サバイバルアクションRPG『The Wild Eight』極寒のアラスカを生き延びる攻略法とは?
寒さも和らぎ、春の足音が聞こえるこの頃。そろそろ暖房器具を押入れにしまって、春物の服を押入れから出そう……という方も多いことだろう。だが今回はそんな季節に逆らって、寒さに身を凍らせるゲームを紹介しよう。
今回紹介する『The Wild Eight』は極寒の雪山で生き残るサバイバルアクションRPGだ。本作はクラウドファンディングで資金調達された作品で、2016年4月から5月にかけてKickstarterにて出資者を募っていた。
クラウドファンディング時点でプレアルファ版を体験版として公開し注目を集めたのが功を奏し、2か月で5万9千ドル(約670万円)を集め無事成功。およそ半年強の開発を経て、2017年2月9日に発売された。クラウドファンディングの際に計画されていた多言語対応も現時点でなされており、日本語も実装されている。若干誤訳はあるものの、クオリティの高いローカライズがなされており、違和感なく遊ぶことができる。
『The Wild Eight』はインディディベロッパー「Fntastic」が開発する作品だが、同社の前身は「Eight points」という小さなグループだ。本作の開発を開始した「Eight points」は、当時ロシアのヤクーツクに拠点を置いていた。ヤクーツクは世界で最も寒い地域と言われるサハ共和国に位置する。その寒さは凄まじく寒い時期は平均最低気温が-40度近くなるそうだ。実際に極寒の地で暮らしていた開発者たちが極寒サバイバルゲームを作っているというのもこのゲームの面白いところだろう。
さてそんな『The Wild Eight』はSteamにて1980円で販売されている。が、本作はSteamの早期アクセス制度を用いて販売されている作品である。つい先日早期アクセスを開始したばかりの本作は、現在ハイペースで更新がなされている最中だ。実際バグに出くわすことも多いため、購入する際はその点を留意しよう。
また、本記事の内容も更新とともに古くなる可能性もある。ご注意いただきたい。
資源は限られている。生き残るため、山を行け!
舞台はアラスカ。その上空を飛ぶ旅客機が原因不明の事故により墜落してしまう。不運にもこの旅客機に搭乗し、墜落から生き残った生存者たちが、我々プレイヤーの操るキャラクターだ。
『The Wild Eight』というタイトル通り、生存者は8人おり、そのうち1人を選んで操作する。このゲームは最大8人までのCo-opプレイに対応しており、各プレイヤーはこの8人から生存者を1人ずつ選び、サバイバルに挑む。
生存者はそれぞれに「移動速度が速い」、「制作した道具の持ちがよくなる」、「寒さに人一倍強い」、といった得意分野があり、協力することでより確実に極寒のアラスカを生き抜くことができる。もちろん、同じ生存者を別々のプレイヤーが選ぶことはできないため、操作キャラクターを選ぶ時点である程度の役割分担がなされる。厳しい環境を生き残るためには自分の特性を知っておくことが大事だ。
極寒のアラスカに、着の身着のままで放り出された生存者は、1日ぎりぎりもつだけの食料だけしか持っていない。複数人でプレイしても、事故現場に落ちている食料の数は変わらない。その場合は残念ながら、半日も持たないだろう。あとは自分でかき集めるしかない。幸いにも墜落したのは山中、木や石は豊富にある。これらを材料に道具を作り、生き残る手段を整えるのだ。
このゲームの大きな特徴はこういった資源や、アイテムの配置が完全に固定されており、ランダムではないということだろう。多くのサバイバルゲームはリプレイ性の確保や、ゲームの難度を上げるため資源やアイテムがランダムに配置される仕様となっている。が、このゲームはその真逆である。こう書くとなんだか簡単そうに見えるが、実はそうでもない。
いくら場所が固定で、所在がわかっていたとしても、無限にとれるわけではない。木や石を採集すればいずれなくなってしまうし、食料になるキノコや植物ももちろんなくなる。手に入れた資材で作った道具も、使い続ければ壊れてしまう。このゲームには農業などの資源を増やすアクションは一切ない。資源は使えば使うだけどんどんと失われていく。
しかも食料だけでなく、木材や石といった基本的な資源も徐々に減っていく仕様なのが面白い。というのもこのゲームにはHPと空腹度、そして体温の3種類のパラメータが存在し、空腹度と体温が0になるとHPが急激に減って死ぬ。空腹度はもちろん食料を取れば回復し、体温は火の近くにいることで回復する。火は、キャンプファイヤーを作り、木材を燃料にして起こすことができる。極寒のアラスカはたとえ太陽の照らす昼であろうと容赦なく体温を奪っていく。木材は食料以上に消費してしまうのだ。
昼ですら体温を奪うのだ。夜の寒さはより厳しいものとなる。夜中に無理をして獲物を追いかけたりすると、すぐに体温が下がって死んでしまう。さらに、アラスカにはブリザードが吹く。ブリザードは昼だろうが夜だろうがお構いなしにやってきて、体温を急激に奪う。しかもその強い風はキャンプファイヤーの火も消してしまう。大自然の前に人間は無力だ。
そこで、シェルターを使って夜やブリザードをやり過ごす必要がある。シェルターに入り眠ることで体温と空腹の減りを抑えて、夜とブリザードが明けるのを待つことができるのだ。だが、シェルターで眠るためには木材と石がコストとして必要になる。アラスカでのサバイバルはすべての資源を消費させる。
つまり、本作では他のサバイバルゲームにあるような一か所に大きな拠点を築き生活の基盤を固める、といったプレイは一切できない。一か所留まれば、いずれ資源が枯渇し死ぬ。プレイヤーは資源を求め、アラスカの山中を進み続けなければならない。
このゲームの拠点となるシェルターと作業場は一か所にしか建てることができないが、すぐに収納して移動させることができる。広いアラスカを旅することが前提のゲームデザインなのだ。
スキルと装備で強くなり、アラスカの謎に挑め
だが、このような過酷な環境であろうとも人間は適応し成長していく。本作では狩り、移動、攻撃、防御、採集の5つのスキルツリーがあり、それぞれに対応した行動を行うことで成長しスキルポイントを得ることができる。たくさん歩けば移動スキルのポイントが手に入り、たくさん獲物を狩れば狩りスキルのポイントが手に入る。これらのポイントを使ってスキルを覚えることで、厳しい環境に適応した強い体を手にすることができる。
スキルツリーにはレベルがあり、最初はレベル1のスキルしか取得できないが、シェルターのレベルを上げることで上のレベルのスキルをアンロックすることができる。シェルターのレベルアップにはまとまった資材が必要だが、シェルター避難時の体温消費をさらに抑える効果やシェルターにアイテム入れが追加されるといった利点が多い。積極的にシェルターのレベルは上げていこう。
道具を作る作業場にもレベルがあり、これを上げることでより頑丈で効率の良い道具、武器の製作が可能になる。レベルの高い道具の製作には動物の皮や腱、骨、さらには鉄のようなレアな素材が必要になるが、これらはきっとアラスカを生き残るために役立ってくれるだろう。
さて、このゲームは最初に書いた通りアクションRPGである。何日生き残れるか?というサバイバルだけが目的のゲームではない。生存者たちの生き残りを賭けたストーリーが描かれるのだ。生存者たちは墜落現場を調べ、施設を探し、このアラスカを生きて脱出するためにアラスカの山中を駆け巡ることとなる。ストーリーを進めるためには危険な場所にも立ち入らなくてはならず、スキルと道具のレベルアップが重要になる。
ストーリーの目標はクエストとして管理され、いつでも自分が次に何をすればよいか確認することができる。サブクエストも存在し、メインストーリーから少し外れて、道中で見つけた様々な目標を調査することもできる。サバイバルゲームではあるが、本作はこうしたRPGの要素がかなり濃い。資源を求めアラスカを移動するゲームデザインもこのRPG要素とマッチしており、このゲームならではの面白さにつながっている。
だが、注意してほしい。このゲームは死んだら終わりだ。死んでしまうと、アイテムはロスト、スキルはリセット、シェルターと作業場のレベルもリセットされてしまう。アイテムはかろうじて死んだところまでいけば回収できなくもないが、ストーリーが進んでいればいるほど復帰は難しい。スキルを十分取得し、アイテムをしっかりと揃えてストーリーを進めよう。
遊べばわかるだろう。ここは普通の山ではない。朽ちた研究所、残された書類、全てがこの山に大きな謎が潜んでいることを物語っている。本作は早期アクセス中、残念なことに途中までしかストーリーを遊ぶことができないようになっている。だが、そのラストは衝撃的なものだ。まさかこんな展開が待っているとは……。一体アラスカの山中にどんな謎が眠っているのか?ぜひあなたの目で確かめてほしい。
現時点でも高い完成度。早期アクセス終了が待ちきれない!
クラウドファンディングの時点から体験版を公開している本作は、早期アクセス開始間もない現時点でも高い完成度だ。ゲームの根幹部分に関してはほぼほぼ完成していると言っていい。おそらく完成後も同じプレイ感になるだろうことが予想される。今買って遊んでも大きな問題はないだろう。
といっても、まだまだ早期アクセス開始間もないことは確かだ。アイテムのスタック数が調整されたり、ユーザーの意見によって死んでもスキルがリセットされないイージーモードが追加されたり、スキルの効果が変化したりと連日のように修正作業が行われている。未完成のゲームであることに違いはない。
だが、本作の開発チームのフォーラムでの姿勢は真摯であり、ユーザーの意見にもしっかりと目を通している。素晴らしいディベロッパーである。そんな彼らを支援する意味でも、早期アクセス中にゲームをプレイし、開発に一役買うのもいいかもしれない。バグがあると避けるのではなく、バグを見つけるためにプレイする。これもまた早期アクセスの楽しいところだろう。
なんにせよ完成が待ち遠しいゲームだ。一体あの後、生存者たちはどうなってしまうのだろうか?気になってしかたがない。
[作品情報]
タイトル 『The Wild Eight』
制作者 Fntastic,Eight points(制作者様サイトはこちら)
対応OS Windows 7 or higher 64bit
プレイ時間 現在遊べるところまでだと10時間程度
価格 1,980円
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