かわいいひつじを増やして増やして増やしまくれ! “一人用”カードゲーム『シェフィ』プレイレビュー&攻略

“突然だが、あなたは眠れない夜にひつじを数えたことはあるだろうか?”

ひつじがいっぴき、ひつじがにひき……ひつじがせんびき!

そんなわけで今回取り上げる『シェフィ』は、1匹2匹と言わず10匹、100匹、そして1000匹を目指してひつじをどんどん増やしていく、ユニークな“一人用”カードゲームだ。


本記事では『シェフィ』の紹介に加え、「とりあえずクリアを目指したい!」といったプレイヤーのみならず、「最高得点の7000ひつじまで辿り着きたい!」なんて人のための『シェフィ』攻略ヒントをも紹介してゆく。

そもそも、『シェフィ』ってどんなゲーム?

まずは『シェフィ』というゲームの紹介から始めよう。
カードゲームと聞くとMagic: The Gatheringや遊戯王OCG、ポケモンカードゲーム等々のTCG(トレーディング・カードゲーム)を想像しがちであるが、先述した通り、『シェフィ』は“一人用”カードゲーム。プレイ感はトランプのソリティアに近い。

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ひつじカードの一例。もこもこでかわいい

プレイヤーが使うカードには「ひつじカード」と「イベントカード」の二種類があり、前者は「1」「3」「10」「30」「100」「300」「1000」とひつじの絵の描かれたカードになっている。これはプレイヤーの持ち駒=得点を表すものだ。一方後者はひつじの数を増やすプラスの効果や減らしてしまうマイナスの効果、危険なカードを捨て札にするサポート効果等々を持っており、プレイ中は手札から使用する形になる。

『シェフィ』のクリア条件は、それらのカードを駆使して「1000」のひつじカードを場に出すことだ。そのためには、「産めよ」「増やせよ」「地に満ちよ」といったイベントカードでひつじを増やしつつ、「落石」「嵐」「狼」といったひつじの数を減らすカードを上手く処分していかなくてはならない。時には群れを守るために一匹のひつじを犠牲にしなくてはいけないこともあるだろう(自然は厳しいのだ。とても)。

最後に作者についても書かねばなるまい。ひつじたちの生みの親は、多くの人気フリーゲームを作り出したインディーズゲーム作者のポーン氏だ。ゲームデザインからイラスト、ひいてはストーリー(!)まで、ポーン氏一人で制作を行っている。また、『シェフィ』はテーブルトークRPG(TRPG)やボードゲームの制作で知られる「冒険企画局」とのコラボレーション作品とであることも付記しておきたい。

ルール説明

次はルールについてだが、簡潔に箇条書きで示すとしよう。
(なお「シェフィ」のルールは、前身である『The race of thousand sheeps』と非常に近いため、こちらのページを読んでいただくとより理解がしやすいと思われる)

【ゲーム開始前の準備】
1、1~1000のひつじカードを種類ごとにまとめて並べておく。
2、「1」のひつじカードを1枚場に出す。なお、場に出せるひつじカードは7枚まで。
3、イベントカードをよくシャッフルし、山札とする。使用したイベントカードを置くための捨て場も作っておく。
4、山札からカードを5枚引く。これを手札とする。
5、「敵ひつじカード」の「1」を上に向けてセットする。

これで『シェフィ』をプレイする準備は完了する。続いて、ゲーム中の動きを見ていこう。

【ゲーム中の動き】
1、手札から使うカードを1枚選ぶ。
2、1で選んだカードを捨て場に置き、書かれている内容に従う。大抵の場合はひつじが増えたり減ったり集まったりする。(なお、「ひつじを手放す」効果はひつじを捨て場に置くのではなく、ひつじカードの束に戻すことを指すので注意しよう)
3、手札が5枚になるまでカードを引く。
4、山札がなくなるまで1~3を繰り返す。
(※ひつじカードは場に七枚まで出すことができる。このため、最高得点は1000ひつじ×7枚=7000ひつじ、となる)

ゲーム中は上記1~3のサイクルを回転させ、ひつじの数を増やしつつ、脅威となるカードをやりすごすことになる。
次は山札がなくなった時の動きについて見てみよう。

【山札がなくなったら】
1、山札がなくなった場合、残った手札を必ずすべて使う。
2、山札も手札もなくなったら、「敵ひつじカード」を左側に90度回転させる(そうすると、敵ひつじの数が10倍に増える)。
3、次に、捨て場に置かれたイベントカードすべてをシャッフルし、新しい山札にする。
4、新しい山札からカードを5枚引く。
(※イベントカードの効果によって「追放」されたカードは山札に戻さず、追放したまま)

これで1ターンが終了する。
最後にゲームの勝敗の決め方を見ておこう。

【ゲームの勝敗】
・「1000」のひつじカードを場に出せた場合、その瞬間に勝ち!
(合計1000匹ではなく、「1000」のひつじカードを出す必要がある。例えば、「300」を3枚と「100」を1枚では勝ちにならない)
・一方、「敵ひつじカード」の上の数字が「1000」に到達した場合は負け。つまり猶予は3ターン。
・また、ひつじカードが場から一枚もなくなった場合(0匹になってしまった場合)も負け。やはり自然は厳しい。

(※また、「おまけ」として、1000ひつじカードを場に出してもゲームを終えず、敵ひつじカードの数字が「1000」になるまで自分のひつじを増やし続けるスコアアタックを行うこともできる。この場合は可能な限り多くのひつじを出すことが目的となる)

ルールの説明は以上となる。
読んでいただければ分かる通り、他の対戦型カードゲームに比べかなりシンプルな作りとなっている――が、しかし、シンプルだからといってゲームの奥深さを損なうことはない。

『シェフィ』の面白さ――意思決定、ランダム性、ひつじ

最初に述べてしまうと、筆者は『シェフィ』のゲーム的な面白さが「意思決定」にあると考えている。言い換えるなら「いつ・どのイベントカードを、どのカードに使うか」ということだ。

たとえば、手札にある他のイベントカードのコピーとして使える「万能ひつじ」。このカードを使って、ひつじを増やす「産めよ」や「繁栄」をコピーするか、それともひつじカードをランクアップさせる「黄金の蹄」を選ぶか、はたまたマイナスの効果を持つカードを手札から取り除ける「対策ひつじ」や「牧羊犬」か……という選択がこれにあたる。

他にも、「全滅しないように配慮しつつ、ひつじを減らすカードを早めに使っておくことで、後半につくれる数の大きいひつじを犠牲にしないようにする」のか、それとも「とにかく先に増やしておき、ひつじを減らすカードは数の小さいひつじを身代わりにして耐えるか、といった選択肢が生じてくる。

このようにプレイヤーは、リソースであるひつじや山札の状態を予測・判断し、先を見越した上での意思決定=使用するイベントカードの選択を行う必要に迫られるのだ。そこに山札の順序というランダム性が加わることで、プレイヤーはより複雑な意思決定を要求される。自分の読みが当たるか外れるか、その決定は正しいか――という不確定な状態から来る緊張感、そして困難を乗り越えた時の達成感が、プレイヤーをこのゲームにのめり込ませていくのである。そう、このゲームのダイナミクスを構成するのは、個々のカードの効果以上に、他ならぬプレイヤーの「選択」なのだ

もうひとつ。各カードのかわいらしいイラストも、決して忘れてはいけない。イベントカードは言うに及ばず、ひつじカードは1種類につき7枚ずつ、合計49枚存在するのだが、全てイラストが違うのだ(!)。ひつじの群れで世界を埋め尽くすのに夢中になるのもよいが、たまには個々のひつじを眺めて癒されるのもよいかもしれない。

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増えるひつじ。もこもこふわふわのマシマシだ

まずは1000まで辿り着きたいあなたへ――1000ひつじへのヒント

さて、本項と次項では『シェフィ』の紹介から離れ、攻略に入ってゆこう。ただし、内容はヒントに留めておく。もちろん、攻略法を詳細に記述することで『シェフィ』の面白さが損なわれるわけではないが、それはやはり各プレイヤーで試行錯誤を繰り返し、見つけ出していただく方が良いだろう。

さて、まずは1000ひつじ、つまり通常のクリアを目指す際に気をつけておくべきことについて紹介する。このゲームのイロハとでも言うべき部分だ。

【鉄則:「シェフィオン」は絶対に捨てる】

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ひつじたちの天敵。なんとしても防がなくてはならない

ご存じ「シェフィオン」は使ってしまったら即座に負けになってしまう。これを防ぐには「牧羊犬」か「対策ひつじ」のいずれかを使うしかない。これが山札にある状態でプレーするのは爆弾を抱えているようなものなので、できることなら一巡目で「対策ひつじ」を使い、残りのゲーム中は「シェフィオン」に悩まされることの無いようにしたい。

なお筆者は初見プレイ時、山札の最後の一枚がシェフィオンだった。

【「繁栄」→「黄金の蹄」のコンボを決めろ!】

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『シェフィ』の代表的なコンボ。一気にひつじが増えるのは爽快

「繁栄」でひつじを三体並べてから「黄金の蹄」へ繋げると、「繁栄」で選んだひつじが三体増える計算になる。最も大きな値のひつじに使う「産めよ」三回分だと考えれば、いかに強力か分かるだろう。これに限らず、「黄金の蹄」はひつじが多くいるほど強力になるので、使用するタイミングを軽く計算に入れてプレイするとよい。

また、よくある勘違いなのだが、「黄金の蹄」は「最大でないひつじ以外」しか選べない。例えばあなたの場に100・30・30・10といる場合、100を300に増やすことだけはできないので注意しておこう。

【捨てるカードの順位づけをしよう】

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どちらの方がひつじたちに甚大な被害をもたらすだろうか?

ひつじたちに被害をもたらすカードは全部で9種類1枚ずつ存在しており、どれも効果や範囲が異なっている。それらのカードは「牧羊犬」や「対策ひつじ」で対処することになるのだが、その際には目についた端から捨てたり追放したりするのではなく、「どのカードが一番大きい被害をもたらすのか」を考えた上で捨てるとよい。まだ見ぬ危険なカードへ対処するために、対策カードを温存しておくのも戦略だ。手札を使い切り、山札から引いた最後の一枚がシェフィオンだったりすると、とても悲しい。

【「統率」が何枚あるかを忘れずに】

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2枚しかないことを忘れないように

ひつじの数をまとめ、ランクアップさせる「統率」は勝ちに直結する重要なカードだ。1000ひつじを作らなければ、いくら多くのひつじを出してもゲームに勝つことができない。しかし「統率」は(「万能ひつじ」によるコピーを除けば)1ターンに2枚しか使えない。適当なタイミングで使ってしまい、最後の最後で300ひつじや100ひつじだらけ……なんてことにはならないように気をつけよう。

以上、1000ひつじを目指す上で押さえたいポイントを紹介した。これを踏まえてプレーすれば、勝ちは目前だろう。ひつじたちの国を築くところまではこれでOKだ。

ひつじを増やしたくてたまらないあなたへ―― 7000ひつじへのヒント

さて、次は7000ひつじ、つまりこのゲームで出せる最高点数を目指す人のためのヒントだ。

【鉄則:山札にどのカードが何枚あるか、ざっと把握しておく】

1000ひつじへのヒントでは“「統率」が何枚あるのかを忘れないように”と書いたが、7000ひつじを目指す際にはそれ以外のカードについても把握しておくべきだろう。『シェフィ』は手札・捨て場・追放されたカードを見れば山札にどのカードが何枚あるのか分かるため、そこから戦略を立てることができる。例えば山札に「産めよ」が何枚あるのか、今回の「メテオ」は使って処分できるのかそれとも捨てなければいけないのか、などなど。7000ひつじを目指す上ではかなり重要になってくるので、ぜひとも実践していただきたい。

【最後は「繁栄」「産めよ」→「黄金の蹄」で〆】

最終ターンでは場に1000ひつじを1枚作っておき、それに「繁栄」や「産めよ」を使ってから「黄金の蹄」に繋げるのが7000ひつじ達成の基本パターンとなる。ここでも「万能ひつじ」は相変わらずキーとなるので、使いどころはよく考えておこう。山札に「産めよ」が何枚あるのかも重要だ。

【「万能ひつじ」は二枚目の「対策ひつじ」にする(……とは限らない!)】

7000ひつじを目指す場合、万難を排するために「万能ひつじ」で「対策ひつじ」をコピーし、ひたすら「暴落」や「落雷」、「過密」等のマイナス効果を持つイベントカードを追放してゆくのが基本的な動きとなる。ただし最終ターンは例外だ。どのみちゲームが終了するので「繁栄」や「黄金の蹄」、「産めよ」といったカードをコピーするのが良いだろう。

また、「メテオ」はできるだけ追放したり捨てたりしないこと。このカードは一度使うと自分の能力で追放されるので、「地に満ちよ」あたりで大量に出した1ひつじたちに犠牲になってもらうのだ。非常に心苦しいが、ひつじ全体の勝利のためである。許してほしい。

【ひつじを減らすカードを使うタイミングを考える】

場にある最大のひつじカードを手放させてしまう「落雷」や、場にあるひつじカードが2枚以下になる手放させる「過密」、場にあるひつじカード一種類すべてを手放させる「疫病」等は使うタイミングによって効果が大きく変わる。場に高数値のひつじがいる時「落雷」は使いたくないだろうし、逆に1ひつじしかいなければ「落雷」を処分する絶好のチャンスだ。同じように1ターン目の最初に使う「過密」は何の効果も及ぼさないし、1体しかいない種類のひつじを手放させる「疫病」は「落石」と変わらない。

つまり、1000ひつじへのヒントで書いた「捨てるカードの順位づけ」を臨機応変に行う必要があるということだ。これを駆使して被害を最小限に留め、ひつじを増やしていこう。

【場の空き数を調節する】

7000ひつじを狙う都合上、最終ターンの1ひつじや3ひつじは処分せざるをえない。上述した「メテオ」や「落石」「嵐」を処理するのと同じ要領で、数の低いひつじたちを手放すことで場の空き数を調節することが必要になってくる。同様に「地に満ちよ」で出すひつじの枚数の判断も必要になるだろう。

加えて、「統率」ではおつりが来ないことを利用し、必要以上にひつじをまとめて端数を消してゆくのも大事なプレイングだ。これまた非常に心苦しいが、ひつじ全体の勝利のためである。許してほしい。

以上、7000ひつじを目指す人のための5つのヒントを紹介した。参考になれば幸いである。これに加え、ほんのちょっぴりのやる気と時間と運さえあれば、ひつじたちの理想郷はすぐそこだ。

当然、人によってプレースタイルやカードの重要度の違いはあるし、どのように7000ひつじへアタックするかについてもバラつきがある。そこで各自が悪戦苦闘しつつ試行錯誤するのも、また『シェフィ』の(ひいてはカードゲーム全般の)楽しみだ。そしてもちろん、筆者の攻略法にも抜け・漏れ・穴はあるだろう。それに気づいた時、あるいはより有効な攻略法を見つけたときは、『シェフィ』のストーリーにあるように――“かれらの景色に追いついたら、かれらの失敗を超えてやるのだ。”としていただきたい。

それでは、よいひつじを。

ひつじのついき

最後にひとつだけ。
つい先日、制作者のポーン氏によるシェフィ・デザイナーズノートが公開された。『シェフィ』プレイヤーのみならず、ゲームデザイナーの方にとっては興味深い制作秘話が1000ひつじ並みのてんこ盛りなので、ぜひ読んでいただきたい(ちなみに筆者は冒頭のベヒモスのくだりで速攻ノックアウトされた)。

それでは、今度こそ、よいひつじを。

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    読みは「みずはらゆき」。ゲーム業界のはしっこに勤めつつ、色々書いてます。思い入れの強いゲームは初代『.hack//』や『風ノ旅ビト』、『Dear Esther』『ゆめにっき』『Ruina 廃都の物語』などなど。2015年マイベストははむすたさんの『ざくざくアクターズ』。美学と工学の交差するゲームを求め、今日も片道切符。Narrative関係勉強中。