コラム:フリーゲームをはじめよう。「第2回 初めてプレイする人でも安心!ダウンロード方法とオススメの名作を紹介します」

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季節は春に移り変わりました。「フリーゲーム大賞2015」や「ニコニコ自作ゲームフェス2016」が開催され、フリーゲーム界隈は更なる盛り上がりを見せています。新年度を機に、ゲーム創作に打ち込んでいる人達もいるでしょう。今後どのような作品が世にでるのか楽しみです。

さて、連載を開始した後、ある友人からこんなことを聞かれました。「フリーゲームって大丈夫なの?ウィルスとか入ってないの?」ということです。私を含むフリゲファンの方々は、いつも当たり前のようにゲームをダウンロードしています。しかし自分の知らない制作者のソフトを入れることに、抵抗がある人も多いようです。

そこで今回は、フリーゲームを安心してプレイする方法をお伝えします。また、初心者でも遊びやすい名作ソフト3作品も合わせてご紹介します。

ダウンロードから、フリーゲームは始まっている!

国内で制作されたフリーゲームの多くは、フリーソフトやゲーム専門のダウンロードサイトを通して配信されています。有名なところを挙げるならば、「窓の杜(ソフトライブラリ)」「Vector」「ふりーむ!」「フリーゲーム夢現」などがあります。どのサイトも10年以上運営を続けている老舗です。また「WOLF RPGエディターコンテスト」など、多くのユーザーが投稿しプレイした感想を出し合っているコンテストなどもあります。ユーザーが集まり交流がある場所は、トラブルが起きた時の反応も早いので、始めはこういったサイトからダウンロードすることをオススメします。

ウィルスが怖い人は、まずウィルス対策ソフトの導入がオススメです。ただし、対策ソフトによってはフリーゲーム自体を弾くことがあり、ダウンロード中に警告されることがあります。こういった場合は慌てず、先にプレイしている人からの情報を集めましょう。

多くのフリーゲームの場合、ダウンロード後にフォルダが展開され、大量のデータが出てきて混乱するかもしれません。しかしこの中でプレイヤーにとって必要なのは「実行ファイル」「Read Me」です。実行ファイルはソフトを起動するためのもの。これをダブルクリックするだけで、ゲームが開始されます。Read Meはいわゆる説明書です。ゲームの操作方法やソフトが動作する条件が書かれてます。著作権や「ゲーム配信実況」が出来るかどうかなども書かれている場合が多いので、まずは一度目を通しておくとトラブルになりにくいです。

ちなみにRPGツクール製のゲームの中には、RTP(ランタイムパッケージ)と呼ばれるソフトのインストールが必要な場合もあります。こちらは公式のソフトなので、安心してダウンロード出来ます。

それでも不安だ!という方は、ふりーむ!で「よぉ~くわかる、フリーゲームの遊び方」と言うページを公開しています。画像で紹介しているので、まずはじっくり読んでみましょう。

フリゲ初心者こそ遊んで欲しい名作フリーゲーム!

不安が解消されたら、フリーゲームの世界に飛び込んでみましょう。RPG、ホラー、シューティング、アクション…。名作、傑作はたくさんありますが、まずは複雑な操作が必要ないゲームからプレイすると、他の作品を始める時の足がかりになると思います。

そこで今回紹介するのは、RPGの『Ruina 廃都の物語』、ホラーアドベンチャーゲームの『Ib』、アクションの『洞窟物語』です。どれも実績や人気の高いゲームであり、プレイ導入が分かりやすいのが特徴です。そしてなにより、「一度プレイしたら忘れられない体験になる」ゲームでもあります。

Ruina 廃都の物語

誰かに呼ばれたような気がして、町はずれの森を歩いた。
夜明け前の空は、まだ暗い。
薄闇の中を歩いているうちに、洞窟の入口を見つけた。
数日前の落雷で燃えた樹の下に、
地中への入り口が開いている。
内部は暗く、奥は深い。
……胸騒ぎがした。
この洞窟は、あなたを招いている。
あなたは、中へ入っていった……。
(『Ruina 廃都の物語』 オープニングより)

 
もぐらゲームスでも何度か紹介を行なった、ゲームブック風のRPG。新作がひしめく「ふりーむ!」のダウンロードランキングでも未だ上位をとっていることから、その根強い人気が伺い知れます。洗練されたテキスト、古い書物の挿絵のようなグラフィック、ポイントを選択ながら進めるダンジョンなど、様々な独自性が絶妙なバランスで構成されています。

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一度ダンジョンに入れば、まるで本当に冒険しているような感覚に陥ります。ゲームシナリオやイベントはプレイヤーの選択肢に重きを置いており、トラップにはまった時どう切り抜けるか、問題をどのように解決するかは、プレイヤーである「あなた」に委ねられています。戦闘だけでなく探索でも経験値が入るので、プレイヤーの選択やひらめきがキャラクター達の成長に繋がるのも嬉しいところ。仲間となるキャラクター達も個性豊かで、危険に満ちたダンジョン探索では、戦闘や探索スキルの面で心強いパートナーになってくれます。

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似たような作品をコンシューマではほとんど見かけないというのも特徴で、フリゲと言ったらまずこのゲームを挙げる人も多いです。RPGで迷ったら、ぜひこれから始めてみるのがいいと思います。

『Ruina 廃都の物語』公式ページ

定番!おすすめフリーゲームRPG作品13選
(『Ruina 廃都の物語』ほか12作品を紹介)

Ib

本作をテーマとした二次創作イベント「ゲルテナ展」の開催なども記憶に新しい、閉じ込められた美術館を探索するホラーアドベンチャーゲーム。シンプルかつ印象深いビジュアルと、登場人物達の魅力によって、多くのファンを獲得しました。ちなみにピクシブでのファンイラストは、実に4万点を越えます。

フリーゲーム『Ib』の二次創作展「ゲルテナ展」開催!7月に渋谷にて。

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Ibは恐ろしいほど没入感の高いゲームです。グラフィックや音の演出によって、異形の美術館の静寂がプレイヤーを飲み込んでゆきます。プレイヤーが操作する少女「イヴ」は、特別な能力を持つわけではありません。彼女はたった一人で、プレイヤーの心の隙を突くような恐怖を突破しなくてはなりません。だからこそ、途中で出会う「ギャリー」や「メアリー」の存在が大きな意味を持ちます。

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彼らは、謎解きに触れる度に声を掛けてくれたり、ヒントをくれたりします。異様な空間の中でも親身になって語りかけてくれるので、プレイヤーにとっても大きな心の支えになってくれます。しかし彼らの行く末が、幸せであるとは限りません。幾つかのエンディングが用意されており、どんな結末をたどるかはプレイヤー次第なのです。

Ibは操作性に優れていることから、フリゲファン以外にも幅広く支持されているゲームですが、謎解き自体は手応えのあるものになっています。「美術館」という題材を上手く使い、ユニークな謎解きが散りばめられています。一方、初心者向けの配慮として、Ibの公式サイトにてヒントも用意してあります。ホラーアドベンチャーゲームの導入としては、最適な一本です。

『Ib』公式ページ

連休中に遊んでおきたい、おすすめフリーゲーム 10選
(『ib』ほか9作品を紹介)

洞窟物語

長年フリーゲームを遊んでいる人なら知っているであろう不朽の名作。スーパーファミコン時代を彷彿とさせるシンプルな操作性でありながら、アクションゲーム初心者から上級者まで楽しめるように、ゲームデザインが徹底されたアクションゲームです。近年ではニンテンドー3DSに移植されましたが、大手ゲームメーカーにも負けないほどの完成度を誇ります。

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「洞窟物語」というタイトルではあるものの、そのマップは広大で非常にバリエーション豊か。登場する敵キャラクターやギミックは遊び心が満載な上、いたるところにアイテムが隠されています。ボスも一筋縄ではなく、プレイヤーを阻むように多彩な攻撃を仕掛けてきます。

主人公が最初に使う武器は「ポーラスター」と呼ばれる銃。本作では射撃タイプの武器がいくつも登場し、敵からのドロップアイテムを集めると性能がさらに強化されます。アクションが苦手な人でも、武器をしっかり強化しながら進めば十分戦えます。上級者には、癖の強い武器や難関マップが用意されており、プレイヤーの上達に合わせた楽しみを提供してくれます。

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そして忘れてはいけないのが「物語」「音楽」です。キャラクター達の可愛らしい見た目とは裏腹に、本作ではドラマチックで切ない冒険が繰り広げられます。宿敵「ドクター」の野望に翻弄されていく「ミミガー」と呼ばれる生き物達や、相棒として共に戦ってくれる「カーリー」。彼らの明るさと待ち受ける運命に、多くのプレイヤーが心掴まれました。そして場面を盛り上げる音楽は、明るい曲調の中にも物悲しさを含むものが多いです。特に終盤に流れる「つきのうた」は、フリーゲーム音楽の金字塔として、今もなお愛されています。

『洞窟物語』DLページ(窓の杜ライブラリ)

『洞窟物語』制作者サイト

フリゲはアクションも熱い!おすすめフリゲアクションゲーム10選
(『洞窟物語』ほか9作品を紹介)

これらのゲーム以外にも、初心者にオススメできる作品はたくさんあります。ですがあまりたくさん紹介してしまうと、自分で探す楽しみを奪ってしまうので、今回はここまで。次回はまた違った視点からフリーゲームの魅力を取り上げてゆくので、お楽しみにしてください!

  • ノンジャンル人生(@nongenre_zinsei

    普段からRPGの考察と『メイジの転生録』の話ばかりしている人です。2016年にはもぐらゲームスにて連載「フリーゲームをはじめよう。」を寄稿し、近年はVR・VTuberの記事なども執筆しました。noteでは「一期崎火雀」名義でゲーム関連のコラムを書いています。

    自身もRPGを制作中。

    note:一期崎火雀(ノンジャンル人生)