不思議な地底を不思議な武器で突っ走る2Dアクションシューティング『Rabbit Hole』

アクション,フリーゲーム

後世に多大な影響を与えたルイス・キャロル著の児童文学『不思議の国のアリス』。その冒頭部は「川辺で退屈していた幼い少女アリスが通りすがった白ウサギを追いかけて穴の中へと落ちていき、やがて不思議の国へとたどり着く」というもの。今回紹介する作品もまた、そんなアリスからの影響を感じさせる作品のひとつといえる。

『Rabbit Hole』はShortCakeCafeが制作した横スクロール型の2Dアクションシューティングゲーム。日本時間2024年3月2日よりNewgrounds、itch.io、Steamにてそれぞれ公開されている。Newgroundsとitch.ioではブラウザ上でのプレイが可能だ。

兎の巣穴でファイア・イン・ザ・ホール

本作『Rabbit Hole』は、満員電車に揺られていたところを突如として「ラビット・ホール」に入り込んでしまった女性「DISC」が、謎の人物から借り受けた黄色いジャケット、マスク、ウサギ耳のアクセサリーを身に着け、ホールの最下層を目指して戦うアクションシューティングゲームとなっている。

操作はキーボードのWASDキーでキャラクターを移動させマウスで銃の狙いを定めるFPSスタイルのほか、オプション設定でゲームコントローラを使用することもできる。主な武器となる銃には弾薬数が設定されており、適宜リロード(再装填)が必要になる。銃は2種類まで所持することができ、使う銃を必要に応じて切り替えて進むことが可能だ。その他、銃以外の攻撃方法として近接攻撃と、緊急回避のローリングを行うことができる。

ステージは全4階層で、各階層の最後にはボスキャラクターが待ち受けている。階層の道中は部屋単位で区切られており、部屋内の敵を全て倒すことで先に進むことができる。敵からの攻撃を受けて体力が無くなるとゲームオーバーとなる。また、敵を倒した際にお金を落とすことがあり、途中にあるショップでお金を払うことで体力回復やパワーアップなどのアイテムを購入することが可能だ。

あたしの武器を知ってるかい?

本作の特徴は豊富かつ珍妙な武器の数々。純粋な銃器だけに限ってみても、いわゆる回転式拳銃が「リボルバー」と「スナブノーズ」(銃身を短くした小型の物)で分類されていたりするなど、妙にマニアックなラインナップになっているのが印象的だ。

オーソドックスな銃器以外にも、野球バットの先端からボールを撃ち出す銃と呼んでいいのか怪しい銃、骨を乱射する銃、弾切れになった途端に本体がブーメランと化す拳銃、音符が飛び出す楽器類、テレビからキャラクターを呼び出して攻撃するといった物まで、とにかく変な武器が多数取り揃えられている。どんな武器があるのかを一通り試していくだけでも楽しめる。

また近接攻撃の活用も積極的に行っていきたい。近接攻撃は銃器に比べて単発のダメージが大きいことに加えて相手を若干弾く効果がある。部屋の狭さに対してキャラクターが大きめで接近戦になりやすいこと、体当たりを仕掛けてくる敵が多い点も相まり、近接攻撃を使いこなして素早く敵を倒し安全を確保していくことが重要と言えるだろう。

ワンコイン感覚でプレイできるハードコアアクション

本作はローグライク形式を取っている。すなわち、プレイごとに部屋の内容や入手できる武器がランダムに選定されるほか、途中復活なしの一発勝負となる。より先へと進むには道中の被弾を抑えつつ、ザコ敵には臨機応変に対応し、ボス戦ではボスの行動パターンに合わせた立ち回りを構築することが求められる。また、ボスはダメージを受けずに撃破することでボーナスアイテムを入手できるなど、自身の腕前が上達したぶんだけ先に進みやすくなるようにもなっている。可愛らしい見た目と、ゲームセンターのアクションゲームのような骨太な攻略が求められることのギャップも本作の魅力だ。

収集要素として、店に売っている商品やごく稀に敵が落とすアイテムの中には「本」が含まれており、入手することで「LIBRARY」から本の内容を読むことができる。得られた情報の断片は「ラビット・ホール」とは果たして何なのかという背景を紐解く鍵になるだろう。

ゲームクリアや所定のアイテムを集める等の条件を満たすことで、性能の異なる操作キャラクターが追加されるので、クリア後も気分を変えて楽しむことができる。短期決戦で歯ごたえのあるアクションゲームを探している人にチェックしてもらいたい一本だ。

[基本情報]
タイトル: Rabbit Hole
制作者:ShortCakeCafe
クリア時間:  30分~
対応OS: Windows , HTML5
価格: フリーウェア

↓ダウンロード・プレイはこちらから
(Newgrounds)※ブラウザ版のみ
https://www.newgrounds.com/portal/view/920158

(itch.io)

(Steam)※ダウンロード版のみ

  • 真野 崇(@tacashi

    フリーゲームと共に四半世紀を生きるフリゲ馬鹿一代。
    フリーゲームのレビューブログ「自由遊戯黙示録」を経て、自身のフリゲ人生を集約した、フリーゲーム・同人ゲーム・インディーズゲームの年代記「自主制作ゲーム史論」を執筆。