『よいこの君主論』作者が手がけるアナログゲーム『戦闘破壊学園ダンゲロス』 押切蓮介氏なども参加しゲームマーケットで発売

2017年1月、アナログゲーム『戦闘破壊学園ダンゲロス』制作のためのクラウドファンディングが実施された。プロジェクトは現在完遂されており、目標金額54万円に対し、最終的に220万円の支援を獲得。押切蓮介氏などの有名イラストレーターの方々がキャラクターイラストを手掛けていることも特徴の作品となっている。5月14日に開催されるゲームマーケット(ブース:A41)にて発売される予定だ。

パッケージ
 
そんな本作の制作者は、架神恭介氏。彼の名前にピンときた方もいるかもしれないが、マキャベリの名著である『君主論』の入門書として、小学五年生「ひろしくん」を主軸とした小学生同士のハードな権力闘争が描かれる破天荒なベストセラー実用書『よいこの君主論』などを手がけた作家・漫画原作者である。


『よいこの君主論』

今回、作者の架神氏から機会をいただき、4月に行われた本作の試遊会に参加することができた。試遊会の参加者は制作者である架神氏のほか、もぐらゲームス読者の方はご存知であろうフリーゲーム制作サークル「アンディーメンテ」主宰であり小説家、かつ「ジェバンニP」の名前でボーカロイド楽曲を送り出してきた泉和良(ジスカルド)氏、『大日本サムライガール』『羽月莉音の帝国』など、政治や経済といった事象を巧みに絡めたライトノベル・小説を手がける小説家・至道流星氏、そして魔法のiらんど文庫にて『天使は、二度泣く。』などを執筆した柳なつき氏という豪華なメンバーとなっていた。


試遊会でのプレイの様子は、順次動画としてアップロードされている

本作『戦闘破壊学園ダンゲロス』はいったいどんな内容なのか?今回、試遊会を観覧してきた感想を踏まえて、本作を紹介していこう。

プレイするほど味がわかるゲームシステム

まず本作を目にすると、それぞれ特徴のあるキャラクターカードの存在に気がつくだろう。そのため、一見すると「キャラクターモノのゲーム」と思われてしまうかもしれない。しかし、その実、内容としてはゲームデザインを理解して相手を出し抜くことを楽しむ作品となっており、「システムを読み解く面白さ」が味わえる作品だ。プレイ時間としてもワンプレイ2~4時間ほどで、お手軽に短編アナログゲームを楽しむというよりは、じっくりと腰を据えて遊ぶゲームが好きな人のための作品となっている。

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押切蓮介氏や「地獄のミサワ」がキャラクターカードのイラストを担当

このゲームは、プレイヤー各自が戦力を増強しつつ各地のボスを倒していく「探索」パートと、探索を経たプレイヤー同士で戦い合うバトルロイヤルの「決戦」パートに分かれている。ゲームシステムとしては、一言で言うと「トレーディングカードゲームとボードゲームを組み合わせた作品」といった内容で、ボードの上でコマを進めつつ、仲間やアイテムといったカードを集めて戦力を強化、決戦のための準備をおこなっていく。

探索パートでは、まずは全員マップ中心の「泉」からスタート。各地に点在するボスを目指してコマを進めていく。このパートではプレイヤー同士の争いなどは発生せず、マップ上のイベントで発生する敵との戦いや、ボスを倒したりアイテム回収をすることで戦力を増強していくのだ。
 
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ゲームの舞台となるボードマップ
 
探索パートは、手持ちのリソースの割り振りを考えるワーカープレイスメントの要素もあり、限られたリソースで、ターン内における移動力や戦闘力の強化、そしてアイテム入手などを行うことができる。リソースは手持ちの仲間の特殊能力の発揮にも使用するため、リソースを何に分配するかを常に考えなければならない。

たとえば、リソースを全て戦闘能力の強化に振ると、敵との戦闘面では有利となる一方、移動などの探索の面で不利となってしまう。リソースはターン毎に振り直すので、それぞれのターンで何をするか、という目的意識を持つことが重要になるのだ。

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ボード右下「作戦会議」にリソースを割り振っていく。戦闘能力の増加にリソースを振ると、アイテム入手や移動の強化ができなくなるトレードオフも存在する

決戦パートでは、探索パートで手に入れた仲間やアイテムをフル活用し、最後の1人となるまでプレイヤー同士の戦いが行われる。ここでは単純に強い仲間などを持っているプレイヤーが勝つのではなく、弱者同士の共謀により、強者へ集中攻撃することも可能となっているため、最後まで気の抜けない戦いが行われる。

カード
決戦パートでは、これまで得たモノをフル活用して戦うことになる

基本的なルールも、手番を何回かこなす頃には自然と頭のなかに入ってくるため、友人たちとじっくり楽しむことに向いているボードゲームとなっている。今回参加した4人の作家の方々は、数ターンを終える頃にはスムーズにプレイを行っていた。

ゲームでは、仲間の特徴を組み合わせてのコンボなどさまざまな戦術が存在する。たとえば「相手の性別を変える」という一見意味の無いような能力も、「相手の持つ男性キャラを全員破壊する」能力を持つ仲間と組み合わせることで、形成逆転も狙えるほどの効果となる。こういった組み合わせを探していくことも楽しめそうだ。

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カードの組み合わせによっては意外なコンボも

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本作は、5月14日に開催されるゲームマーケット(ブース:A41)にて発売される予定だ。アナログゲームショップでの体験会もこれまで複数回実施され、ゲームマーケット後も定期的に本作で遊べる場が催されるとのこと。気になった方は公式ページ作者アカウントなどをチェックしてみてはいかがだろうか。まずは一度、遊んでみてほしい作品である。

[基本情報]
タイトル 『戦闘破壊学園ダンゲロス』
制作者 架神恭介
プレイ時間 2~3時間程度
価格 4,980円(税抜)
公式ページ


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    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。