フリーホラーゲーム『666laboratory』 少女のカウンセリングから、「あなた」が生き残るアドベンチャー

image2
 
ゲームは、どれほど自由度があっても、どうしても「受け身」にならざるを得ない部分がある。

ゲームを起動し、画面を表示させ、その「枠組み」にのっとってプレイする。「村人A」に自分から話しかけるところでさえ、「A」のセリフを与えられているという側面は否定できない。

通常、「会話」というのは、ゲームの基本を成す。もちろん音ゲーやパズルゲー、シューティングのように「会話がなくてもよい」ゲームはあるし、あるいは「ゆめにっき」のように会話を意図的に(そして徹底的に)廃したゲームも存在する。

image4
 
だが「会話」がゲームにおいて重要なのは変わらない。
物語を盛り上げ、情報を知り、親睦を深める。謎を解き、魔王を倒し、意中の彼女をゲットする。

『666laboratory』は、そんな「会話」をするゲームだ。

あなたは新米のカウンセラーである。「イオ」という名の少女の、担当を任された。

もちろん彼女は問題を持っている。カウンセラーにかかる人の、ほぼ全てがそうであるように。

ただ彼女は妙なのだ。「直接会うことが許されない」。彼女とのカウンセリングは、「デバイス」の電話機能を使って行なわれる。そしてデバイスには「ライブラリ」機能があり、あなたは会話に出てきた気になる「単語」を調べて、物語を進めていく。

image3
 
例えば「イオ」が、日曜にやっているテレビアニメのキャラクターが好きだと話す。あなたはそのアニメについて調べ、おもちゃを買ってあげるよう先輩に頼む。

あるいは、「イオ」の前の担当の話が出てくる。あなたはそのカウンセラーについて調べ、すでに彼女が「退職」していることを知る。

何も知らされていない「あなた」が少女について知り、謎を解き、選択をし、そして彼女の誕生日である七日目を迎える。このゲームに、その七日目より先はない。

登場人物を書いておこう。

主人公
「666laboratory」に赴任した新任のカウンセラー。カツラギいわく「腕はいい」らしい。

イオ
主人公が担当する少女。8歳。自分は「出来」が悪いと、気に病んでいる。アニメの「プリエル」が好き。

カツラギ
主人公の先輩。長めのぼさぼさ頭で、顔は隠れている。映画の「スーパーウォーズ」のファン。主人公より多くの情報を持っており、いろいろアドバイスをしてくれる。
 
image6

『666laboratory』のゲームシステムは、開始冒頭でのカツラギの説明にほぼ集約される。すなわち「デバイス」のデスクトップにある「通話アプリ」で「イオ」と話し、「ライブラリ」で「気になる言葉」を確認する。基本はこれだけであり、これ以外の要素は取り払われている。

しかし、注意しなければならないことが2つある。

・イオに気に入られなければならない
・ウソをついてはいけない(イオに「ウソをつかれた」と思われてはいけない)

このゲームはホラーアドベンチャーだが、更に細かく言えば「閉鎖空間からの脱出」である。

赴任した「あなた」は、決して無理に閉じ込められているわけではない。雇われの身ではあるが、「イオ」のように隔離されているわけではないようだ。

しかし、ゲームシステムとしては、ずっと「デバイス」の前に張りついているし、この機械を通じた動作しかできない。会話の相手も、「イオ」と「カツラギ」しかいない。

この状況を「無事」に切り抜けるのが、あなたの目的となる。

『666laboratory』は、プレイ時間が30分ほどの、短編である。

ただ、「デバイス」という端末に縛られていること、会話でさえ電話のみであること、情報集めが「検索」なこと、そして「カウンセラー」という職業設定など、短いながらも極めて現代的な要素を持つゲームと言える。

ゲーム内のあなたが、危険を回避しようと必死に思考を働かせたのでなく、最終段階で実は自分が無事に済む選択をそれまで選んでいたと気づくところも、漠然とした不安を抱えた現代の、人知の及ばなさを表しているように感じる。

image5
 
『666laboratory』は、プレイ時間に限って言えば、通勤通学の電車の中なのでやるのにうってつけのゲームだろう。

しかし、個人的には、夕方から夜に変わる暗がりのなか、机に向かい、まるで本当に「デバイス」を操作しているようにプレイすることをお勧めしたい。

BGMもSEも、それぞれ片手で間に合う数しかないが、どれも雰囲気にあっている。特に「電話の着信音」は、プレイ開始直後とクリア後ではまったく印象が変わるはずだ。

短い時間で、「ぐっ」とのめりこむホラーゲームを求めている方には、うってつけだろう。ダウンロードも原則不要で楽しめる。

ただ、一箇所だけショッキングな場面があるので、そこは注意を促しておく。

【基本情報】
タイトル:『666laboratory』
制作者:HIJIKI
製作ツール:RPGツクールMV
クリア時間:30分~
対応OS:Windows/XP/Vista/7/8/10 及びスマートホン(safari,chromeがお勧めブラウザ)
価格:無料

プレイはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/14751

制作者様サイト
http://kurage06.web.fc2.com

image1
もぐらゲームスでは現在ライター・編集補助を募集しています。 フリーゲームやインディゲームの記事執筆・編集部作業等にご興味ある方はこちらよりお気軽にご連絡ください。
  • 加古台

    「ポケモン」と「遊戯王」が発売されたとき小学生だった世代。日本全国のいろんなところに住んだことがあり、名前もその地名から取った。フリーゲームは「VIPRPG」から入った。友人の数は極端に少ないが、TRPGもたまにやる。