「古代ゲルマン的未来」を描く槍投げアクションゲーム『Lichtspeer』 摩訶不思議な世界を戦いぬけ!

Steam,アクション,インディーゲーム

Lichtspeer
 
「伝説の槍」と聞かれて思いつくものはなんだろうか?

主たるところでは、北欧神話の主神オーディンの武器「グングニル」や、ケルト神話の英雄クー・フーリンの持つ「ゲイ・ボルグ」などが挙げられるだろう。
グングニルは絶対必中かつ手元に戻ってくる、ゲイ・ボルグは穂先が30にも分裂して降り注ぐなど、いずれも槍を投げつけた際の逸話が存在している点が特徴のひとつといえる。

今回紹介する、ポーランドの開発スタジオLichthundが開発した『Lichtspeer』(リヒトスピアー)は、そんな伝説の槍を投げることで並居る敵を打ち倒していく、ハイペースなアーケードタイプのアクションゲームである。日本国内ではSteamにて購入可能となっている。

古代と未来のミクスチャー、これがホントのレトロ・フューチャー!?

幾多もの怪物達が地表を覆いつくしている世界。
主神により招集された二人の戦士、Hans(ハンス)とHelga(ヘルガ)は、光の槍「リヒトスピアー」を受け賜り、主神を満足させるべく栄誉ある戦いに赴くことになる。

Lichtspeer
 
本作で目を引くのが「古代ゲルマン的未来」(ancient germanic future)と謳われている独特の世界感だ。

ヒロイック・ファンタジー的な甲冑をまとった戦士やモンスターが闊歩している一方で、カラフルな色使いの画面にシンセサイザーを効かせたサウンドが流れ、ディスコのようなネオンサインに彩られた宇宙船が登場するなど、全編に渡り「神話的な古代」と「1970~80年代的な未来」がミックスされた、奇妙で癖になるテンションをかもし出している。
ゲームのタイトルであり主人公たちの武器であるリヒトスピアーについても、有名SF映画に登場する光の剣を連想させるものがある。

イマイチわかりにくいという場合は、「古代ゲルマン的未来」の愉快な仲間たちを紹介するファンキーなPVがあるので、こちらを観てもらえれば大まかなノリはつかめるだろう。
 

狙ったものは必ず貫け(さもなくば死)

『Lichtspeer』はステージクリア型のアクションゲームとなっており、1ステージにつき5つ程度のフェイズに分かれている。主人公は自由に移動することはできず、固定砲台となった状態で己の投げ槍とライトパワーのみを駆使して戦うことになる。

マウスやコントローラの方向キーで狙いを定め、ボタンを押しっぱなしにすることで投げる強さを決め、ボタンを離すと槍を投げる。主人公が敵に接触されたり、大砲などの射撃を受けた場合は倒されてしまい、フェイズの最初からやり直しとなる。

Lichtspeer
 
神の武器たるリヒトスピアーはどれだけ投げても手元から失われることは無いが、的を外し過ぎると主神から不興を買ってしまい一定時間スタンさせられてしまう。これによりミスショットがほぼそのまま死に直結しているため、プレイヤーには可能な限り一撃必中で敵を倒すことが求められる。

Lichtspeer
 
投げた槍は放物線を描いて飛んでいくことも考慮して、素早くかつ的確に狙いを定めて槍を投げつけていこう。

Lichtspeer
 
敵の頭部を貫く(ヘッドショット)と、巨人など耐久力のある敵でも一撃で倒せるほか、ヘッドショットを連続で決めていくことで獲得できるスコアの倍率が上昇していく。
旧約聖書に登場する「巨人を投石器ひとつで打ち倒した羊飼いの少年」というわけではないが、押し寄せてくる敵を連続ヘッドショットでバッタバッタとなぎ倒していけばまさに英雄気分。

Lichtspeer
 
ライトパワーは主人公たちが使う必殺技というべきもので、

・投げた槍を分裂させたり、着弾点で爆発するハンマーを投げる攻撃用パワー
・地面からオーラを噴出させて近づいてきた敵を倒すなどの迎撃用パワー
・敵の攻撃から身を守るシールドを張る、画面が見にくくなる代わりにスコアアップが狙えるなどの補助用パワー

の3系統に分かれており、それぞれひとつづつ装備して使用することができる。
ステージ選択画面からショップに入り、稼いだ得点を使ってライトパワーを購入・強化することが可能だ。

個性的な敵キャラクター達にも注目

敵キャラクターの種類の豊富さも『Lichtspeer』の特徴のひとつだ。

地上を進撃してくるゾンビや邪悪なドワーフ、スキニージーンズでキメた巨人などをはじめ、空から襲ってくる羽つきシェパード、変則的な軌道で水面を跳ねつつ迫ってくる肉食魚、大砲や飛空艇などを使って攻め込んでくるペンギン・ヴァイキングなど、一筋縄ではいかない敵キャラクターが勢ぞろいしている。

Lichtspeer
 
Lichtspeer

下り坂では坂を滑り込んで急襲を仕掛けてくるセイウチが上り坂になるとノソノソと登ってきたり、宇宙船のステージではちゃっかり宇宙服を着こんでいるドワーフなど、ステージによって敵キャラクターの動きや装いが変化する点も芸が細かい。

Lichtspeer
 
Lichtspeer
 
一部ステージの最終フェイズではボス戦が発生し、ボス戦ではライトパワーが使用できない実力勝負となる。

また、槍を投げ込むことで主人公をテレポートさせることができるマーカーが存在している場合があり、ステージによってはマーカーへの投槍を駆使してテレポートで敵の攻撃をかわす必要があるなど、忙しい対応を迫られることになる。

後半のステージともなれば敵の攻勢も激しく、アクションゲームとしての歯ごたえも充分といえる。
本稿執筆時点(2016年10月末現在)では日本語対応されていない点がネックではあるが、とにかく一風変わった世界観を楽しみたいという方には試してみてほしい一作だ。

[基本情報]
タイトル: Lichtspeer
制作者: Lichthund
クリア時間: 4時間~
対応OS: Windows , PlayStation4(国外のみ)
価格: $9.99 / ¥980

購入はこちらから(Steam)

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  • 真野 崇(@tacashi

    フリーゲームと共に四半世紀を生きるフリゲ馬鹿一代。
    フリーゲームのレビューブログ「自由遊戯黙示録」を経て、自身のフリゲ人生を集約した、フリーゲーム・同人ゲーム・インディーズゲームの年代記「自主制作ゲーム史論」を執筆。