“ひびかけ”正統続編!魔法使い達の戦いをシステムとシナリオで描ききったアドベンチャーRPG『Re:Kuroi』

RPG,インディーゲーム

rekuroi-title

2016年1月にフリーゲームとして公開されたRPG『ひびかけ色のキセキ』は、自由度の高い戦闘スタイルのカスタマイズやコマンドバトルながら敵の攻撃をタイミングよくガードするシステムなど独特の魅力を持ち、「ニコニコ自作ゲームフェス2016」で受賞するなど評価を得た作品だ。その後リメイクも行われ、現在はDLsiteにてリメイク版がダウンロード可能となっている。

そして“ひびかけ”発表から約6年を経た2022年1月、世界観を同じくする続編である『Re:Kuroi』が有償作品としてリリースされた。システムは“ひびかけ”からそのリメイク版へと発展してきたものがさらにブラッシュアップ。またシナリオ面では、前作未プレイでも問題なくプレイできる独立した物語となっているものの、前作キャラクターも登場し、前作のその後を描く正統続編となっている。

Windows/macOS版およびスマートフォン版の同時リリースを果たしたことをはじめとして、プレイアビリティの面でも作り込みを感じる本作の魅力を紹介していきたい。

動的演出とボイスで彩られる魔法使い達の物語

本作の舞台となるのは、魔法が存在する一方で「マモノ」と呼ばれる存在に人々が脅かされている世界。一般学生だった少年「カイト」が非常勤教師で魔法使いの「マリー」と出会い、とあるきかっけで魔法の力に目覚めたことから、他の魔法使い達との出会いなども経つつ物語が展開していく。

re-kuroi-story-1
魔法の力に目覚めた少年カイトは、元魔法使いのソラが運営する孤児院に居候することになる。そこからさまざまな出会いを経て物語が展開していく

ゲームはアドベンチャーパートと、ノンフィールドのステージ攻略パートが交互するような形で進行。アドベンチャーパートではキャラクター同士の掛け合いが、立ち絵の動的な演出やボイスによって彩られる賑やかなものとなっている。

ボイスは基本的に台詞そのものではなく台詞に応じた短いフレーズが再生される、昨今のスマホゲームなどでもみられる方式だが、口癖や他の人物の呼び方など、キャラクターの性格や関係性が伺えるフレーズが繰り返し使われ、キャラクターの個性を印象付けるのに一役買っていると感じさせられた。各キャストの演技もキャラクターの芯を捉えたもので、戦闘ボイスも含めキャラクターの存在感がぐっと増している印象だ。

re-kuroi-story-2
お調子者っぽい情報屋のアーシアや、会話のテンポが独特でちょっとズレた問答になりがちなレミィなど、個性的な登場人物達の掛け合いがボイスによっても印象的に表現される

新たな魔法を閃き戦術の幅を広げていく、魔法使いらしいバトル

本作の戦闘は最大3人パーティで戦うコマンド選択型で、敵味方が入り交じって進むタイムラインをもとに順次行動する方式。特徴的なのはコマンドが基本的にすべて、あらかじめセットした魔法の使用となっていることだ。自分のターンが回ってきたら魔法とその対象を選ぶだけと、テンポよく進行する。魔法の発動に必要なMPは基本的にターンごとに1回復し最大値は2~4程度、使用コストも主に0~3程度とリソース管理がシンプルにまとまっているのもポイントだ。

re-kuroi-battle-1
タイムラインで行動順が回ってきたら、あらかじめセットした魔法を選択

最終的に5人となる戦闘メンバーには、それぞれ黒・白・炎・氷・雷と固有の属性があり、魔法をセットするスロットには自分の属性を中心として、一部には他の属性もセットできる。白は回復や状態異常への対策に秀でており雷は敵の行動を阻害する手段を複数備えるなど属性ごとの個性も強く、個々の戦闘メンバーの魔法セッティングとメンバー編成により、さまざまな戦略を構築できる。

また、魔法は使用すると熟練度が加算され一定量になるとレベルアップ。さらにこのレベルアップや、そのほかさまざまな条件により、新たな魔法を閃いて使える魔法が増えていく。取れる戦術の選択肢が増えていくのはもちろん、属性の特徴をさらに補強するようなパッシブスキルを習得することも。戦闘中に自然と発生する状況が魔法を閃くトリガーとなる場合もあり、「色々な魔法を使ったり色々な状況に直面することで魔法使いとして成長していく」という様がシステムでも表現されているのだ。

re-kuroi-battle-2
re-kuroi-battle-3
特定の魔法を使い込んだり、そのほかさまざまな条件で新たな魔法を閃いていく。条件はステータス画面で確認可能だ

もう一つ、本作を特徴付けるシステムが「ガード」。特定キーの押し下げや画面タップで発動することにより、ダメージを軽減できる。ガード中はタイムラインが進まなくなるので、敵の攻撃に合わせてタイミングよくガードするのが基本だ。

コマンド選択中はタイムラインが止まるのでじっくり考えられる一方で、それ以外ではアクションゲーム的な見極めが重要となるなど、メリハリの効いた攻防が発生するのが面白い。コマンド選択型ながら緊張感と臨場感のある、独特なバトルに仕上がっている。

re-kuroi-battle-4
敵の攻撃演出にピッタリ合わせてガードする「ジャストガード」が最も効率的だが、難しければタイムラインを見て、敵の行動の少し前からガードする安全策も取れる

このような独特のシステムをもって演出される戦闘は、ボス戦はもちろんザコ戦においてもユニークな能力を持つ敵が多く、対策を組むのが楽しいものとなっている。ボスのなかには特殊なギミックにより、力押しでは倒せないような敵も。とはいえ解法がガチガチに固定されているパズル系というほどではなく、いくつか考えられる戦術の中から自分なりにこれだ!というものを試行錯誤していく余地があり、ギミック系のボス戦を戦闘スタイルのカスタマイズで突破していくのが好きならとくに楽しめること請け合いだ。

敵はステータスに加えてどんな行動をしてくるかの一覧も戦闘中に確認可能となっており、考えさせるなりにその判断材料もしっかり提供してくれる。とはいえ最終的にはなんだかんだで“喰らって覚える”のが一番早い。ザコ戦もボス戦も敗北時は即座にリトライ可能となっているため試行錯誤もテンポよく行える。

また、戦闘に入った際には敵を見てから編成を入れ替えることも可能。とくに色んなザコ敵が入り混じって登場するステージ攻略中に、苦手なメンバーで無理に戦わずに済むのがありがたい。容易にリセットしにくいスマートフォンでのプレイにおいて、とくにありがたい機能ではないだろうか。こうした細かい気遣いは他にも随所に現れており、本作の隠れた魅力とも言えるだろう。

“ひびかけ”世界観を受け継ぎ、システムもシナリオも次世代を紡ぐ良作

本作ではシナリオにおいても魔法使いという存在そのものがテーマとなっている。カイトをはじめとしたメインキャラクター達は出自も思惑も、魔法との向き合い方もそれぞれに大きく異なり、それが魔法やマモノに関する事件や謎と絡み合って重層的な物語を紡ぎ出す群像劇に仕上がっているのが見どころだ。

彼らを取り巻く世界情勢も物語に大きく関わっており、時代のうねりのなかで翻弄される者達の物語、という側面もある。このあたりはとくに前作『ひびかけ色のキセキ』をプレイしているとピンと来ることも多いだろう。とはいえ用語集なども充実しており、本作からのプレイでも全く問題はない。問題はない……のだが、本作のシナリオを隅々まで堪能するのであれば、個人的には前作からのプレイをお勧めしたい。とくに冒頭でも紹介したリメイク版は難易度も比較的控え目でプレイしやすくなっている。

re-kuroi-story-3
前作プレイヤーなら感慨深くなったり、はっとするようなシーンも

もちろん、カイトを中心とした本作メインキャラクターの物語としては本作だけで独自に完成されているので、そういった点や、あるいはバトルを中心に楽しむのであれば本作からでも全く構わない。前作を楽しめたなら間違いなく楽しめるし、前作未プレイでも人間関係や世界観を深く描くようなファンタジーや、RPGのコマンド戦闘が好きならオススメできる作品となっている。体験版も用意されているのでぜひ触れてみてほしい。

[基本情報]
タイトル:Re:Kuroi
制作者:ecoddr(パブリッシャー:株式会社Gotcha Gotcha Games)
対応OS:Windows/macOS/Android/iOS
価格:1,650円(Steam/DLsite)、1,600円(Google Play/App Store)

購入はこちらから(Steam/DLsiteでは体験版もダウンロード可能)

Re:Kuroi(株式会社Gotcha Gotcha Games)
突如現れた"マモノ"と戦う魔法使いたちの物語。 いじめられっ子の少年「カイト」が出会うのは、 「非常勤教師・ウェイトレス・退役軍人・怪しい情報屋」立場の異なる魔法使いたち。 それぞれ想いや生き方が交錯した先に待ち受けているものは… ▼ターン制ロールプレイングゲーム ▼ステージクリア式アドベンチャー ニコニコ自作ゲームフェス2016「窓の杜」賞 フリーゲーム大賞2016入賞Windows用フリーゲーム「ひびかけ色のキセキ」の正統続編

同人誌、同人ゲーム、同人ソフトのダウンロードショップ - DLsite

Google Play で手に入れよう

App Store
https://apps.apple.com/jp/app/re-kuroi/id1599059214

  • 中村友次郎(@finalbeta

    RPGのプレイと紹介がライフワーク。システムに凝ったRPGをとくに好んでプレイします。商業で一番好きなゲームメーカーは日本ファルコム。運営型では原神にハマってます。
    過去に十数年ほど、窓の杜の連載記事「週末ゲーム」の編集と一部執筆を担当していました。