クトゥルフ神話キャラの育成フリーゲーム『if.C』がオゾマシカワイイ

フリーゲーム

「クトゥルフ」はTRPGや実況動画での人気により、最近また人気となっているジャンルだろう。フリーゲームでも、クトゥルフをテーマとしたゲームは出てきている。もぐらゲームスではクトゥルフRPG『SAVE』や、ノベルゲーム『クトゥルフの弔詞』などのレビューを行った。

今回は、そんなクトゥルフをテーマにしたフリーゲーム『if.C』を紹介する。このゲームは、クトゥルフRPG『SAVE』の制作者であるあたりめ氏の新作で、クトゥルフ神話の生物を育成するという珍しいゲームだ。

本作の特徴は、かわいらしくもどこかおぞましいクトゥルフの神話生物を、散歩、野菜の収穫、料理や遊び道具の購入など通して育てることの楽しみ。そして、神話生物との生活を送る中、日常の中に意味深な人物や存在が突然出現するという要素は、まさに「日常が次第に狂気に侵食されていく」というクトゥルフの性質を盛り込んだ要素で興味深い。さっそく紹介したい。

かわいらしくもおぞましい、神話生物との生活!

このゲームの開始時、まずプレイヤーの前にある2つの卵のどちらかを選ぶことになる。選んだ卵によって、最初に育てるクトゥルフの生物が変わってくるのだ。

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ゲームの開始時には2つの卵の中から選べる。「こっち!」と思ったものを直感で選んでみよう

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最初に選べる卵から生まれた「ティンダロスの猟犬」。クトゥルフのイメージが覆るかのような可愛らしさ…

卵から生まれた神話生物は、なでてあげたり、ご飯をあげたり、散歩に連れて行ったりと、ペットのように育てることが出来る。一通り世話をした後は、主人公の部屋で眠って時間を次の日に進めよう。こういった日々を繰り返すことで、神話生物を最終形態にまで成長させていくのがこのゲームの目的だ。

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家の近くの広場に連れて行くと嬉しそうにはしゃぐ姿も

卵から生まれた神話生物を育ててみよう!

主人公の家で一緒に暮らす神話生物は、さきほど紹介したように、ペットのように育てることが出来る。ここからは、「野菜の栽培」「料理」「遊び道具の購入」「散歩」などゲームの中で行える様々な育成要素を紹介しよう。

まずは「野菜の栽培」だ。主人公の家にある電話を使うことで、野菜の種を売っている「園芸店」や、料理のための食材や調味料を売っている「食材店」「調味料店」から、アイテムを注文することが出来る。野菜を育てるには、園芸店から野菜の種を買い、庭の畑に埋めるのだ。種を埋めた次の日には、野菜を収穫することが出来る。

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主人公の家では、電話を使うことで様々な店から商品を買うことが出来る。野菜を育てるには「園芸店」で種を買おう

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種を埋めた次の日にはもう収穫が出来る。収穫した野菜は料理にも使えるぞ

収穫した野菜は、そのまま神話生物に食べさせたり、料理をすることで新しいアイテムに変えることも出来る。料理をするためには、「食材」と「調味料」を購入しよう。料理は、家の中にあるキッチンで行うことが出来る。完成した料理は、神話生物に食べさせることができ、売ってお金にすることも出来る。もちろん神話生物にも好き嫌いはあるので、食べさせた時の反応を良く見てみよう。

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料理には様々な種類がある。神話生物に食べさせてあげよう

こういった食材などのほかにも、神話生物の部屋を彩る遊び道具も購入することが出来る。遊び道具は高いものが多いが、完成した料理を売ったりして、お金を貯めて買ってみよう。

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遊び道具は食材などに比べると割高だ

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神話生物の部屋は最初はあまり物がないが、遊び道具を購入することで賑やかになっていく

主人公の家の近くには広場があり、そこに神話生物を連れて散歩もすることが出来る。また広場には「くじびきいたち」というキャラクターがおり、一日ごとにアイテムをくれる。アイテムを増やす有効な手段なので、広場にいったら話しかけてみよう。

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「くじびきいたち」は毎日ランダムでアイテムをくれる

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ふと現れるサブキャラクターも。アイテムを渡すことで良いことが起こるぞ

このゲームでは、一匹の神話生物を最終形態までに育て上げると、エンディングを見ることが出来る。そうして神話生物ごとのエンディングを見ると、新しい卵が登場し、また新たな神話生物を育てることが出来る。全ての神話生物を育てて、その先のエンディングを目指そう。

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どこかおぞましさがありつつも、かわいい神話生物たち

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あの「クトゥルフ」も育てることが出来る

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ゲームを進めていくと、一度育てた神話生物の豆知識を見ることも出来るぞ

日常に入り込む狂気、神話生物との生活の先には…?

神話生物とのゆったりとした毎日を送るこのゲームだが、日々を重ねていくうちに、周囲に見慣れないキャラクターが突然出現することがある。なかには意味深な言葉を呟いたり、どこか謎を感じさせる存在もおり、まさに日常が侵食されていくというクトゥルフの要素が垣間見え、ゲームの世界観を気にさせてくれるものとなっている。

そもそも主人公とは何者なのか?といったところから、多くは語られないこのゲーム。登場するキャラクターたちの言葉を感じ、想像することで物語を補う楽しみもあるのだ。

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意味ありげな言葉は何を意味しているのか

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主人公の存在は、一体どういった立ち位置なのか?

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朝、家で目が覚めると、自分の幻のような存在が目の前に…

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そして、家の中に現れる黒い影のような存在

本作は、かわいらしいクトゥルフの神話生物を育てるというほのぼのした作品でありつつ、日常の節々に、どこか不可解な現象が入り込んでくるという作品となっている。ゆったりとした生活を楽しみたい人も、謎が垣間見える世界観を体験したい人もぜひ遊んでみてほしい。

また、もぐらゲームスでは、冒頭でも紹介したクトゥルフRPG『SAVE』や、ノベルゲーム『クトゥルフの弔詞』などのレビューを行っているので、こちらも読んでみてほしい。

クトゥルフ神話のフリゲRPG『SAVE』。奪われた家族を取り戻す物語

怪奇幻想ノベルゲーム『クトゥルフの弔詞』。名状しがたい恐怖を味わいつくす混沌の一作。

[基本情報]
タイトル if.C
制作者 あたりめ
クリア時間 2時間程度
対応OS RPGツクールVX RTPの動作環境に準拠
価格 無料

ダウンロードはこちらから http://www.freem.ne.jp/win/game/9430

  • poroLogue(@poroLogue

    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。