コックピット・アドベンチャー『Nauticrawl』謎のメカを操縦し、未知の惑星から脱出せよ

nauticrawl-1

乗り物の操縦席を示す言葉である「コックピット」の語源は「軍鶏(cock)」の「囲い(pit)」、すなわち闘鶏場やそこで使われる籠からきているという。人ひとりが辛うじて身動きできる程度の狭い空間に押し込められ、複雑怪奇な機器や装置を相手にバタバタと悪戦苦闘するさまは、なるほど確かに暴れる軍鶏の仕草のそれと合致する。
乗り物を思い通りに動かすという行為は、時としてそれ自体がひとつの闘いともなりうるものだ。

イタリアの開発者Andrea Interguglielmi氏が開発し、Armor Gamesが販売する『Nauticrawl : 20,000 Atmospheres』(以下『Nauticrawl』)はそうした「コックピット」を題材としたアドベンチャーゲーム。2019年9月17日よりSTEAM等のゲーム配信サ―ビスで配信が開始されている。

静かなる鋼の殻の中で

nauticrawl-2

ゲームを開始すると、そこは薄暗いコックピットの中。
小さな窓から注ぐ光に照らされて目に映るものは、いくつかのディスプレイに計器類、様々なレバー、無数に連なるボタンやスイッチの数々。無骨な鉄の塊は、息吹が吹き込まれるのを待つかのように沈黙を守っている。

この奇妙な乗り物の中にあって、動かし方のマニュアルや説明書きのようなものはどこにも見当たらない。プレイヤーはまず、この未知の乗り物を文字通りの手探りで動かさなければならない。あのスイッチか?このレバーか?とあちらこちらをガチャガチャと操作してランプやモニターの反応を見ながら乗り物の動かし方を学んでいくことになる。

nauticrawl-3

しばしの格闘の末、ランプに明かりが灯り、エンジンの振動がコックピットを揺らし、コンソールに起動メッセージが流れる――そんなささいな反応でも、それがこちらの操作に対して応えてくれた結果であり、一歩づつでも事態を進展させれていると思うと不思議と嬉しくなるものである。

そして『Nauticrawl』という作品は終始コックピット内の視点のみでゲームが進行する点が最大の特徴となっている。中央部の円形ディスプレイに表示されているレーダーから醸し出される潜水艦のような重厚な雰囲気がなんともたまらない。本作の副題も絡めれば、さしずめ『海底二万里』ならぬ「大気二万里」といったところだろう。

惑星からの脱出の道を探れ

謎の乗り物の操縦方法はマスターできただろうか?しかし、状況はあまり悠長なものではない。プレイヤーは地球外惑星で強制労働に課せられ、命の危険からNauticrawlと呼ばれる乗り物を盗んで逃亡した労働奴隷なのだ。そして目的はこの地球外惑星から脱出することにある。

nauticrawl-4

周囲では警備用の砲台が監視の目を張り巡らし、凶暴な原生生物も徘徊している。彼らに発見されれば容赦なく攻撃を受けることになる。乗り物に搭載された機能をうまく活用してこれらの脅威を潜り抜けながら惑星脱出への道を探らねばならない。

nauticrawl-5

情報や物資を得るためには、監視ロボ(SENTINEL)に追いかけまわされる覚悟で施設へのハッキングを仕掛ける必要がある。そこでひとつ対応を間違えれば敵にボコバコにされ、慌ててエンジンを全開にして逃げ出せばオーバーヒートで煙が吹き出し、機能が低下してモニターがバグりはじめるなど窮地が窮地を呼び込んでいく。低下した機能を補うためにバッテリーの電力供給の配分を調節するなど、新たな操作を身に着ける必要も出てくるだろう。

nauticrawl-6

旅路を進めていくとNauticrawlではない別のコックピットも待ち受けている。この乗り物は果たして一体何なのか?そして惑星を脱出するための方法とは?大気を泳ぎ続けた先に、貴方は何を見ることになるだろうか。

不親切で厳しいが、決してそれだけではない

nauticrawl-7

本作のストアページにも謳われているとおり、『Nauticrawl』はハードな作品である。
前述したとおりメカの説明が全く無いだけでなく、マップはランダム生成であり、時として重要な地点が砲台に囲まれていたり、予備の燃料がどこにも見つからないといった殺意に満ち溢れた配置を引き当てることがあるため、理不尽さを感じさせる一面もある。乗り物が擱座してプラスチックケースに囲われたボタンのお世話になる回数は10や20では効かないだろう。

しかし最初のプレイでは乗り物のエンジンのかけ方を覚え、次のプレイでは進ませ方を覚え、そのまた次のプレイでは施設との通信の方法を見つけてゲートを開く…というように、一回のプレイごとに発見があり、その発見を元に次のプレイを進めて、そこでまた新たな発見をする、といったような試行と発見、理解の楽しみがある作品ともなっている。
メカの操縦に憧れる人、何度も挑戦し手探りで道を探していく冒険が好きな人に薦めたい作品だ。

[基本情報]
タイトル:Nauticrawl : 20000 Atmospheres
制作者: Andrea Interguilielmi
クリア時間:  8時間~
対応OS: Windows
価格: $14.99 / ¥1,520

↓ダウンロードはこちらから
(STEAM)

(itch.io)
https://andrea-intg.itch.io/20000atm

(Humble Store)
https://www.humblebundle.com/store/nauticrawl

VR体験施設の検索サイト「taiken.tv」
  • image09

    真野 崇(@tacashi

    フリーゲームと共に四半世紀を生きるフリゲ馬鹿一代。
    フリーゲームのレビューブログ「自由遊戯黙示録」を経て、自身のフリゲ人生を集約した、フリーゲーム・同人ゲーム・インディーズゲームの年代記「自主制作ゲーム史論」を執筆。