、本作がいかなる目的をもって作られたゲームであるのか、どうして『レインパレード』と違ってフリーゲームとして誕生したのか、あれこれ考察したくなる見所もあるので、色んな意味で必見だ。

まあ、実際は考察し始めたところで”負け”だったりするのだが。


▲Unbound Creations次回作『カラスのおしごと』(Steamストアページで今すぐウィッシュリストに登録!)

ちなみに本作の次に予定されている新作『カラスのおしごと』はフリーゲームではないみたいだぞ!(※本稿執筆時点で配信日未定だが、PC以外にもNintendo Switch、PlayStation 4|5、Xbox Series X|S向けに発売予定とのこと。)

革命的落ち葉掃除ここに在り。レッツ・サヴァイヴ!

本編のボリュームはエンディングまで、大体2~3時間ほどになっている。しかしながら、これはあくまでも上手く進んだ時に考え得る最短時間となる。詳しくは言えないが、場合によってはその2倍、4~6時間ほどの時間を要すかもしれない。

これが意味するところは、前述の落ち葉掃除の革命と関係している。
ひとまず、こちらから言えることは「囲まれるな!」だ。健闘を祈る。

また、ボリュームは短めながらも、全体的な構成は大変バラエティーに富んでいる。とりわけ、始めこそ普通の落ち葉掃除であったのが、次第に……という流れを体験するだけでも、先の展開が気になって止まらなくなってしまうはずだ。

節々に挿入されるインチキ広告も、そんな先の展開への関心を誘う要素として機能している。実際、その広告にも……これ以上は止しておこう。

元々、同じ開発チームが手掛けた『レインパレード』も、ステージバリエーションの多彩さが大きな見所となっていたが、本作でもその長所は余すところなく炸裂している。段々とお掃除が”キマっていく”流れには、そんな『レインパレード』譲りのセンスが発揮されているので、同作の経験者と未経験者を問わず要チェックだ。

『レインパレード』と同じく、本作もゲーム内テキストは日本語に完全対応。翻訳に関してもばっちりで、この”キマり”すぎたストーリーとインチキ広告の魅力を引き立てている。他に細かいところでは、操作感の良さも光る部分である。サークルに落ち葉を集めていく際の軽快かつ”ゲーム的”な効果音から、革命後の生々しい打げ……もとい。炸裂音は単純に動かしているだけでも楽しく感じてしまうはずだ。

一方で最初の大掃除から”革命”まではセーブなしの通しプレイを強制されたり、”革命”に関しては後半にかけての”攻め”がいささか激しかったりする難点もある。動画広告に限り、音量の設定が反映されない(※最大音量で流れる)仕様になっているのも気がかりだ。それ以外にも一部、当たり判定がアバウトな部分があり、”革命”直前のお掃除にて登場する仕掛けと”脅威”については若干のストレスを感じるかもしれない。

ただ、判定に関してはそこを踏まえてか、全ての落ち葉をサークルに集めさせることは強制しないよう(僅かに残っても大丈夫)にしているのはせめてもの救いだ。少なくとも、”革命”の前はなかなかサークルに落ち葉が集まらなくてイライラするようなことはないのでご安心いただきたい。

意味深なことを綴ってしまったが、難易度はそこまで高くなく、気軽に遊べるアクションゲームに仕上がっている本作。この色んな意味で”キマり”まくっているストーリーに少しでも関心を持ったのなら、ぜひとも”従事”いただきたい良作にして怪作だ。開発チームの前作『レインパレード』を楽しんだ人にもおススメだ。
秋の季節に相応しい、革新的にして革命的な落ち葉お掃除に取り組んでみよう!

そして……インチキ広告の嵐に耐えつつサヴァイヴせよ!

[基本情報]
タイトル:『リーフブロワーパーソン』
開発:Unbound Creations
クリア時間:2~5時間
対応プラットフォーム:Windows
価格(税込):無料
備考:体験版あり

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