SHIBUYA PIXEL ART CONTEST 2020 ゲーム作品ピックアップ

8ビット~16ビット期のゲーム機によるビジュアルを原体験としながらも、独自の文化として成長を続けている「ピクセルアート」の世界。その祭典のひとつとして、東京・渋谷を題材とした「SHIBUYA PIXEL ART」コンテストが毎年開催されている。
4回目となる今年は5月1日~6月30日の2ヶ月間に渡り、twitterならびにinstagramにおいて、ハッシュタグ「#shibuyapixelart2020」によって作品の公募が行われた。

コンテストには今回よりゲーム部門となる「Pixel Art Game部門」が新設されており、ゲーム部門ではブラウザ上で動作する作品、もしくはプログラミング言語Luaをベースにした8ビットコンピュータ風の仮想マシン環境「PICO-8」で制作された作品が対象となる。なお、PICO-8でのコンテスト応募に際しては通常必要なライセンス料が免除されている。
本稿ではこのゲーム部門に投稿された作品のうち、twitter上にて公開されたものを10点ピックアップする。

コンテストは8月上旬に審査結果が発表され、入賞作品は9月25日より渋谷ヒカリエの特設会場にて展示が予定されている。

『KONSAIRI』

しふたろう氏が制作中の『KONSAIRI』は動物キャラクターが特色の横スクロールアドベンチャーゲーム。体験版の形でエントリーされている。

主人公の子狐ルースは赤カブをはじめとする「菜」を地面から引き抜き、それを掲げることで様々な能力が発揮できる。赤カブの力で眠れる住民を起こした後、集めた根菜で鍋を作ることができ、根菜の種類に応じて体力やジャンプ力といったルースの能力を引き上げられる。また、道を阻む敵に対しては根菜を投げる事で攻撃を行う。
赤カブの力で住民を起こしていく事で先へと進めるようになるため、赤カブを別の用途に使いすぎないよう注意が必要だ。

URL : https://shiftal-on.booth.pm/items/1274787

『Ranata The Frog and the Broken Forest』

『Ranata The Frog and the Broken Forest』はPICO-8で様々なゲームを制作しているgnOmael氏の作品。魔法使いに召喚されたカエルとなり、森で果物集めを手伝うジャンプアクションゲームとなっている。

カエルを左右移動とジャンプで動かし、タイマーが無くなるまでに樹々になっている果物を落として魔法使いの元へと運んでいく。タイマーは飛んでいる虫を踏むことで回復させることができる。
果物は2度触れる事で樹から落として拾うことが出来るが、「2度触れる」必要があるという点が曲者。ジャンプは左右の滑り方に癖のあるうえ、飛んできた虫を踏んでしまう事でジャンプの軌道が変わって樹の下へ落ちてしまうこともままある。一筋縄ではいかない作品だ。

URL : https://omael.itch.io/frog

『KAKERU』

イヌマル氏が制作した『KAKERU』は、渋谷のビル群の上をジャンプで次々と飛び越えていくランゲーム。Unityを用いて制作されている。

ジャンプは2段ジャンプが可能で、落下スピードが緩やかなため狙った位置に着地させやすく難易度は低めといえる。アイテムを取っていくごとにコンクリートジャングルだったビル群に色が付き、風景がドンドン華やかになっていくのが特色となっている。夜景に見とれて落下してしまわないように気をつけよう。

URL:https://ovaq.gitlab.io/kakeru/

『Godmode is enough』

あーるじぇい氏による『Godmode is enough』は、ロボットに乗り込み、伸びるアームのパンチを駆使して時間内にどれだけ敵を倒せるかを競うスコアアタック型のアクションゲーム。”無敵モードはもう十分”と銘打たれたタイトルから示されるように、どれだけ敵にぶつかってもなんらペナルティは無い。思うがままに暴れまわろう。

短時間のホバリングからの着地など、ロボットの動きは重力感のあるものとなっている。パンチは真っ直ぐに飛ぶ左パンチ、上下に軌道をコントロールできる右パンチの2種類で、それぞれ敵を貫通し、敵をまとめて倒す事で得点に倍率が掛かる。敵の軌道を見切って敵を一網打尽にしていこう。

URL:http://www.ric.hi-ho.ne.jp/tangled-tales/game/GodMode/godmode.html

『Shelled Shinobi』

『Shelled Shinobi』はmagu氏が制作した亀が主人公のジャンプアクションゲーム。足場をジャンプで飛び越えつつ、道を塞ぐゲートを開けるためのスイッチを押して先へと進んでいく。「甲羅に覆われた忍者」というと”カワバンガ”な感じだが、主人公の亀に赤いバンダナが見えるなどあのアニメがモチーフと見てよいだろう。

亀らしい「甲羅に手足を引っ込める」動作が用意されており、走りながら甲羅に引っ込むことで甲羅の腹でツルツルと滑っていく甲羅スライディングとも呼べるアクションが特徴。一瞬操作にためらってしまうほどスピーディに滑走するうえ壁にも反射するため、まさにノンストップで進んでいく。鈍い動物のイメージを覆すクールな忍者ムーブを決めてやろう。

URL : https://noppa.itch.io/shelled-shinobi

『Home’s Witches』

『Home’s Witches』はドク子ちゃん氏が”ステイホーム”をテーマに製作中のPICO-8作品『Dungeon Witches』の特別版。家を召喚する魔法に目覚めた少女が、時を同じくして失踪した双子の姉を探すべく冒険を繰り広げる。

本作は「自分が一歩動くと敵も一歩動く」「体当たりで敵に攻撃する」形式で進行するため、プレイ感覚はローグライクゲームのものに近い。魔法で召喚した家は、中に入って敵から避難しつつHPを回復したり、落とし穴や毒の沼を渡るための橋の替わりにするなど使い道は多種多様。レベルが上がることによって更に魔法を覚えるが、家を投げ飛ばしたり、家の中へ即座にテレポートするなど「家」のスケール感が狂う豪快な動きができる点がユニークな作品だ。

URL:http://doc1oo.lsv.jp/app/homes_witches_shibuya2020/

『428escape』

『428escape』は、『まつろぱれっと』などのスマートフォン向けゲームを制作するSleepingMuseumのふりふら氏と、マッハドッターbrave氏の合作による作品。渋谷の街を逃げ回る犬たちをポニーテール少女が捕まえていくUnity製アクションゲームとなっている。

操作はワンタップで、タップすることで少女が犬の方向へ向かって一直線に飛び掛かる。画面下のゲージが溜まっている量に応じて飛び掛かる飛距離が伸びていく。タイマーが無くなるとゲームオーバー。まとめて捕まえる事でタイマーが大きく補充できるので、なるべく一直線になったところを狙って捕まえたいが、犬の種類によって上下の動き方が異なるため思ったようなタイミングが取れなくなることもあり、単純なようで意外な奥の深さが見える一本だ。

URL : https://unityroom.com/games/428escape

『SHIBUYA SAVER』

2019年のSHIBUYA PIXEL ARTコンテストの優秀賞受賞者であり、アニメ『イエスタデイをうたって』エンディングアニメーションやゲーム『さかだちの街』のグラフィックなどを手掛けている気鋭のピクセルアーティスト・フチヌロー氏。同氏が今回イラスト部門ではなくゲーム部門で参加したのが本作『SHIBUYA SAVER』だ。

舞台は渋谷駅前のスクランブル交差点。交差点に散らばるゴミを拾って綺麗にしていこう。ゴミに紛れた爆弾を拾ってしまわないように注意が必要だ。ゴミを拾い続けることで…?
フチヌロー氏は「1か月でPICO-8を学んでコンテストに参加した話」として本作の制作記をnoteへ投稿している。これからPICO-8に触れてみたいという人は参考にしてみるとよいだろう。

URL : https://www.lexaloffle.com/bbs/?tid=38612

『BIB』

様々な絵や図形を自動生成で作り出すプログラムの制作を主としているtorin氏制作の『BIB』は、渋谷で待ち合わせのはずが誤って隣駅の原宿に降り立ってしまった宇宙人が、妨害をかい潜りながら渋谷へと向かうというコミカルな設定の作品。線路上に居座る宇宙人はレーザーで撃退し、飛んでくる鳥はジャンプで回避しよう。妨害にぶつかってしまうとゲームオーバーだ。

渋谷駅までの行程を行くストーリーモードのほか、ゲームオーバーに距離を競うエンドレスモードが搭載されている。ストーリーモードをクリアしたらエンドレスで限界に挑戦してみよう。

URL : https://www.lexaloffle.com/bbs/?pid=78698

『渋谷ジップライン』

『渋谷ジップライン』は、張り巡らされたワイヤーを滑車を使って滑り降りる「ジップライン」を題材とした作品。デートの待ち合わせをしている彼女の元へと急ぐべく、渋谷のビル街の谷間をジップラインで滑走する。ダイブとジャンプで鳥やネオンサインなどの障害物を避け、待ち合わせ場所である渋谷駅西口・モヤイ像の前へと華麗に着地しよう。ジップラインの突拍子のなさもさることながら、着地をミスした際の彼女からの辛辣なコメントが笑いを誘う。

本作の制作者であるBEEPBOY氏は、平素は”音の8ビットアート”ともいえる「チップチューン」のジャンルで活動している。氏が奏でるサウンドとステージのシンクロにも注目しよう。

URL : https://game.yamato.website/shibuya_zipline/


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    真野 崇(@tacashi

    フリーゲームと共に四半世紀を生きるフリゲ馬鹿一代。
    フリーゲームのレビューブログ「自由遊戯黙示録」を経て、自身のフリゲ人生を集約した、フリーゲーム・同人ゲーム・インディーズゲームの年代記「自主制作ゲーム史論」を執筆。