推定300体以上のエイリアンを一機の戦闘機で返り討ちにする、オシャレな”ばくれつ”シューティング『Graceful Explosion Machine』

インディーゲーム,シューティング

image26
 
『Graceful Explosion Machine(グレイスフル エクスプロージョン マシーン)』は、カナダのインディーデベロッパー「Vertex pop」開発によるシューティングゲーム。2017年4月6日、北米でNintendo Switch向けダウンロードソフトとして発売された。
日本では7月28日、インクを撒き散らすイカが再臨して間もない時期に発売。その二週間後の8月9日にはPlayStation 4、PC(Steam)向けにも発売されている。

日本語版のローカライズ及びパブリッシングは、当もぐらゲームスでもレビューを掲載している『Salt and Sancturary』などで知られる架け橋ゲームズが担当。
 
image3
 
宇宙科学の発展により、人類が外宇宙への進出を果たした未来。
同時にエイリアンの脅威も増大し、彼らに対抗する為の戦闘機の開発・研究も推し進められ、先進的な一人乗り戦闘機「GEM(ジェム)ファイター」が完成されるに至る。

そんな「GEMファイター」を数機積載し、惑星間の高速移動を可能とする「ワープクリスタル」を四つ搭載、更には生活環境をも整えた大型輸送船が銀河を航行していた。
 
image21
 
だが、そこに突拍子なくエイリアンの大群が襲来!
 
image1
 
大型輸送船は成す術もなく集中砲火を浴び、撃墜されてしまった。
積載されていた「GEMファイター」もほとんどが大破。
更に輸送船に搭載した「ワープクリスタル」もエイリアンの手に渡ってしまう。
 
image17
 
しかし、辛うじて一機の「GEMファイター」が襲撃を免れる。
 
image25
 
かくして生き延びた「GEMファイター」とそのパイロットは、奪われた「ワープクリスタル」を取り戻し、地球への帰還を果たす為、エイリアンが逃げ込んだ惑星へと向かうのであった。

以上が大まかなストーリーとなる。

四種類の武器を使い分け、エイリアンの大群を捌き切れ!

image22
 
内容としては任意スクロール型の2Dシューティング。360度自由に動き回れるステージを舞台に、自機「GEMファイター」を操縦し、迫りくるエイリアン軍の全滅を目指す。
 
image10

ゲームは惑星ごとに用意されたステージを攻略していく形で進行。各ステージは三つの「フェーズ」から成り立っていて、三フェーズ全てでエイリアンの軍勢を全滅できればクリアとなる。
 
image9
 
最終的に惑星最後を飾る「ワープステージ」で「ワープクリスタル」を獲得できれば、惑星クリア。その後は他の惑星に挑み、再び「ワープステージ」を目指してステージを攻略していく。基本的にこの繰り返しに終始。ボス戦もなく、ひたすらエイリアンの軍勢と戦っていく構成になっている。

或いはエイリアンの小賢しさ、陰険さが滲み出た構成とも言える。
孤立無援の戦闘機など、自分達が集団で襲い掛かるだけで捻り潰せると考えてか、どのステージも「数の暴力」という名の戦術で攻めてくる。現に彼らはそれで輸送船を宇宙の塵にしたのだ。輸送船より小さな宇宙船など、お茶の子さいさいと思っているのだろう。なんと卑劣なり。高慢なり。さすがは生存の為なら良心や後悔などに影響されず、無慈悲に振る舞える究極生物。

だが、案ずることなかれ。自機「GEMファイター」には彼らの舐め切った考えを粉微塵にして天誅喰らわし、地獄の底に叩き落とす強力な四種類の兵装が備わっている。
 
image18
 
先ず最初に紹介するのは「ブラスター」。基本装備となるショット攻撃だ。
威力は低めだが、小型エイリアンから中型エイリアンまで対応可能。
 
image11
 
次に「エナジーソード」。自機周囲に回転斬りを発生させる近接武器だ。
主にエイリアンに囲まれ、四面楚歌に陥った際に活躍。
また、特定のエイリアンを放つショット攻撃をかき消す能力も備えている。
 
image5

第三に「スナイパービーム」。強力な直線状のビームを発射する武器だ。
射程も長く、遠く離れたエイリアンを狙い撃ちできるほか、大型エイリアンに決定的なダメージを与える武器でもある。もし、その手の大型と対峙した際はこの武器で「ズバッとドーン」だ。

image15
 
そして最後に「ミサイル」。
ロック機能を備えており、最大10体のエイリアンに精密攻撃を仕掛けることができる。エイリアン達と戦うステージは360度自由に動き回れるほか、自機の向きを左右に切り替えることで攻撃方向を変えることもできる。この武器は先の三つと異なり、自機が向いている方向を問わず発射することが可能で、優れた使い勝手を誇る。主に素早い動きをするエイリアンには効果てきめんだ。
 
image20
 
四つの武器以外に高速移動装置「ブースター」も搭載。エイリアンに囲まれた場合、緊急離脱する際に活躍する。また、発動時には自機の周囲に衝撃波が発生し、小型エイリアンであれば僅かに吹き飛ばすことも可能。逆にそれ以上のサイズのエイリアンには効果を発揮しない。発動中も無敵という訳ではなく、進路上に敵の弾があればダメージを喰らってしまうので、ご利用は計画的且つ、慎重にお願いいたします。

これらの装備を駆使し、集団いじめられの構図に持ち込もうとするエイリアンの目論見を打ち砕く為、立ち回っていくのが基本戦術となる。
そして、この戦略的なゲームデザインこそが本作の魅力。

実はエイリアンの軍勢と戦いでは、パイロットの戦略的判断が終始求められてくる。
というのも、各装備は延々と使い続けることができない。
 
image14
 
例えば基本装備の「ブラスター」だが、使い続けていくと「ヒートゲージ」が上昇。徐々に連射力が落ちていき、ゲージが最大に達してしまうとオーバーヒートを起こし、冷却処理が完了するまで、一発も撃てなくなってしまうのだ。
 
image13
 
「エナジーソード」、「スナイパーショット」、「ミサイル」を使う際にも画面下に表示された黄色の「パワーゲージ」を消費。当然、空になってしまえばどの武器も使えなくなる。
 
image6
 
空になって一定時間が経過すればゲージは回復する。しかし、回復するのは半分まで。乱暴に各装備を使いでもすれば、一瞬でゲージが空になってしまう。

なるべく各装備を長く使い続けたいなら、エイリアンを倒した時に現れる「クリスタル」を回収し、ゲージの回復を図りながら立ち回っていくしかない。
 
image23
 
やる事自体は単純だが、そんな制限が課せられているのもあって、戦いは意外と一方的にならない。

まさに「戦略的」。先を見据えた判断と瞬時の立ち回りが要求される、侮りがたいバランス調整が図られた作りになっているのだ。
その為、シンプルなルールの割りに単調になりにくい。

「数の暴力」で攻め込み続けるエイリアンの脅威

同じことは、敵であるエイリアン達にも言える。
 
image8
 
「数の暴力」で潰そうとしてくる彼らだが、簡単に一網打尽できるほど弱くない。常に大群で襲い掛かってくるので、撃ち漏らさないよう、確実に潰していく事が要求される。
 
image12
 
バリエーションも多彩。突進してくるタイプ、ムカデのような分裂タイプなど、様々な種類がいる上、ステージが進む度に新種が現れる。

中盤を越えると、雑魚とそれらが混じった混成部隊が戦力の中心に。迎撃時も、二つの装備を重ね合わせる攻撃を仕掛けねばならないなど、応用と工夫が求められてくる。
 
image2
 
更にステージもフェーズごとに地形が変化したり、破壊不可能なレーザー砲台が配置される「エイリアンの罠」があるので、それらに注意を払って自機を動かす必要も出てくる。
 
image7
 
各惑星最後に用意された「ワープステージ」も、フェーズの概念が無い生き残りをかけた戦いになり、後半の惑星ほど参戦エイリアンの面々が陰湿になってくるので油断大敵だ。

先の通り、本作は終始、エイリアンの軍勢と戦う展開が繰り返される。悪く言えばワンパターンだ。しかし、それとは裏腹に起伏は激しく、アドリブ的な判断が求められてくる。
 
image16
 
故に数の暴力で来るエイリアン達を迎え撃つなど楽勝だろうと、概略から感じた地球人は是非ともこの戦いに身を投じてみて頂きたい。きっと(いい意味で)後悔すると同時に、エイリアン達を「絶対にしばき倒したる!」という、怒りのハンター精神が目覚めることになるだろう。

Nintendo Switchの携帯モードで、スコアアタックの真髄を

image24
 
ボリュームもステージ総数30以上、最高評価「S+」獲得を目指すスコアアタックと言ったやり込み要素も実装していて申し分なし。特にスコアアタックは非常に中毒性が高く、ステージクリアにかかる時間が最長で5分程度という短さ、ダメージを受けなければどんどん倍率が上がって高得点が得られるようになるコンボシステム、そしてオンラインで世界中のプレイヤー同士と争える要素の存在も相まって、時間を忘れてハマってしまう面白さがある。
 
image4
 
更にNintendo Switchの携帯モードとの相性が抜群に良い。冒頭で紹介した通り、本作は三つのプラットフォームで配信されている(内容に差異はない)。筆者として特にお薦めしたいのがNintendo Switch版。このハード特有の携帯モードとの相性が抜群で、本作特有の中毒性の高いスコアアタックを最も気軽に堪能できるのだ。操作に関しても、Joy-Conを二つ装着したスタイルでも違和感ないボタン配置になっている為、全くストレスを感じさせない。
惜しむらくは今現在、Nintendo Switch本体の入手が困難なところだが、既に本体をお持ちの方で、シューティングゲームに苦手意識の無いプレイヤーなら是非、この快適なスコアアタックを体験してみて欲しい。時間をグイグイ吸い取られてしまうはずだ。
 
image19
 
難易度は少し高めだが、チュートリアルにヒント機能など、シューティングゲームの経験が浅いプレイヤーへの配慮も万全な本作。カラフルで、幾何学的な爆発エフェクトの美しさから、見ているだけでも楽しい魅力も詰まった”ばくれつ”シューティングゲームだ。短時間で遊べ、深くやり込めるシューティングゲームを欲している人は是非、遊んでみて欲しい。

なお、『Graceful Explosion Machine』では覚えにくい、と感じた御方は自機の名前にちなんで「GEM(ジェム)」と呼ぶようにするのがお薦めだ。
或いは「Explosion」の単語から「ばくれつ!」。こっちの方が覚えやすいかも。

[基本情報]
タイトル: 『Graceful Explosion Machine(グレイスフル エクスプロージョン マシーン)』
制作者:Vertex pop
クリア時間: 4~5時間(※やり込み要素のコンプリートを除く)
難易度:初級~上級者向け
対応OS: Nintendo Switch PlayStation 4、PC(Windows)
価格: ¥1339(Nintendo Switch、Play Station 4版)、¥1280円(PC版)

ダウンロードはこちら
※Nintendo Switch版
https://ec.nintendo.com/JP/ja/titles/70010000001441

※PlayStation 4版
https://store.playstation.com/#!/ja-jp/%e3%82%b2%e3%83%bc%e3%83%a0/graceful-explosion-machine/cid=UP2195-CUSA07230_00-JPPS400000000001

※PC(Windows)版

  • シェループ(@shelloop

    様々なゲームに手を伸ばしたがる人。2D、3Dのアクションと手強めの戦略シミュレーションを与えると喜びます。

    Webサイト:box sentence