Indie Games Connect 2023で見つけた注目インディーゲーム7選

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2023年4月30日、株式会社コナミデジタルエンタテインメント主催によるインディゲーム展示会「Indie Games Connect 2023」が昨年に引き続きコナミクリエイティブセンター銀座2階にて開催された。銀座インディーゲームもくもく会を始めとする協賛団体によるサポーターエリアを含めて68ブースの出展があり、多くの来場客で賑わいを見せていた。

前年に引き続き開発者セミナーや相談会もあわせて開催されたほか、今年からは「Indie Games Contest 学生選手権」が併設され、二度の審査を潜り抜けた受賞作5作品もあわせて体験可能となっていた。また、一般閉場後には出展者同士でのゲームをプレイできる時間が設けられ、ゲームをプレイして回りたい出展者にも配慮した取り組みがなされていた。

本記事では取材陣が気になった作品を7点紹介する。読者の皆さんも気になった作品があればぜひチェックしてみてほしい。

前回(2022年)の記事はこちら

まっともぉん『PARRY KING』

敵の攻撃が当たる直前にタイミング良くボタンを押して敵の攻撃を弾き返す、アクションゲームにおける高難易度テクニックの代名詞「パリィ」。そのパリィを極めるアクションゲームがまっともぉん氏が開発中の『PARRY KING』だ。当初は2Dのゲームとして開発されていたが、今回の会場では大きくイメージチェンジしたボクセル3Dグラフィック版が披露された。

パリィで敵からの攻撃を弾き、その隙を突いて攻撃を叩き込む。基本はそれだけだが、敵からの攻撃には特徴的なテンポやフェイントがあり、そのパターンを見切れるかどうかが鍵となる。体力回復などは無い漢気一本勝負。難易度は高く気合を入れて挑んでもすぐに倒されてしまうが、リトライも爆速となっており、悔しさからついもう一回、もう一回とプレイが進んでしまう。そしてプレイを繰り返すごとに少しづつ上達を実感していくというなんとも旨辛なアクションゲームとなっていた。

会場でプレイできる敵は1体のみだったが、ボリュームアップした上でSTEAMにて2023年9月ごろのリリースを目標に開発が進行中とのこと。筆者の腕では歯が立たなかったが、我こそは腕に覚えあり!という人は是非続報をチェックしてほしい。
(真野 崇)

Website: https://twitter.com/matsu_friends

路地裏電脳研究所『路地裏漂流記』

路地裏電脳研究所『路地裏漂流記』は化け猫零々氏が開発中の3Dアドベンチャーゲーム。開発者曰く「初代プレステとプレステ2の中間くらいを狙った」という32ビットゲーム機調のローポリゴンビジュアルと、セピアカラーの下町の色合いの相乗効果で醸し出されるノスタルジアが見る者を惹き付ける一作だ。

不思議な路地裏に迷い込んだ少女2人組の片割れ・佐伯を操作し、路地裏からの脱出を目指す。アイテム「烏の双眼鏡」を使うことで、肉眼では見えない様々なものが幻視できるようになっており、双眼鏡を通して見えたものをヒントに謎を解いていくこととなる。ただし双眼鏡は見つめすぎると佐伯が気分を悪くしてしまうため過度の使用には注意が必要。行き先に悩んだ際には同行する友人の前田に相談することもできる。

舞台となる路地裏は昭和の町並みや九龍城のような込み入った空間がイメージされており、雰囲気造りに圧倒される。路地のちょっとした分かれ道の先には何があるのかとつい覗き込みたくなる魅力がある。また道の複雑さはかなりのもので、「迷う」という感覚を大いに楽しめる作品となっていた。
本作は2023年夏に早期アクセスが予定されている。また、5月5日に東京ビックサイトで開催されるコミティア144にも出展予定があるため、気になった方はそちらで雰囲気を掴んでおくのもよいだろう。

Website: https://nemuinazz7.wixsite.com/my-site

求道庵『鬼ヶ谷いんくらいん』

『鬼ヶ谷いんくらいん』は求道庵の田口求道氏が開発中の3Dアクションアドベンチャーゲーム。タイトルにある「インクライン」とは「傾斜鉄道」のこと。求道庵の前作『吾妻邸くわいだん』に引き続き妖怪変化を題材にしており、村を荒らす鬼たちを退治しにきたはずが武具を奪われてしまった祓い屋の主人公が、インクラインを駆使して鬼に立ち向かうこととなる。

本作では伏せやジャンプで攻撃をかわしつつ鬼を担ぎ上げ、インクラインに鬼を乗せて村の頂上の方陣まで運び封印することが目的となる。頂上まで運んだ鬼の数と色の組み合わせに応じて多額の報酬が獲得できるため、堅実に鬼を運んでいくか、多数の鬼に囲まれるリスクを背負って高額報酬を狙うかの駆け引きとなる。

他のイベントでも展示歴があり過去に筆者もプレイしていたが、今回の展示では2人同時プレイが可能となっており、片方のプレイヤーが鬼を担いで攻撃を抑えつつ進んでいくといったチームワークが楽しく、それまでの印象を覆す作品に”化け”ていた。更なる発展に期待したい一作だ。
(真野 崇)

Website: https://gudouan.com/

ろひ&ごろまつ『ITERAZERS』

ろひ氏とごろまつ氏の2人組による『ITERAZERS』(イテレーザーズ)は3D空間で1対1の射撃戦を繰り広げるボスバトルシューティングゲーム。STEAMにて2023年6月リリース予定となっている。

本作では自身の攻撃の弾道をポイント割り振り式でカスタマイズすることができる点が最大の特徴となっている。試遊した時点でも20近い項目が存在しており、弾道を上下左右にカーブさせる、着弾地点に火柱を発生させるといったものの他にも一度外れた弾を再誘導させるなどの変わった項目があり、それらを組み合わせることも可能。組み合わせの妙が生み出す独特の弾道が本作の面白さのひとつとなっている。

カスタマイズが終わったらいざバトル。対戦相手となるボスの攻撃もプレイヤーと同様のカスタマイズ項目から作成されており、不公平感が少ないのも隠れたポイント。カスタマイズ項目は更に増える予定のようで、カスタマイズを組み替えて試していくだけでも時間が解けていくことは間違いない。腰を据えて遊びたい一作だ。
(真野 崇)

Website: https://twitter.com/Rohi_indiedev

GGG『ユメノメイキュウ』

GGG『ユメノメイキュウ』はタワーディフェンスにローグライク要素をかけ合わせた戦略ゲーム。夢の世界に迷い込んだ主人公「アステリア」が契約の楔となる夢の世界の最奥を目指して進んでいく。

ゲームは画面右方向から浸食してくる亜空間に追いつかれないように左方向へダンジョンを掘り進めていくことで進行していく。ダンジョンを少し掘り進めるごとに亜空間から現れる敵との戦闘へ移行し、掘り進めたダンジョンがそのままタワーディフェンスの戦場となる点が画期的。味方のポジションや敵の侵攻ルート、床に配置できる罠に必要なスペース等を考えながら掘り進む必要があるが、掘り進めるブロックには描かれたマークに応じて味方キャラの獲得や体力回復といったメリットや、ボスの出現といったデメリットなどの様々な効果が備わっており、無計画に掘ると簡単に窮地に陥ることになる。

ローグライクの常としてブロック配置や入手アイテムなどはランダムとなっており、ワンパターンな戦法を取ることはできない。「タワーディフェンスをより面白くしたい」という意気込みを反映した確かな独自性が感じられた。今回のイベントの開催に合わせてSTEAMページが公開されており、2023年第2四半期の早期アクセスが予定されている。
(真野 崇)

Website: https://twitter.com/tincnshngy1

MyojoWorks『TRANSANGLE』

三角形の秘密、という某スナック菓子のCMソングの1フレーズが思い浮かぶ『TRANSANGLE』(トランスアングル)は、様々な創作を手がける学生サークルMyojoWorksが製作中のスマートフォン対応アクションパズルゲーム。パソコン+パッドでプレイ可能な展示のほかに、体験版へアクセスすることができるQRコード付きのカードが無料配布されていた。

脚の生えた三角形を操作しゴールを目指すのが基本ルール。三角という形状を活かして天井や坂道に突き刺さることができるのが特徴。刺さってからは刺さった点を軸に地形を回転させる、坂を蹴っての「三角飛び」による大ジャンプといったアクションをとることが可能。逆立ちジャンプから縦穴に滑り込む荒業も見どころだ。

ただの三角形とは思えない多芸さを見せるが、多芸ゆえにどのアクションをどの場所で使うかに頭を悩ませることになる。パズルゲーム好きも納得できる歯ごたえがある作品だ。
(真野 崇)

Website: https://eveningstar887.wixsite.com/myojoworks

スタジオしまづ『CARD GAME 最後の一球』

ボードゲーム製作サロン・スタジオしまづの『CARD GAME 最後の一球』は野球のピッチャー対バッターをモチーフとした1対1の読み合い対戦カードゲーム。会場ではPC版のほか、PC版を元にしたリアルカード版も展示・販売されていた。

ピッチャー側はストライクとボールを、バッター側はそれに対応するスイングとみのがしをそれぞれ選択し、ストライクに合わせてスイングすることができれば1点獲得。ストライクに対してみのがしたり、ボールに対してスイングしてしまった場合は攻守交代。これを繰り返して4点先取したプレイヤーが勝者となる。馴染みやすいモチーフとシンプルなルールですんなりと入っていけるのが特徴だ。

試遊ではPC版・リアルカード版の両方を体験したが、リアルカードでの対戦はコンピュータ相手とは違った趣きが感じられた。PC版は一般には公開されていないが、リアルカード版については今後はボードゲームの祭典であるゲームマーケットでも販売予定があるとのことなので、興味のある方は今後の出展情報を確認してほしい。
(真野 崇)

Website: https://batting-card-game-studio-shimazu.jimdosite.com/

  • 真野 崇(@tacashi

    フリーゲームと共に四半世紀を生きるフリゲ馬鹿一代。
    フリーゲームのレビューブログ「自由遊戯黙示録」を経て、自身のフリゲ人生を集約した、フリーゲーム・同人ゲーム・インディーズゲームの年代記「自主制作ゲーム史論」を執筆。