道は「行く」もの?いいえ「引く」もの。道路設計シミュレーションパズル『Freeways』

インディーゲーム,シミュレーション

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唐突ながら、読者の皆さんは「高速道路」をどれくらいの頻度で利用しているだろうか?
筆者は年に数度、親や友人に連れられて旅行に行く際に使うという程度だが、それでもその旅程は印象深く残っているものである。

今回はその「高速道路」を題材とした作品として、Capitain Gamesの制作による道路設計シミュレータ『Freeways』を紹介したい。
『Freeways』はitch.ioよりダウンロードできるWindows版の他、Android版、iOS版が存在しており、価格はいずれも日本円にして300円程度となっている。

Windows版はマウス操作も可能だが、操作性の面ではタッチパネル操作がより直感的といえる。タッチパネル操作が標準となっているタブレット類でプレイするのがオススメだ。

指先ひとつで引いた線が道になる

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『Freeways』でやるべきことはいたってシンプル。道路となる線を引き、必要な出入り口を全て繋げるだけ。一度触ればすぐに覚えられるゲーム内容だ。
 
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線を引いている最中に斜め上向き・斜め下向きの板のアイコンをタッチすることで、最高3段階の高低差を付けることができる。この機能は河を越えるための橋や立体交差を作る際に使用する。
 
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また、出入り口の脇にある看板や工場地帯などのアイコンを長押しすると、接続するべき出入り口と交通量の多さが矢印の形で示される。
道路で出入り口を接続するとその道の上を車が往来しだすので一目でわかるようになっている。道路が流れていく賑やかな様子を眺めているだけでも楽しめるだろう。

渋滞という名の悪魔との闘いが始まる

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必要な出入り口を全て接続し、「NETWORK COMPLETE」の表示が出れば道路網は完成だ。
道路網の完成後は時計アイコンをタップすることで交通量測定を行うことができる。交通量測定では「道路の流れの速さ」「コンクリート使用量」「複雑度」の3つの観点から総合得点を算出してくれる。
 
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詰まりました。これでは測定どころではない。

高速道路には信号が無い。何を当たり前のことを、と思うかもしれないが、うかつに交差点を作るとお互いの道から無秩序に次々と車が進入し続け、結果として上記の画面写真のような無残な渋滞ができあがることになる。
かといって交差点での詰まりを避けるために立体交差を作ると、今度は接続口をどう作るかに悩まされるうえ、立体交差により複雑度は上がり、高架や新たな接続部によるコンクリート使用量は増大する。
 
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かくして、いかにスマートで美しい道路を作ることができるか、ということを試行錯誤しはじめだすと、みるみるうちに時間が溶けていく危険なパズルゲームと化すのである。
繰り返し道路を作ろうとすると、消しゴムや元に戻す(アンドゥ)操作の類が無く、全消し以外では引いた線を消すことができないのが難点といえる。トライ&エラーを繰り返すよりは、頭の中で考えておいてから極力一発で描き上げてしまうのがよいだろう。

道路に学ぶと世界が広がる

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全体マップではそれまでに完成させた道路が一面に表示され、その道路の上でも数ピクセルのサイズに縮小されながらも車が全ての繋がった道に沿って走っている姿を確認できる。
個々のマップで描いた道路がひとつながりとして組みあがっていく光景に、ちょっとした街づくりシミュレーションのテイストを味わうこともできるだろう。
また、全体マップで全てのマップを埋めるごとに外周が拡張されて新たなマップが開放されていく。(最大3回)

本作をプレイしていると、インターチェンジやジャンクションといった実際の高速道路の構造を思い描き、そこから学び取れる点も多くある。
筆者はとりわけ、複雑な交差を使わずに放射状に各方向へ進路を伸ばすことができる環状道路の効力を思い知ることとなった。
 
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そうした「道路を学ぶ」という点を意図してか意図せずか、一部のステージでは規定以上の総合得点を出すことにより実際の道路のピンナップ写真をゲットすることができる。
道路への愛情を感じずにはいられない心憎い演出と言えるだろう。

よく高速道路を使うという人も、そうでないという人も、『Freeways』のプレイを通して新しい発見があるかもしれない。秋の夜長に、寝不足にならない程度に触れてみてはいかがだろうか。

[基本情報]
タイトル: Freeways
制作者: Captain Games
クリア時間: 13時間~
対応OS: Windows , Android , iOS
価格: $3.00

↓ダウンロードはこちらから
(Windows)
https://captaingames.itch.io/freeways

(Android)
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(iOS)
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  • 真野 崇(@tacashi

    フリーゲームと共に四半世紀を生きるフリゲ馬鹿一代。
    フリーゲームのレビューブログ「自由遊戯黙示録」を経て、自身のフリゲ人生を集約した、フリーゲーム・同人ゲーム・インディーズゲームの年代記「自主制作ゲーム史論」を執筆。