『トバリドトキシンRE』 記憶喪失の少女と仲間たちの物語を描くフリーゲームRPG

RPG,フリーゲーム

今回は、魅力的なキャラクターと雰囲気あふれるストーリーを楽しめるフリーゲームRPG『トバリドトキシンRE』を紹介する。このゲームはフリゲ2014~あなたが選ぶ今年のベストフリーゲーム~」の中間発表(12/6時点)にて5位にランクインしていた作品であり、その優れた物語性によるプレイヤーからの人気が伺える作品となっている。

記憶喪失の少女「ジル」と共に、謎が謎を呼ぶ洞窟の奥深くへ…

本作は人間を襲う「トバリ」と呼ばれる生き物が存在する世界が舞台。主人公であり記憶喪失の少女「ジル」は、目を覚ますと見知らぬ場所に倒れていた。そこで「ギルド」と呼ばれる組織の長である「ソルシエール」と出会う。そしてジルのすぐ目の前には、トバリの目撃情報がある洞窟があった。

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目を覚ましたジルの前に現れるギルド長「ソルシエール」

ソルシエールは「この洞窟で、君の記憶を見つけることが出来るかもしれない」と話し、ジルを探索へと導いていく。自分は何者なのか?そして、洞窟の奥深くには何があるのか…?答えを見つけるために地下へと進んだジルは、そこで修道士のような人物「ナギ」と出会い、物語が始まる…。

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初対面のジルに対し、なぜかとても驚いた顔を見せる「ナギ」。その心境とは?。

個性ある3人の仲間とともに戦い、物語を読み解け!

探索の拠点となる「ギルド」では、「ナギ」のほかに、戦いに秀でた「カラト」、そしてハンターのような風貌の姉御肌の「シュウ」という仲間たちに出会う。探索のパートナーとして、ギルドの仲間3人のうちから1人だけ連れて行くことが出来る。

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ジルが最初に出会ったギルドのメンバー「ナギ」。意味深な言動が多く、影のある人物だ。

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同じくギルドメンバーの「カラト」。自身ありげな言動を裏切らない高い戦闘力だが、どこか不安定な情緒が見え隠れする。

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3人の中ではもっともマトモに見える「シュウ」。ジルからすればお姉さんのような存在だ。

仲間たちは何かしらの過去や秘密を抱えつつも、物語の中でそれに向き合っていく。このような筋書きや、後述する「ボトル」システムからは、小説化もされた名作フリーゲーム「魔王物語物語」を思い起こす。
本作の見事な点は、イベント時の一枚絵の使い方、音楽演出の良さ、そして何より物語の「見せ方」だ。ときおり挿入される伏線のような描写、加えて「この人が言っていたのはどういうことだろう??」という、物語のフックになる要素を上手く入れ込んでおり、プレイを飽きさせない。さらに、仲間たちのさまざまな顔を見ることが出来る「サブイベント」のシステムも、物語の深みにはまることを手助けしてくれる。

そんな3人の仲間たちは、それぞれ自分たちの目的や思惑で探索を行うため、パートナーとして選択しても、戦闘の時以外は自由に行動している。

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もちろん戦闘の時にはパーティーメンバーとして参戦してくれる。3人の特徴を考えてパートナーを選ぼう。

スキル習得、サブイベント…ゲームを彩るさまざまなシステムを紹介

このゲームは物語を楽しむために、システム面でも様々な工夫がされている。そのひとつが「スキル」システムだ。探索中に手に入る「マナ」を支払い、戦いに有利な技を覚えることが出来る。「スキル」は1回覚えても忘れることが可能で、忘れた場合には払ったマナが返ってくる。そのため、試しに覚えてみて、使い道が分からなかったら忘れるというノーリスクな習得が可能なのだ。

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ステータス画面からいつでもスキル習得の画面に移ることが出来る。

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戦闘はオーソドックスなターン制RPGだが、様々なスキルを上手く使うことで戦闘を楽に進めることが出来る。

探索中に発見できる「泉」では、HP回復アイテムである「ボトル」の補充することが出来る。本作では貴重な回復アイテムなので、有効に活用しよう。なお、ボトルを使ったときの効果も、マナを支払うことで「HPのほかに状態異常も回復」「スキルを使用するためのSPも回復」といったように強化することが出来る。

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こまめなボトルの補充を心がけると、安心して探索ができる。

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ジルたちが探索する洞窟は、たとえば「10F」ならば「レベル10」といったように、フロアの階層がそのまま適正レベルとなっている。

ジルの周りで起こったことを記憶する「メモ帳」の機能も便利だ。本筋の物語であるメインイベントや、仲間達の人物像を知ることが出来るサブイベントの発生状況を知ることが出来る。次に何をすれば良いか分からなくなったときは見てみよう。

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イベントの発生状況などを確認することが出来る「メモ」機能

洞窟の探索を進めていくと、ギルドの周辺にある洞窟以外のダンジョンも探索することが出来るようになる。そこでは貴重なアイテムを手に入れたり、サブイベントを通して仲間たちの隠された一面を知ることが出来る。

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サブイベントで見れる仲間たちのもうひとつの顔とは。

また、ストーリーを進めていくとギルドの入り口にある花壇が使用可能となる。こちらは「花の種」のアイテムを植えることで、さまざまな花を収穫できる。花は売却することでマナを得ることが出来るので、スキルの習得やアイテムの購入を効果的に行うためには必要不可欠なシステムとなっている。

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物語を進めると、ナギが花壇の使用を許可してくれる

ギルドメンバーと共に生活するジルにもギルド内に部屋が渡されるが、その中はとてもじゃないが見ることのできない散らかり具合だ。そこではマナを支払うことで荷物などを除去し、部屋をきれいにすることができる。掃除をすることでジルの使えるスキルが増えていく。

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最初のうちはとにかく安いものから片付けていくことで、習得できるスキルの増加を目指そう。

仲間たちの素顔と、物語の結末は…。

本作では、プレイヤーがストーリーを進めるにつれて、様々な人物が物語に現れ、そしていくつかのエンディングを迎えることになる。洞窟の探索が山場に差し掛かるころには、トバリという存在の謎、そして仲間たち3人それぞれの物語にも迫っていく。

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ジルの意識の中にたびたび現れる「ヤーコップ」。彼の存在とは…。

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洞窟の奥でジルを待ち受ける貴族風の女性「イース」。

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ジルを抱きとめるナギは何を思うのか。

今回紹介した「トバリドトキシンRE」は、RPGに物語を求めるプレイヤーにとって非常に楽しめる中編作品となっている。年末の休日に、ぜひプレイしてほしい一作だ。

[基本情報]
タイトル
トバリドトキシンRE
制作者 トバリリアム (制作者様サイトはこちら)
クリア時間 5-8時間程度
対応OS WinXP / Vista / 7 / 8 (RPGツクールXPの動作環境に準拠)
価格 無料

ダウンロードはこちらから   
http://www.vector.co.jp/soft/dl/winnt/game/se507505.html

  • poroLogue(@poroLogue

    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。